概要
『グレース・ジョーンズ・ストーリー』は、ジャマイカ生まれの歌手、モデル、女優であるグレース・ジョーンズの録音作品を、1977年から1993年までの期間にわたって示すために編まれた編集盤である。単独の新作スタジオ・アルバムではなく、ディスコ、レゲエの要素を帯びたリズム、ニュー・ウェイヴ、アート・ポップへと移っていく彼女の歩みを、10年以上にわたる選曲でたどれるようになっている。
収録内容と注目すべき欠落
この編集盤には、1970年代後半のディスコ期から、1980年代前半のより実験的でジャンル横断的な作品、さらに後年の録音まで、ジョーンズのキャリアの複数の段階から選ばれた楽曲が収められている。ただし、1985年のアルバム『Slave to the Rhythm』からの曲は含まれていない。この除外は、同作の録音権を保持するZTT Recordsによるライセンス上の制約によるものである。
特徴と音楽的な範囲
聴き手は、時期ごとに異なる制作スタイルとボーカルの表情を味わえる。ディスコ期のダンスフロア向けの編曲、より暗く抑制されたレゲエやロック色の強い再解釈、そして洗練された実験的なポップが並ぶ。選曲はまた、彼女の強いアンドロジナスなステージ・イメージと、他にない声の出し方も際立たせており、それが音楽だけでなくファッションや映画の分野へと活動の幅を広げる一因にもなった。
歴史的背景と発展
グレース・ジョーンズは1970年代後半に注目を集め、その後の10年で複数の音楽的段階を通過した。この編集盤は、個別のオリジナル・アルバムを探さなくても、その流れをたどれる点で有用である。また、当時の制作トレンドの変化や、さまざまなミュージシャン、プロデューサーとの共作も間接的に映し出している。
意義と対象となる聴衆
このコレクションは、彼女のキャリア全体を見渡す案内として、新規の聴き手にとっての入門編にも、気軽に楽しみたいファンにとっての便利なアンソロジーにもなる。もっとも、前述のライセンス上の欠落があるため、内容が網羅的というわけではない。ジョーンズの最も評価の高い時期を幅広く追いたい場合は、欠けている楽曲を補うためにも、オリジナル・アルバムや他の編集盤を参照するとよい。
補足
- 編集盤では、地域や版によって収録曲が異なることがある。発売時の注記を確認すると、どのバージョンの曲が入っているか(シングル・エディット、アルバム・ヴァージョン、リミックスなど)が分かりやすい。
- アーティストの幅広いキャリアや映画活動の背景については、公式情報やファン向け資料に結びついた項目や伝記を参照するとよい。