緑色植物(Viridiplantae / Chloroplastida)とは|定義・分類・特徴

緑色植物(Viridiplantae/Chloroplastida)の定義・分類・特徴をわかりやすく解説。緑藻類から陸上植物まで、葉緑体や35万種超の多様性を凝縮。

著者: Leandro Alegsa

緑藻類と陸上植物を含む「緑色植物」。

分類体系によっては、従来の植物界(着生植物)を拡大し、緑藻類を含めて植物界と呼ぶこともある。

2005年に真核生物の分類を作成したAdlらは、緑色の葉緑素を持つ一次葉緑体を持つグループを反映して、このグループをChloroplastidaと名づけた。彼らは、ほとんどの種が従来から理解されている植物ではないことを理由に、Viridiplantaeという名称を否定した。

Viridiplantaeは35万種以上あると言われています。

定義

緑色植物(Viridiplantae / Chloroplastida)は、一次葉緑体(シアノバクテリアに由来する原始的な光合成細胞小器官)を持ち、主にクロロフィルaとbを光合成色素として用いる真核生物の大きな系統群です。一次共生で獲得した葉緑体を共有する点で、他の光合成真核生物(紅藻類やGlaucophytaなど)と区別されます。

主要な分類群

  • 緑藻類(Green algae):海洋や淡水、湿った陸上環境に広く分布する多様な単細胞〜多細胞の藻類群。伝統的にさらに複数の門・綱に分けられます(例:Chlorophyta、Ulvophyceae、Trebouxiophyceaeなど)。
  • ストレプト植物群(Streptophyta):チャロファイト(陸生藻類に近縁な群)と陸上植物(Embryophyta)を含む系統。チャロファイトの一部は陸上植物に近い形態・生活史を持ちます。
  • 陸上植物(Embryophyta):真正な陸上植物で、コケ類(蘚類・ホウオウゴケ類等)、シダ植物、種子植物(裸子植物・被子植物)を含みます。光合成・維管束・根・葉など陸上生活へ適応した特徴を持ちます。

特徴

  • 葉緑素:クロロフィルaに加え、クロロフィルbを含むことが多く、これが「緑色」を生む主要因です。カロテノイドなどの補助色素も持ちます。
  • 一次葉緑体の起源:葉緑体はシアノバクテリアの一次共生に由来し、二重膜構造や独自のDNAを持つ点で他の真核生物の細胞小器官と区別されます。
  • 細胞壁と貯蔵物質:多くはセルロースからなる細胞壁を持ち、光合成産物の貯蔵形態としてデンプンを葉緑体内に蓄えます(動物・菌類とは異なる特徴)。
  • 生活環:単細胞性〜多細胞性、遊走細胞や鞭毛を持つ段階がある群、世代交代(配偶体と胞子体の交代)を示す群など、多様な生活史を示します。陸上植物では世代交代の様式がさらに複雑化しています。
  • 分子系統学上の単系統性:分子データは、緑色植物が一次葉緑体を共有する単系統群であることを支持しています。ただし、名称(Viridiplantae vs Chloroplastida)やどこまで「植物」と呼ぶかについては学者間で議論があります。

生態的・経済的な重要性

  • 一次生産者:淡水・海洋・陸上の生態系で重要な一次生産者として作用し、大気中の酸素供給や炭素循環に大きく寄与します。
  • 食料・資源:被子植物などの陸上植物は人類の主要な食料(穀物、野菜、果実)や木材・繊維・薬用資源を供給します。緑藻の一部は食品(海藻に近縁の種や培養藻)や飼料、バイオ燃料候補として注目されています。
  • 環境指標・生態系サービス:藻類群集は水質の指標となったり、沿岸域の生態系を支えたりします。陸上植物は土壌保全や気候調節にも重要です。

分類上の注意点と呼称

2005年のAdlらの分類では、一次葉緑体を持つこのグループをChloroplastidaと命名し、伝統的な「植物界(Viridiplantae)」という呼び方に慎重な立場をとりました(多くの種が従来イメージする“植物”とは異なるため)。しかし学術・教育・一般向け文献では、今もViridiplantaeChloroplastidaがほぼ同義的に用いられることが多く、用語の使い分けは文脈によります。

多様性の規模

文献や推定方法によって差はありますが、Viridiplantaeは35万種以上あるとされることが多く、これは主として陸上植物(被子植物など)の高い種多様性によるものです。緑藻類自体も形態・生態が多様で、微小な単細胞形態から大型の複雑な多細胞体まで存在します。

参考となるポイント

  • 緑色植物は光合成色素(特にクロロフィルb)と一次葉緑体を特徴とする大きな真核系統である。
  • 陸上植物は緑藻類から進化的に派生しており、緑藻類を除外すると植物群は単系統を保てない(緑藻類は系統的に多様)。
  • 分類名の使い分け(Viridiplantae vs Chloroplastida)は歴史的背景と学術的な立場に依存するため、文献を読む際は用語の定義を確認することが重要です。

さらに詳しい分類や各群の特徴(例:ChlorophytaやStreptophytaの内部分類、チャロファイトと陸上植物の系統関係など)は分子系統解析が進むにつれて更新されています。最新の系統学的知見を参照することをおすすめします。

グループ構成

単系統の緑藻類と炭藻類は、Viridiplantaeに分類される。一般的な分類としては

緑藻類」は、間違いなく単系統ではないので、ここでは使用しない。葉緑素と褐藻を一緒にした便宜的な用語に過ぎない。

この分類については、さまざまな意見がある。また、陸上植物と近縁なのはシャロフィツム科だけであるという意見もあり、その配置は次のように簡略化されている。



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