トッカータとは 定義と起源、オルガン・ピアノの代表作と主要作曲家

トッカータ(Toccata)とは、ルネサンス期以降に発展した、主に鍵盤楽器の独奏曲に付けられるタイトルで、速いパッセージや華麗な技巧を特徴とする楽曲です。語源はイタリア語の「触れる」を意味する動詞に由来し(原語は 楽器を演奏することを意味する語)、演奏者のタッチ(指さばき)と技巧を見せることを意図しています。トッカータはしばしば即興的で自由な部分と対位法的・フーガ風の部分とが交互に現れる形式をとり、速い音階やアルペジオ、切迫した連続音などを多用して聴衆に強い印象を与えます(特に高度な技巧を必要とするため、聴衆への見せ場でもありました)。

起源と初期の発展

トッカータの初期の例はイタリアで生まれ、ヴェネツィアや北イタリアの作曲家たちによって発展しました。初期の作例としては、教会と宮廷の鍵盤音楽を手がけた作曲家たちの鍵盤曲群に見られ、右手の速いスケール進行や左手の和声的伴奏を特色とします。たとえば、当時の北イタリアの作曲家として北イタリアで活動したクラウディオ・モンテヴェルディやジョヴァンニ・ガブリエリなどの作曲家の周辺で鍵盤作品が発展したことが知られています。

ドイツ・バロックとオルガン音楽

ドイツでは、ヴェネツィアで学んだハンス・レオ・ハスラーのような作曲家がトッカータ様式を取り入れ、それがドイツのオルガン音楽へ大きな影響を与えました。バロック期にはオルガン作曲家たちが多数のトッカータ(あるいはトッカータに近い自由形式の前奏曲やプラウトゥム)を書いています。中でも、オランダや北ドイツの作曲家たちが重要な役割を果たしました:オランダ人のゼーリンク(Zeerink?/原義不明)や、パッヘルベルブクステフーデ、そしてヨハン・セバスティアン・バッハなど、ドイツのバロックオルガン作曲家の多くがトッカータを書いています。特にバッハのトッカータとフーガ ニ短調(BWV 565)はオルガン音楽の代表作の一つとして広く知られ、トッカータというジャンルを象徴する作品になっています(ただし、この作品の作曲者・成立事情については現在でも議論がある点に注意が必要です)。

19世紀以降の復興とフランスの影響

バロック以降、トッカータは一時的に作曲が減少しましたが、19世紀後半にフランスのオルガニストたちによって再評価され、オルガン・レパートリーの重要な柱となりました。たとえば、9世紀という表記が元文にありますが、正しくは19世紀後半にあたります。19世紀後半の代表的な例は、フランスのシャルル=マリー・ウィドールの交響曲第5番からのトッカータ(通称「ウィドールのトッカータ」)で、この荘厳で華やかな終楽章は結婚式などでも頻繁に用いられます。トッカータの特徴は、右手の速い音符群と時に左手の大きな和音、そしてオルガンではペダルにおける低音の強奏を併せ持つ点にあります(ペダルの使用が効果的に活かされています)。同時代のもう一つの有名なオルガン・トッカータはルイ・ヴィエルヌの作品に見られ、彼の交響曲第1番の最終楽章も高く評価されています(当時のフランスではオルガン大作を「交響曲」と呼ぶことがしばしばありました)。

ピアノのトッカータと20世紀の展開

20世紀に入ると、作曲家たちはピアノのために新たなトッカータを作曲するようになり、近代的なリズム感や調性の変化を取り入れた作品が生まれました。代表的なピアノのトッカータには、20世紀に活躍した作曲家たちの作品が含まれます。たとえば、プロコフィエフの「トッカータ(D短調 Op.11)」や、ハチャトゥリアンの「トッカータ」、ラヴェルLe Tombeau de Couperinにおける終曲(トッカータ風の楽想)、クロード・ドビュッシーの「Suite: Pour le Piano」の一楽章(トッカータ)などが挙げられます。これらはピアノの機能性を最大限に活かし、かつ多様な表現を伴うため、コンサート・レパートリーとして人気があります(例として、テクニック志向の曲や近代の響きを示す作品群が存在します)。また、20世紀のトッカータは時に民族的リズムや不協和音を伴い、従来のバロック的対位法とは異なる音響世界を提示します(原文ではピアノのためのトカタと記載されていますが、正しくは「トッカータ」が一般的な表記です)。

形式的特徴と演奏上の留意点

  • 即興風の自由なパッセージと厳格な対位法(フーガ風)の対比が多い。
  • 速い音階・連続音、跳躍、大きな和音を含むため高度な技巧を要する。
  • オルガン版ではペダルを使った低音の強調が効果的で、音色や登録(ストップ)選択が演奏の印象を左右する。
  • 曲によっては伝統的な形式にとらわれず、即興的・表現的に展開するため、演奏者の解釈が重要となる。

代表作と主要な作曲家(抜粋)

  • クラウディオ・メルゥロ(Claudio Merulo)やジョヴァンニ・ガブリエリらに始まるイタリアの初期鍵盤作品群
  • ハンス・レオ・ハスラー(Hans Leo Hassler)など、ヴェネツィア学派の影響を受けたドイツの作曲家
  • パッヘルベル、ブクステフーデ、J.S.バッハ(例:トッカータとフーガ ニ短調)などのバロック・オルガン作曲家
  • シャルル=マリー・ウィドール(ウィドール)やルイ・ヴィエルヌ(ヴィエルヌ)など、19世紀末〜20世紀初頭のフランスのオルガニスト
  • プロコフィエフ(プロコフィエフ)、ラヴェル(ラヴェル)、ドビュッシー(ドビュッシー)、ハチャトゥリアンなどの20世紀のピアノ作曲家(ピアノのためのトッカータ作品)

現代での位置づけと用途

トッカータは現在でもオルガンやピアノのコンサートで人気のあるジャンルであり、特にオルガン・トッカータは結婚式や式典でのフィナーレとしてよく演奏されます。ピアノのトッカータは技巧的な聴きどころが多く、演奏会や録音でしばしば取り上げられます。また、作曲家や演奏家にとっては即興性と構築性を同居させる魅力的な形式であり、新作も時折発表されています。

まとめると、トッカータは「触れる」ことに由来する名称にふさわしく、演奏者の技巧と表現力を強く打ち出す鍵盤独奏曲の伝統です。時代と地域によって様式は変化しましたが、その刺激的でダイナミックな性格は今日でも多くの聴衆を惹きつけています。

関連ページ

  • フーガ
  • 前奏曲

質問と回答

Q:「トッカータ」とはどういう意味ですか?


A:「トッカータ」の語源は、イタリア語で「触れる」という意味であり、楽器を演奏するという意味もあります。

Q: トッカータを最初に作曲した作曲家は誰ですか?


A: 最初のトッカータは、クラウディオ・モンテヴェルディやジョバンニ・ガブリエリといった作曲家によって北イタリアで書かれました。

Q: トッカータはどのような楽器のために書かれるのですか?


A: トッカータは鍵盤楽器(チェンバロやオルガン)のための曲で、右手に多くの音階、左手に伴奏の和音を持っています。

Q: バロックのオルガン曲で最も有名な曲の1つ、トッカータとフーガ ニ短調を書いたのは誰ですか?


A: ヨハン・セバスチャン・バッハが書いたトッカータとフーガ ニ短調は、バロック・オルガン音楽の中で最も有名な曲の一つであり、おそらく最も有名なトッカータである。

Q: 19世紀後半にトッカータを書くことを再び普及させたのは誰ですか?


A: フランスのオルガン作曲家が19世紀後半にトッカータの作曲を普及させました。例えば、シャルル=マリー・ウィドールの交響曲第5番からのトッカータは、今日とても人気があります。

Q: 20世紀の作曲家で、ピアノのトッカータをいくつか書いた人がいますか?



A: 20世紀には、プロコフィエフ、ハチャトゥリアン、ラヴェル(『クープランの墓』の一部)、ドビュッシー(『ピアノ組曲』の一部)など、複数の作曲家がピアノのためのトッカータを作曲しています。

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