ホブズボーム『極限の時代(1914–1991)』要約・解説:短い20世紀の全貌

ホブズボーム『極限の時代(1914–1991)』要約・解説:国家共産主義・資本主義・ナショナリズムの挫折と短い20世紀の全貌を分かりやすく検証。

著者: Leandro Alegsa

極限の時代。ホブズボームは、1994年に出版された著作です。本書でホブズボームは、20世紀の政治・経済・文化の大きな潮流を俯瞰し、国家的な共産主義資本主義ナショナリズムが引き起こした悲劇や失敗を冷静かつ批判的に論じています。さらに、20世紀後半に見られた芸術や社会の「進歩」に対しても懐疑的な視点を示し、楽観的な歴史観に対する警鐘を鳴らしています。

ホブズボームは、第一次世界大戦の勃発(1914年)からソビエト連邦の崩壊(1991年)までを「短い20世紀」と呼び、これは1789年のフランス革命開始から1914年までをとる「長い19世紀」に続く時代区分だと位置づけます。本書 The Age of Extremes: The Short Twentieth Century, 1914–1991 は、ホブズボームの大著シリーズ(The Age of Revolution, 1789–1848The Age of Capital, 1848–1875The Age of Empire, 1875–1914)を締めくくる第四巻にあたります。米国版では副題表記に差異がある版も存在します(例:A History of the World, 1914–1991 と表記されることがある)。

概要と中心的主張

  • 「短い20世紀」とは、戦争・革命・経済危機・イデオロギー闘争が濃縮された時代であり、1914–1991年の間に世界史の一連の決定的な変化が起きた、とホブズボームは論じます。
  • ホブズボームはマルクス主義の立場から出発しつつも、単純な決定論を排し、失敗と矛盾を含んだ20世紀の歴史を多面的に描き出します。特にソ連型共産主義の官僚化や、資本主義の不平等と危機、ナショナリズムの暴走を厳しく検証します。
  • 経済・政治だけでなく、文化・日常生活・科学技術・生活水準の変化にも目を向け、20世紀後半の「消費社会」「大衆文化」「脱政治化」の傾向を問題視します。

章構成と扱う主題(要点抜粋)

  • 第一次世界大戦とその余波:戦争がどのように帝国秩序を破壊し、政治的急進化を促したか。
  • 革命と全体主義:ロシア革命の意義、スターリニズムの成立過程、ファシズムの台頭。
  • 世界経済と大恐慌:資本主義の危機がどのように政治的変動を引き起こしたか。
  • 第二次世界大戦と冷戦構造:戦後の二極化、植民地解体(脱植民地化)、国際秩序の再編。
  • 社会の変容:福祉国家の発展、労働運動の盛衰、女性・若者文化の台頭。
  • 1970年代以降の構造変化:石油危機、スタグフレーション、ネオリベラリズムの興隆と市場原理の再拡大。
  • 終焉と評価:ソ連の崩壊が意味するもの、20世紀の遺産と今後の課題。

ホブズボームの方法と特徴

  • 長期的視野と比較史的アプローチ:個別事件だけでなく、連続する構造変化に注目します。
  • 政治史・経済史・文化史の統合:制度やエリートの動きと同時に、庶民の生活や文化的変化も重視します。
  • マルクス主義的分析と自己批判:階級分析や資本主義批判を基盤にしながら、左派の失敗や盲点も率直に指摘する点が特徴です。

評価と批判

  • 高評価点:広範な事実と洞察に基づく力強い総括は、20世紀史の入門的概説としても読み応えがあります。文体は明快で、学術的厳密さと一般読者への読みやすさを両立しています。
  • 批判点:一部の論点では総括的すぎるとの指摘や、地域別の細部を扱いきれないという批判があります。また、ホブズボームの視点(政治経済に重心を置く立場)に立つため、文化史やポストコロニアルな視角からの別解釈が提示されることもあります。

読みどころと引用例

  • ホブズボームの筆致は、事件の列挙ではなく因果と構造を結びつける点に力があります。戦争と革命、経済危機がどのように結びついて現代世界を形作ったかを読み解く助けになります。
  • また、理想と現実の乖離、政治的理想主義の暴走とその帰結に関する冷静な反省は、今日の政治状況を考えるうえでも示唆的です。

まとめ:現代史をどう読むか

ホブズボーム『極限の時代(1914–1991)』は、20世紀を「短く濃密な」一つの時代として捉え、その光と影を幅広く照らし出す試みです。左派の理想とその挫折、資本主義の繁栄と危機、ナショナリズムと国際秩序の変容──これらを統合的に理解したい読者にとって有益な案内書です。一方で、地域史や文化・ジェンダーの視点を補うことで、さらに多角的な理解が可能になります。

質問と回答

Q: 『極限の時代』とは何ですか?


A: 『極限の時代』(The Age of Extremes)とは、エリック・ホブズボーム(Eric Hobsbawm)が20世紀後半における国家共産主義、資本主義、ナショナリズムの失敗、社会と芸術の変化について論じた本です。

Q:ホブズボームは何に対して懐疑的なのですか?


A:ホブズボームは20世紀後半の芸術の進歩や社会の変化に懐疑的です。

Q: ホブズボームは第一次世界大戦からソビエト連邦崩壊までを何と呼んでいますか?


A: ホブズボームは第一次世界大戦開始からソ連崩壊までを「短い20世紀」と呼んでいます。

Q:「長い19世紀」とは何ですか?


A: 「長い19世紀」とは、1789年のフランス革命の開始から1914年の第一次世界大戦の開始までを指します。

Q:ホブズボームが書いた『極限の時代』に関連する他の本は?


A: ホブズボームは『極限の時代』に関連する本を他に3冊書いています: 革命の時代: The Age of Revolution: Europe, 1789-1848』、『The Age of Capital: 1848-1875』、『The Age of Empire: 1875-1914』です。

Q: The Age of Extremesがアメリカで出版された時の副題は何でしたか?


A: 『極限の時代』の副題は「A History of the World, 1914-1991」でした。

Q: ホブズボームは『極限の時代』の中で何を論じていますか?


A: ホブズボームは『極限の時代』の中で、国家共産主義、資本主義、ナショナリズムの失敗、20世紀後半の社会と芸術の変化について述べています。


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