トラスティシステムとは、ミシシッピ州立刑務所(通称パーチマン農場)をはじめとする刑務所で採られた、受刑者(トラスティ、trusties)を使って他の囚人を管理・監督させる制度です。トラスティには拘束具や武器、独自の規律を執行する権限が与えられ、しばしば看守の代わりに収容棟や農場、工場での監督・懲罰を担っていました。制度は南部の植民地的・人種差別的な犯罪処罰の伝統と結び付き、19世紀後半から20世紀中ごろまで続きました。

トラスティ制度の実態

この制度は、民間の(囚人ではない)警備員に給金を支払う必要がなく、刑務所当局にとっては経費節減になる面がありました。しかし実際には、トラスティが他の囚人に対して暴力的支配を行うことが常態化しました。具体的には、身体的虐待、拷問、恐喝、性的虐待、屈辱的な扱い、強制労働といった人権侵害が報告されています。食事や医療の不備、過密収容、適正な手続きの欠如と相まって、受刑者の生活環境は極めて劣悪でした。

1974年の違憲判決とその内容

こうした状況に対して訴訟が提起され、1974年に連邦控訴裁判所はトラスティシステムを含むミシシッピ州刑務所の慣行が合衆国憲法第八修正の保障する残酷で異常な刑罰の禁止に反すると判断しました(連邦裁判所の判決、いわゆる Gates v. Collier)。その判決は、刑務所当局とトラスティの行為が組織的な暴力と人権侵害を招いていることを認め、制度の即時的な見直し・是正措置と連邦監督下での改革を命じました。判決は連邦裁判所の判断として、州レベルの慣行も合衆国憲法に照らして検討されるべきことを明確にしました。

その後の影響と現在の課題

この判決により、少なくとも公式にはトラスティ制度は廃止され、暴力的・差別的な慣行の多くは撤廃されました。専門的な矯正職員の配置、懲罰的慣行の禁止、医療や衛生環境の改善などが進められ、刑務所運営の近代化が図られました。しかし、改革後も施設内暴力や過密、医療へのアクセス不足といった問題は完全には解消されておらず、受刑者の人権保護と刑務所運営の透明性は今日でも重要な課題となっています。1974年の判決は、刑務所での人権侵害に対する司法的チェックの先例として、アメリカの矯正史において重要な意義を持っています。