概要
『ロング・グッドバイ』は、ロバート・アルトマン監督による1973年の犯罪ドラマで、レイモンド・チャンドラーの1953年の同名小説(原作小説)を映画化した作品である。チャンドラーの古典的な私立探偵ものを1970年代初頭のロサンゼルスへ置き換え、エリオット・グールド演じる私立探偵フィリップ・マーロウが、友情、名声、腐敗をめぐる複雑な事件に巻き込まれていく。
キャストと登場人物
- エリオット・グールド:フィリップ・マーロウ ― 乾いた口調で世慣れた探偵(エリオット・グールド)。
- スターリング・ヘイドン:悩みを抱えた小説家ロジャー・ウェイド(スターリング・ヘイドン)。
- ニナ・ヴァン・パラント:アイリーン・ウェイド。
- ジム・バウトン:助演として出演(ジム・バウトン)。
- マーク・ライデル、さらに初期のキャリアにおけるアーノルド・シュワルツェネッガーの短い出演(マーク・ライデル、アーノルド・シュワルツェネッガー)。
配給はユナイテッド・アーティスツが担当し、よく知られたノワールの主人公像に対する型破りなアプローチでも知られる。
作風と原作からの変化
アルトマン版は、チャンドラーの時代設定のある探偵物語をそのまま再現するのではなく、意図的に距離を取っている。乾いたユーモア、即興的な演技、ゆったりとしたテンポを組み合わせることで、ノワールの定型をずらしていく。マーロウは、硬派な私立探偵というより、道徳的な流れに違和感を抱く哀愁を帯びた観察者として描かれ、1970年代アメリカの空気と対照をなす。映像とトーンの両面で、現代的な舞台設定とチャンドラー風の台詞や主題が交差し、私立探偵映画を再解釈した作品となっている。
評価とその後
公開当時、この映画は批評家と観客の評価が分かれた。アルトマンの大胆さやグールドの演技を称賛する声があった一方で、原作からの変更を問題視する意見もあった。やがて『ロング・グッドバイ』は再評価され、ネオ・ノワールの重要作、そしてアルトマンによる群像キャストの斬新な使い方を示す作品として語られることが多くなった。ミステリー、風刺、社会観察を織り交ぜた作風は、現在でも研究と称賛の対象であり続けている。