タランテラとは:タラント発祥の6/8拍子舞踊、タランチュラ伝説と作曲家

タランテラの起源・6/8拍子の激しい舞踊、タランチュラ伝説と教会史、メンデルスゾーンやショパンら作曲家の代表作までをわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

タランテラは、主に6/8拍子で演奏される、非常に速くて力強いイタリアの舞踊音楽です。名前は、南イタリアの港町・タラント(Taranto)に由来するとされ、もともとは地域の民俗舞踊として発展しました。昔は、誰かがタランチュラ蜘蛛に噛まれたら、毒を追い出すためにこの踊りをする必要があると信じられていた。踊り手はどんどん興奮し、気が狂いそうになる。

歴史と伝説(タランティズム)

この踊りにまつわる有名な伝説は「タランティズム(tarantism)」と呼ばれます。噛まれたとされるのは地域に生息するクモ(タランタラとも呼ばれる)で、噛まれた人は発狂したように踊り続けることで毒を追い出すと信じられていました。今日では、地中海にいるクモの毒は人間に致命的ではないと分かっており、症状の多くは心理的・社会的な現象や病気の誤認と考えられています。

一方で、当時のヨーロッパでは教会が世俗的なダンスを禁止することが多く、教会がダンスはいけないと言っていた時代に、ダンスをするための口実として「噛まれたから治療のために踊る」と説明された、という説もあります。こうした背景から、タランテラは単なる治療儀礼にとどまらず、共同体の感情表現や社交の場として機能してきました。

音楽的特徴

  • 拍子:典型的には6/8拍子(「タランテラ」として知られるリズム)で、速いテンポ(vivace, presto)で演奏されます。
  • リズム:強い三連の感覚と切れの良いアクセントが特徴で、回転や跳躍を伴う踊りに合う推進力があります。
  • 楽器:民俗演奏ではタンバリン(タンブレッロ)、マンドリン、ギター、アコーディオン、ヴァイオリンなどが多用されます。リズムを強調する打楽器が欠かせません。
  • 即興性:地域の舞踏では演奏者や踊り手の即興的なやりとりが見られ、曲の長さや展開は流動的です。

地域と変種

タランテラはイタリア南部を中心に様々な地域変種があります。ナポリ地方の明るく軽快なもの、プーリア地方の「ピッツィカ(pizzica)」と呼ばれるスタイル、ガルガーノやシチリアのローカルな型など、地域ごとにリズムや踊り方、衣装が異なります。いずれも踊り手のエネルギーとコミュニティの結束を表現する重要な文化要素です。

クラシック音楽への影響(作曲家)

民俗舞踊としてのタランテラは多くの作曲家にも影響を与え、舞曲として器楽曲やピアノ曲に取り入れられました。作曲家の中には、「タランテラ」と呼ばれる8分の6拍子の速い曲を好んで書いた人がいます。メンデルスゾーンは交響曲第4番(イタリア語)の終楽章にタランテラを書きました。また、ショパンやリストもタランテラを作曲している。

特にショパンの「タランテレ」(Tarantelle, Op. 43)はピアノ独奏の技巧を活かした作品で、原曲の速いリズムと跳躍的なパッセージが特徴です。リストやほかのロマン派作曲家たちも、タランテラ風のリズムや雰囲気を取り入れて劇的な効果を狙いました。

現代のタランテラ

今日ではタランテラは民俗舞踊の保存・復興運動やコンサートレパートリーとして演奏され、フェスティバルや結婚式などのお祝いの席で踊られるほか、現代音楽やバレエ、映画音楽でもそのエネルギーが引用されます。学術的には民俗学や音楽人類学の対象となり、タランティズムや地域文化の研究が進められています。

まとめ:タランテラは、南イタリアに根ざした6/8拍子の速い舞曲であり、噛まれたクモに由来する治療儀礼の伝説(タランティズム)や教会との関係、地域ごとの多彩な変種、そしてクラシック作曲家への影響など、歴史・文化・音楽の交差点に位置する重要な伝統です。

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質問と回答

Q: タランテラとは何ですか?


A: タランテラは8分の6拍子のとても速いダンスです。

Q:タランテラの名前の由来は?


A: タランテラという名前はイタリアのタラントという町に由来します。

Q:なぜタランテラは踊られていたのですか?


A:昔の人は、タランチュラという蜘蛛に噛まれた時、毒を追い出すためにタランテラを踊る必要があると信じていました。

Q:タランテラ舞踊を踊るという信仰が本物ではなかったかもしれないと考える人がいたのはなぜですか?


A:もしかしたら、この人たちは本当は信じていなかったのかもしれないけれど、教会がダンスを禁止していた時代に踊るための口実だったのかもしれない、と考える人もいます。

Q:タランチュラ・クモには猛毒があるのですか?


A:タランチュラ・クモはほんの少ししか毒を持ちません。

Q:タランテラを作曲した作曲家は?


A: メンデルスゾーン、ショパン、リストです。

Q: メンデルスゾーンが終楽章にタランテラを書いた交響曲は?


A: メンデルスゾーンは交響曲第4番(イタリア)の終楽章にタランテラを書きました。


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