蛇腹(ベローズ)とは:仕組み・種類・楽器・鍛冶・パイプオルガンでの用途

蛇腹(ベローズ)とは?仕組み・種類、楽器や鍛冶での使い方、パイプオルガンでの役割を図解と歴史で初心者にもわかりやすく解説します。

著者: Leandro Alegsa

蛇腹とは、空気を取り込み、圧縮または膨張させることで気流を作り、その気流で物を動かしたり、空気圧を供給したりする装置(あるいは部位)です。内部は折り畳まれた袋状の構造(折り目=蛇腹)があり、これを押し縮めたり引き伸ばしたりすると内部の容積が変わって空気が出入りします。手で操作する小型のものから、巨大なパイプオルガンの空気供給用のものまで、サイズや構造は多岐にわたります。

仕組み

基本的な動作は非常に単純です。蛇腹を引くと空気が内部に入り、押すと空気が押し出されます。送り出す方向を制御するために、入口と出口に一方向にしか開かない弁(逆止弁・ワンウェイバルブ)が付くことが多く、これにより効率よく一定方向の気流を得られます。大きな装置では、蛇腹の動作を平滑化するために蓄気器(レシーバー)や圧力調整器を組み合わせ、安定した圧力の空気(「風」)を供給します。

種類と用途(概観)

  • 手動・足踏み式の小型蛇腹:暖炉の吹き鳴らしやハルモニウム(踏み鍵でポンピングする)などに使われる。
  • バッグ型:バグパイプの袋や、空気を貯めて供給するタイプ。ウィーン管楽器(ウィーレン・パイプ)では肘で操作する蛇腹もある。
  • 折り畳み式(楽器用):アコーディオンやコンサーティーナなどの小型楽器にも使われる。折り目(ベローズ)を伸縮させて空気を送り、リードを振動させる。
  • 工業用・鍛冶用:昔の鍛冶屋が使った大型の木製+革製の蛇腹や、現代の電動ブロワーに置き換えられたもの。金属の溶接や錬の際の送風源として利用される。
  • パイプオルガン用:大型の風袋・送風機・蓄圧器を含むシステムで、少数〜多数のパイプに安定した風を送る。昔は人力(時に数人)で操作したが、現在は多くが電気で駆動される。

楽器での具体例

楽器用の蛇腹は比較的小型で、音源(リードやパイプ)に必要な空気圧を瞬時に供給するためのものです。例として:

  • アコーディオン:折り畳み式の蛇腹を手で開閉し、箱内の弁を通る空気で金属リードを振動させ音を出す。角の補強や通気止めのための金属当て、コーナーのパッチなどが付く。
  • コンサーティーナ:小型の蛇腹を両手で操作する。形状やボタン配置はアコーディオンと異なるが基本原理は同じ。
  • ハルモニウムには蛇腹があり、演奏者が足でポンピングして操作するタイプが一般的。足で一定のリズムと圧力を保つことが必要。
  • バグパイプ:バッグ(袋)が蛇腹の役割を果たし、演奏者の腕や専用のベローズで風を補給する方式もある。

鍛冶・工業での利用

古くは木製の枠に革を貼った大型の蛇腹を人が操作して炉へ風を送っていました。これにより火力を調整し、溶融や鍛造を行います。現代では電動ブロワーや送風機がほとんどを置き換えていますが、小型の手動器具や特殊な炉では依然として蛇腹(およびその原理)が使われます。工業用では耐熱・耐久性の高い素材や金属製の構造、圧力計・弁を併設することが多いです。鍛冶用の伝統的な蛇腹は修理(張り替え)やメンテナンスの技術も専門化しています。

パイプオルガンでの役割

パイプオルガンでは多数のパイプへ一定かつ安定した「風」を供給する必要があるため、蛇腹(風袋)とそれに続く蓄圧器(風槽/レシーバー)、風琴台(ウィンドチェスト)などを組み合わせたシステムが使われます。歴史的には複数の人が交代でベルローズ(膨張・収縮させる装置)を操作していたため、演奏中に別の人が「押す(引く)」などの役割を担っていました。現代は主に電動ブロワーによる自動供給が主流ですが、歴史的楽器の復元や特定の音響効果を得るために手動式や間欠的な供給方式を残すことがあります。

材料と構造、メンテナンス

伝統的な蛇腹は木製の枠、革(牛革・羊革など)、布や紙、釘や糊で接合した層から成ります。現代では合成ゴムやビニール、合板、金属プレート、接着剤などを用いることもあります。楽器用では軽さと気密性、曲げ耐久性が重要で、角部分には金属や革の補強が施されます。長期間使用すると革の乾燥や縫い目の劣化で空気漏れが生じるため、定期的な点検と補修(リレザー、シール材の交換、縫い直しなど)が必要です。

歴史と現代の動力

蛇腹の原理は古代から知られており、冶金・鍛冶や楽器の発達とともに多様化しました。中世〜近世には大型の木製・革製蛇腹が盛んに用いられ、産業革命以降は蒸気機関や電動モーターを用いた送風機が普及して人力式は減少しました。現在では小型楽器や伝統技術の分野で手動蛇腹が残る一方、産業用途やパイプオルガンの主要供給源としては電気式ブロワーが主流です。

要点まとめ

  • 蛇腹は「容積変化による気流生成」を利用する単純かつ応用範囲の広い装置である。
  • 楽器(アコーディオン、コンサーティーナハルモニウムなど)、鍛冶屋や溶接、パイプオルガンの風供給などに使われる。
  • 材料や形状は用途に応じて多様で、維持・修理(リレザー、シール交換など)が性能維持に重要である。
  • 伝統的には人力で操作されていたが、現在は多くが電気で駆動される。
オーストラリアにある鍛冶屋の鞴(ふいご)。Zoom
オーストラリアにある鍛冶屋の鞴(ふいご)。

質問と回答

Q:ベローズとは何ですか?


A:蛇腹とは、小さな開口部に空気を吹き込んで何かを動かす装置のことです。

Q:蛇腹には何が入っているのですか?


A:蛇腹の中には空気が入っている袋のようなものが入っています。

Q:蛇腹の袋を絞るとどうなるのですか?


A:蛇腹の袋がしぼむと、空気が押し出されます。

Q:小型で手で操作するタイプの蛇腹にはどんなものがありますか?


A:暖炉の火を焚くための蛇腹など、小型で人の手で操作するものがあります。

Q:電気で動く大型の蛇腹にはどんなものがありますか?


A:電気で動く大型のふいごとしては、大型のパイプオルガンの演奏に必要な空気を作るためのものがあります。

Q:鍛冶屋や金属加工屋が使う蛇腹にはどのようなものがありますか?


A:鍛冶屋や金属職人が製錬や溶接を行う際に使用するのがジャバラです。

Q:蛇腹を使用する小型の楽器にはどのようなものがありますか?


A:バグパイプ、アコーディオン、コンサーティーナなどの小型楽器があります。


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