This Land Is Your Land(1940)— ウディ・ガスリー:歌詞・意味・背景解説

ウディ・ガスリーの名曲「This Land Is Your Land」──歌詞の意味、政治的背景、誕生から録音・出版までの経緯を史実に基づき分かりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

This Land Is Your Landは、アメリカで最もよく知られているフォークソングの一つです。その歌詞は、1940年にアメリカのフォークシンガーであるウディ・ガスリーが、すでに存在していたメロディを元に作詞したものです。ガスリーのメロディは「Oh, My Loving Brother」のメロディに酷似していました。これはカーター・ファミリーが"When the World's On Fire"として録音したバプテスト派のゴスペル讃歌で、彼らの"Little Darlin', Pal of Mine"にインスピレーションを与えていた。彼はコーラスと節に同じメロディを使用しています。

背景と成立

ウディ・ガスリー(1912–1967)は、ダストボウル期の苦境や労働者・貧困層の視点から歌を作り続けた歌い手です。ガスリーがこの曲を書いた直接の動機は、当時ラジオで頻繁に流れていたケイト・スミスが歌うアーヴィング・バーリンの「ゴッド・ブレス・アメリカ」に対する反発でした。彼はこの曲のナショナリスティックで自己満足的な調子を嫌い、より現実を見据えた歌を書こうと考えたと言われています。元々は「God Blessed America For Me」というタイトルで書き始め、時間をかけて歌詞やタイトルを書き直し、最終的に"This Land Is Your Land"となりました。

歌詞の意味と政治性

表面的には「この土地はあなたのもの、私のもの」という包摂的なメッセージを持つ歌ですが、ガスリーのオリジナルには明確な社会的・政治的な批判が盛り込まれています。特に以下のような主題が重要です。

  • 不平等と貧困:救済所(relief office)や飢えた人々を目にする描写など、当時の社会的困窮を直視する節が存在します。
  • 私有地と排除:歌詞中に「No Trespassing(立入禁止)」の看板を見て、その裏側もまた「この土地はあなたと私のために作られた」と歌う節があり、私有財産制度や排除の問題を暗示します。
  • 政治的志向:ガスリーは労働運動や左派的な理念に共感しており、録音や出版物によっては共産主義的・社会主義的な観点からの詩句をあからさまに加えることがありました。そのため、後年に歌が広まる過程で一部の政治的節が削られることもありました。

このように、歌は単なる愛国歌ではなく、アメリカ社会の光と影を同時に歌う作品として成立しています。

録音・出版の経緯

ガスリーがこの曲を書いたのは1940年ですが、初期の録音は1944年に行われ、出版は1945年のことでした。1945年に出された10曲入りの小冊子にはタイプされた歌詞とガスリー自身の手描きのイラストが収められ、25セントで販売されました。この小冊子は後に1951年に著作権が登録されています。

専門的に印刷された最初の出版物は1956年にLudlow Music(現在のリッチモンド・オーガニゼーションのユニット)から出され、ピアノとギター伴奏付きの楽譜が普及することで幅広い歌い手に受け入れられていきました。

受容と影響

1950年代以降のフォーク復興期には、ピート・シーガーらによってこの曲が広められましたが、彼らは子どもや大衆に受け入れられやすいように政治的な節を省略して歌うことが多く、その結果、より「国民的な賛歌」として理解される側面が強まりました。一方で、歌の反体制的な側面を尊重してオリジナルの節を復元して歌う動きも常に存在しました。

1960年代以降、多くのアーティストがカバーし、学校行事や政治集会、映画などで頻繁に用いられることで、アメリカのポピュラー文化に深く根付いていきました。2002年には、その年に議会図書館が選んだ50枚の録音のうちの1枚として、全米録音登録簿に登録されています。

論争と現在の位置づけ

歌の政治的起源と、後に広く愛唱される過程での「無害化」のギャップは議論の対象となってきました。ガスリー自身の社会批判を削って歌い継いだ例と、オリジナルの批判的な節を復活させる例が並存しており、この曲をどう受け取るかは歌唱者や聞き手の価値観によって異なります。

今日では、愛国的な文脈でも使われますが、同時に歴史的背景やガスリーの意図を踏まえて歌詞全体に目を向ける動きが強まっています。つまり、この歌はアメリカの理想を称える一方で、現実の不平等や排除を批判する二重性を併せ持つ名曲として評価されています。

代表的なカバーと補足

  • ピート・シーガーやブルース・スプリングスティーンなど、多くのアーティストがカバーしています。各アーティストによって歌われる節の選択が異なるため、バージョンによって印象が大きく変わります。
  • 教育現場や公共の場で歌われる際には、一般に政治的節が省略されることが多い点に注意が必要です。
  • メロディの起源やガスリーの筆致に関しては研究が続いており、フォーク伝承の一例としても重要です。

以上のように、This Land Is Your Landは単なる愛国歌ではなく、作曲当時の社会状況や作者の政治的視点が色濃く反映された作品です。歌詞の全体を読むことで、当時のアメリカ社会への鋭い視線と普遍的なメッセージの両方を感じ取ることができます。

1943年のウディ・ガスリーZoom
1943年のウディ・ガスリー

質問と回答

Q:「This Land Is Your Land」の歌詞は誰が書いたのですか?


A:ウディ・ガスリーが「This Land Is Your Land」の歌詞を書きました。

Q: ガスリーはどんなメロディーを使って歌ったのですか?


A: ガスリーは、バプティストのゴスペル賛美歌「Oh, My Loving Brother」やカーター・ファミリーの「When The World's On Fire」のようなメロディーを、サビと節の両方に使っています。

Q: ガスリーはなぜアーヴィング・バーリンの歌「ゴッド・ブレス・アメリカ」に怒っていたのか?


A: ガスリーは、アーヴィング・バーリンの歌「ゴッド・ブレス・アメリカ」のポジティブ(自画自賛)な態度が、現実的でなく、国を誇りに思いすぎているように聞こえることに腹を立てていたのです。

Q: ガスリーはいつ、バーリンの歌に対する反論を書いたのですか?


A: ガスリーは、1940年に「God Blessed America For Me」という原題で反論を書きました。

Q: この曲はいつ発表されたのですか?


A: この曲は1945年に初めて出版され、タイプされた歌詞と手描きの絵を含む10曲のガリ版刷りの小冊子に収録されています。

Q: ガトリーの歌の出版権は誰が管理したのですか?



A: ラドローミュージックが出版権を管理しています。

Q: ナショナルレコーディングレジストリに登録されたのはいつですか?


A: 2002年にナショナル・レコーディング・レジストリに登録されました。


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