天王星の衛星シコラクス(Sycorax)—1997年発見の非球形最大逆行衛星

天王星の最大非球形逆行衛星シコラクス(Sycorax)—1997年発見の経緯、物理特性、発見者と命名由来を写真・図解で詳説

著者: Leandro Alegsa

天王星の衛星の一つ。天王星の衛星のうち、球形でない最大の逆行衛星である。 非常に遠くを公転する不規則衛星(irregular satellite)に分類され、形状は球形より大きく倒れた(非球形)と考えられている。

発見と命名

1997年9月6日、ブレット・グラッドマン、フィリップ・D・ニコルソン、ジョセフ・A・バーンズ、ジョン・J・カヴェラーズによって発見された。彼らは200インチのヘール望遠鏡を使って発見した。彼らはまた、カリバンも発見した。Sycorax は S/1997 U 2 と命名された。後に国際天文学連合(IAU)によって天王星XVIIと確認され、名前はシェイクスピアの戯曲「テンペスト」に登場するカリバンの母親、シコラクスにちなんで名づけられた。

軌道と物理的性質

Sycorax は天王星から非常に離れた軌道を持ち、軌道傾斜角は大きく、運動は逆行(公転方向が天王星の自転方向と逆)である。軌道長半径はおよそ1.2×10^7 km 程度、軌道周期は数年に相当すると観測から推定されている(観測値には不確かさがある)。軌道離心率は比較的高く、軌道は楕円形である。

  • 形状:光度曲線の解析などから非球形(細長または不均一な形)であると考えられる。
  • 大きさ:反射率(アルベド)を仮定した推定で直径はおおむね100–200 km 程度とされ、約150 km 前後とされることが多い(アルベドの仮定に依存)。
  • 表面性質:可視・近赤外観測では「赤め」の色を示すと報告されており、小天体(セントールや一部の太陽系小天体)と似たスペクトル特性を持つ可能性がある。
  • 明るさ:視等級は非常に暗く、地上大型望遠鏡での観測が必要である。

起源と研究の意義

Sycorax のような不規則衛星は、形成初期の天体や外縁天体が惑星に捕獲された結果であると考えられており、天王星周辺の初期環境や惑星形成・進化過程を知る手がかりになる。特に色やスペクトル、回転特性を調べることで、どの領域から来た天体か(例:太陽系外縁部や小惑星圏など)を推測できる。

発見以降も大型望遠鏡や空間望遠鏡による追加観測で軌道要素や物理特性の精度向上が図られており、Sycorax は天王星の不規則衛星群を理解する上で重要な観測対象であり続けている。

軌道

Sycoraxは天王星から最も遠い正月オベロンより20倍以上遠い軌道を描いている。その軌道は逆行性で、適度に傾き、偏心している。

軌道パラメータから、セテボスやプロスペロとともに同じ力学的星団に属する可能性があり、共通の起源を示唆しています。

この図は、天王星の逆行性非球形衛星の軌道パラメータを極座標で表したもので、軌道の離心率は近心から遠心に伸びるセグメントで表されている。

天王星の逆行性不規則衛星。Zoom
天王星の逆行性不規則衛星。

物理的特性

Sycoraxの直径は150kmと推定され(アルベドを0.04と仮定)、木星の最大の非球形月であるHimaliaに匹敵する大きさの天王星の最大の非球形月である。

自転周期はうまく推定できませんでした(最良適合は4時間程度)。

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