テッティゴニイデ科(Tettigoniidae)—6,400種以上の長触角昆虫の定義と特徴

テッティゴニイデ科(Tettigoniidae):6,400種超の長触角昆虫を、分類・形態・生態・鳴き声・生息地までわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

アメリカ英語ではkatydids、イギリス英語ではbush-cricketsとして知られているTettigoniidae科は、6,400種以上を含んでいる。カツオノエボシ亜目(Ensifera)に分類される。

角の長いバッタとしても知られているが、バッタというよりコオロギに近い種である。バッタの触角は自分の体長より長いことがあるが、バッタの触角は常に比較的短い。

概要と特徴

Tettigoniidae(テッティゴニイデ科)は、一般に「カトゥィディズ(katydids)」や「ブッシュ・クリケッツ(bush-crickets)」と呼ばれる直翅目(Orthoptera)内の大きなグループです。種数は6,400種以上にのぼり、世界中の温暖〜熱帯地域を中心に多様な形態と生態を示します。

外見(形態)の特徴

  • 長い触角:多くの種が体長より長い触角(長触角)を持ち、感覚器官として重要です。これは短角のバッタ(例:キリギリス類とは対照的)との大きな違いです。
  • 細長い体と後脚:跳躍に適した発達した後脚を持ちますが、種類によっては飛翔能力が高いものやほとんど飛べないものがあります。
  • 産卵管(産卵器):多くの雌は長い産卵管(ovipositor)をもち、植物茎や土中に卵を産み付けます。
  • 擬態・保護色:葉や樹皮に似た緑色や褐色の体色を持ち、隠蔽に優れています。葉を模した翅を持つ種も多いです。

発生する音(コミュニケーション)

オスは翅(はね)のこすり合わせ(擦弦行為、stridulation)で鳴き声を出し、メスへのアピールや縄張り表示を行います。鳴き声のパターンは種ごとに異なり、夜間に活発に鳴く種類が多いです。音の周波数やリズムは種識別や交尾行動に重要です。

生態と食性

  • 食性の幅広さ:草食性の葉食種、花蜜や果実を食べる種、さらには肉食的に他の昆虫を捕食する種まで存在します。雑食性のものが多く、その場の資源に応じて食性を変えることもあります。
  • 生息場所:森林、草原、農地、庭園など多様な環境に生息。多くは夜行性または薄明性で、昼間は葉の隙間や樹皮の下で隠れています。
  • 捕食者と防御:鳥類、コウモリ、クモ、カマキリなどが捕食者。擬態、跳躍、飛行、時には化学防御を用いる種もあります。

繁殖と生活史

一般に卵→幼虫(若虫)→成虫の不完全変態(不完全変態)を示します。産卵は植物組織や土壌に行われ、地域や種によっては1年に1回、または複数世代を持つことがあります。成虫の寿命は数週間から数か月程度が一般的です。

分類と代表的なグループ

Tettigoniidaeは内部的に多くの亜科や属に分かれ、形態や生態が大きく異なります。北半球でよく知られるものには、葉のような翅を持つ種や細長い体型のものが含まれます。各地域には固有種も多く、多様性が非常に高い科です。

人間との関わり

  • 農業への影響:一部の種は作物や苗木の葉を食害し害虫となることがありますが、多くは目立った被害を与えません。
  • 生物指標:生息環境や生物多様性の指標として利用されることがあります。音声モニタリングで種の存在を調べる研究も盛んです。
  • 文化的価値:地域によっては鳴き声が夏の風物詩とされ、詩歌や民俗で親しまれています。

保全

生息地の破壊や農薬の使用は一部の種の減少を招いています。保全の観点からは、生息環境を残すことや化学農薬の使用削減が重要です。種ごとの生態を理解することで効果的な保全策が立てられます。

まとめ

Tettigoniidaeは長い触角と多様な生活様式をもつ、大変多様な昆虫群です。形態・行動・生態の面で興味深い特徴が多く、研究・観察対象としても魅力的です。野外で鳴き声を聞いたり、葉陰に潜む姿を観察したりすることで、その多様性を身近に感じることができます。

変装(へんそう

カツオノエボシは見事に変装している。アジアや南米の熱帯雨林の林床に、穴のあいた茶色い枯葉がじっと横たわっているように見えるものもある。また、枝からはらはらと落ちてくる緑色の生きた葉のように振る舞うものもいる。葉脈のような模様もある。

上翅は静止時に折り畳まれ、枯葉のような模様がつくられるなど、非常に興味深い視覚的防御を持つ。下翅は明るい色をしており、飛ぶと点滅する。逃げる時間を稼ぐための驚かす装置。動物の色#驚かす・まぶしく感じる防御を参照。Zoom
上翅は静止時に折り畳まれ、枯葉のような模様がつくられるなど、非常に興味深い視覚的防御を持つ。下翅は明るい色をしており、飛ぶと点滅する。逃げる時間を稼ぐための驚かす装置。動物の色#驚かす・まぶしく感じる防御を参照。

葉の上に座る緑の蟋蟀Zoom
葉の上に座る緑の蟋蟀

葉っぱのように見えるカツオノエボシZoom
葉っぱのように見えるカツオノエボシ



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