ランセット(Lancet)とは|1823年創刊の週刊総合医学雑誌の歴史と概要
1823年創刊の総合医学誌「ランセット」の歴史と役割、主要論文・編集体制を分かりやすく解説。医療研究者・学生必読の入門ガイド。
Lancetは、週刊のピアレビュー付き総合医学雑誌です。
創刊と名称の由来
1823年、イギリスの外科医トーマス・ウェイクリーによって創刊された雑誌です。誌名「ランセット(Lancet)」は、外科で使われる小さな手術用の刃物(ランセット)を指すと同時に、建築用語の「ランセットアーチ」──尖ったアーチを持つ窓──を意味します。創刊者はこの語に「知恵の光」「世に光を取り入れる」といった比喩的な意味を込めたと考えられています。
掲載内容と編集方針
原著論文、総説(「セミナー」「レビュー」)、論説、書評、通信文に加え、ニュース、解説記事、ケースレポート、政策提言、短報など多彩な形式を掲載します。臨床研究、公衆衛生、疫学、国際保健、医療政策など幅広い領域を対象とし、基礎研究から臨床試験、政策への示唆までをカバーする点が特徴です。編集部は、重要度の高い臨床的・社会的インパクトを重視して掲載判断を行います。
Lancetは、1991年以来エルゼビア社の所有となっています。雑誌は世界的な読者を持ち、編集事務所はロンドン、ニューヨーク、北京に拠点を置き、国際的な編集・報道体制を整えています。
影響力と評価
The Lancetは歴史が長く、医学界で非常に高い評価を受ける総合誌の一つです。インパクトの大きい臨床試験や政策提言を掲載することで、医療実践や公衆衛生政策に直接的な影響を与えてきました。また、The Lancetの姉妹誌群(例: The Lancet Oncology、The Lancet Neurology など)を含むブランドは、専門領域ごとの権威ある媒体としても知られています。
査読・公開の仕組みとアクセス
原則としてピアレビューを経て掲載され、重要な研究や時には迅速査読を経て速報的に公開されることもあります。出版モデルは従来の購読制とオープンアクセスの混合(ハイブリッド)を採用しており、著者が選択した場合は論文をオープンアクセスで公開できます。学術コミュニティや医療従事者、政策立案者、一般読者を対象に広く情報発信しています。
主な論争と批判
The Lancetは長年にわたり高い信頼を得てきましたが、重大な論争も経験しています。代表的な例として、1998年に掲載されたMMRワクチンと自閉症を関連づける内容の論文(Andrew Wakefieldらによるもの)が、その後の調査で手法や倫理的問題が指摘され、最終的に撤回された出来事があります(撤回は2010年)。この件はジャーナリズムと査読の限界、医学雑誌の責任について広く議論を呼びました。
その他にも、迅速な公開や大規模な公衆衛生危機(例: 感染症の流行)時の査読・報道姿勢に対する批判、利益相反や出版社と学術界の関係に関する議論が断続的にあります。Lancetはこれらの批判を受けて査読プロセスや編集方針の改善を続けています。
国際的な役割と今後
The Lancetは誌面を通じて臨床知見だけでなく保健政策への提言や国際保健に関する議論を促す場を提供してきました。グローバルヘルスや社会的決定要因(social determinants of health)に関するシリーズや論説を掲載することで、医学と社会政策をつなぐ重要な役割を果たしています。今後も、新興感染症、老年医学、ヘルスシステム改革、気候変動と健康などの重要課題を扱う中で、その影響力は継続すると見られています。
参考となるポイント(要約)
- 創刊:1823年(トーマス・ウェイクリー)
- 性格:週刊のピアレビュー付き総合医学雑誌
- 掲載内容:原著論文、総説、論説、通信、ニュース、ケース報告など
- 所有:1991年以降はエルゼビア社
- 国際展開:ロンドン、ニューヨーク、北京の編集拠点を含むグローバルな体制
- 評価と課題:高い学術的影響力を持つ一方で、査読や倫理に関する批判・論争も経験している
上記はLancetの概要と主な特徴です。具体的な掲載論文や特集、査読・投稿手続きの最新情報は、Lancetの公式サイトや各号を参照してください。
関連ページ
- 英国医学雑誌
- ネイチャー誌
- サイエンス
質問と回答
Q: ランセットとは何ですか?
A: ランセットは週刊の査読付き総合医学雑誌です。
Q: ランセットは誰が創刊したのですか?
A: ランセットはイギリスの外科医、トーマス・ウェイクリーによって創刊されました。
Q: 「ランセット」とはどういう意味ですか?
A: 「ランセット」という言葉には、手術用ナイフという意味と、建築用語で尖ったアーチを持つ窓「ランセットアーチ」という2つの意味があります。
Q: ランセット誌はどのような論文を掲載していますか?
A: The Lancetは、オリジナルの研究論文、総説(「セミナー」と「レビュー」)、論説、書評、通信、そしてニュース特集や症例報告を掲載しています。
Q: ランセットは誰が所有しているのですか?
A: ランセットは1991年以来エルゼビア社の所有となっています。
Q: ランセットの編集オフィスはどこにありますか?
A: ランセットの編集オフィスはロンドン、ニューヨーク、北京にあります。
Q: 「ランセットアーチ」という言葉は何を意味しているのですか?
A: 「尖頭アーチ」という言葉は、「知恵の光」や「光を取り入れる」ことを示唆しているのかもしれません。
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