集合上の二項演算とは — 定義と例(加法・乗法・関数合成・和・交差)
集合上の二項演算の定義と具体例(加法・乗法・関数合成・和・交差)を図解と例題でわかりやすく解説。
数学では、集合に対する二項演算(しばしば * と表記される)は、その集合の要素の「2つ組」を結びつけて同じ集合の別の要素を返す規則のことです。直感的には「2つの要素を組み合わせる方法」を表します。たとえば、自然数の集合に対して * を加算とすると、任意の2つの自然数の和もまた自然数になり、この和が二項演算を適用した結果になります。自然数に対するもう一つの典型例は乗算で、例えば 2 と 3 を掛け合わせると 6 になり、これも自然数です。
定義(形式的表現)
集合 S 上の 二項演算とは、写像
* : S × S → S
のことです。つまり、任意の (a, b) ∈ S×S に対して、a * b が S の元として一意に定まります。この性質を 閉包性(閉じている)と言います。
基本的な性質
- 閉包性:a, b ∈ S ならば a * b ∈ S。
- 結合律(結合性): (a * b) * c = a * (b * c) がすべての a,b,c に対して成り立つ場合。
- 可換律(交換性): a * b = b * a がすべての a,b に対して成り立つ場合。
- 単位元(単位元の存在):ある e ∈ S が存在して、任意の a ∈ S に対して e * a = a * e = a を満たすとき、e を単位元という。
- 逆元:単位元 e に対して、各 a に対して a^{-1} が存在し a * a^{-1} = a^{-1} * a = e となるとき。
- 冪等性:a * a = a がすべての a に対して成り立つ場合(特に集合の和や交差で見られる)。
注意:ある演算が常に定義されない(例えば自然数の集合での引き算のように 2 − 5 が自然数にならない場合)場合、それはその集合上の全域な(二項)演算とは呼べず、必要に応じて「部分的な二項演算(部分演算)」と言います。
具体例
- 加法(自然数や整数上)
例:2 + 3 = 5。自然数 N や整数 Z 上の加法は閉じており、結合的で可換、単位元 0 を持ち、各元の逆元(負の数)は整数上で存在します(ただし自然数上では負は存在しない)。 - 乗法(自然数・整数・実数上)
例:2 × 3 = 6。乗法も多くの集合で閉じており、結合的で可換(行列の乗法を除く)、単位元は 1。行列の乗法は一般に可換でないことに注意してください(AB ≠ BA であることがある)。 - 行列の和・乗法
同じサイズ(同じ行数・列数)の行列同士の和は行列の集合上の二項演算です(閉包性あり)。行列の乗法は同じ次元条件の下で定義される二項演算ですが、乗法の順序が重要で可換でない場合が多いです。 - 関数の合成
関数集合 C(X, X)(X から X への写像全体)上での合成 f ∘ g は二項演算です。例:(f ∘ g)(x) = f(g(x))。合成は結合的ですが、一般に可換ではありません。関数集合では点ごとの(成分ごとの)演算も考えられ、たとえば実数値関数の和 (f + g)(x) = f(x) + g(x) も二項演算です。 - 集合の和(和集合)と交差(積集合)
集合 X の冪集合 P(X)(X の部分集合全体)上では、和集合 ∪ と交差 ∩ が二項演算です。例:{1,2} ∪ {2,3} = {1,2,3}、{1,2} ∩ {2,3} = {2}。これらは閉包性があり、可換かつ結合的で、冪等性(A ∪ A = A, A ∩ A = A)を持ちます。和集合の単位元は空集合 ∅、交差の単位元は全体集合 X です。 - 点列や文字列の連結
文字列集合に対する連結(concatenation)も二項演算です。例えば "ab" と "cd" を連結すると "abcd" になります。連結は結合的ですが可換ではありません。
補足事項
- 二項演算は通常中置記法(a * b)のように書かれますが、演算子によって前置や後置になる場合もあります。
- スカラー倍のように異なる集合同士を結びつける写像 K × V → V(体 K とベクトル空間 V の場合)は「外部二項演算(外部操作)」と呼ばれることがあります。これは「同じ集合上の二項演算」とは区別されます。
- ある演算が集合上の二項演算であるかどうかを判断する第一条件は「常に定義され、その結果が同じ集合に属するか(閉包)」です。
まとめると、集合上の二項演算とは S×S から S への写像であり、加法・乗法・関数合成・和集合・交差などが代表的な例です。各演算は閉包性のほか、結合律や可換律、単位元や逆元の有無など異なる性質をもち、それらの性質に応じて代数系(群、環、体、半格子など)が定義されます。
質問と回答
Q:二項演算とは何ですか?
A: 数学において、二項演算とは、ある集合の要素の組を組み合わせると、その集合の別の要素になることをいいます。
Q:二項演算は数学ではどのように表記されるのですか?
A:二項演算はアスタリスク記号(*)で表記されることが多いです。
Q:自然数に対する二項演算の例は?
A:自然数に対する2項演算の例として、足し算と掛け算があります。
Q:自然数の組に2項演算を適用した結果は?
A:自然数の組に2項演算を適用した結果は、別の自然数です。
Q:2項演算は、数以外の数学的対象にも適用できますか?
A:はい、2項演算は集合、行列、関数など他の数学的対象に適用することができます。
Q: 集合に対する2項演算の例を教えてください。
A:集合に対する2項演算の例としては、集合の和と交があります。
Q:2つの異なる2項演算を実行できるのはどのような集合ですか?
A:すべての集合の集合、または冪集合の部分集合に対して、2つの異なる2項演算を実行することができます。
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