ヨシゴイ(学名 Botaurinae)はサギ科(Ardeidae)に属する亜科で、一般に「ビットン(bittern)」とも呼ばれる水鳥群です。葦や湿地の茂みの中で生活する種が多く、背が低くずんぐりした体型、短めの首、保護色に優れた羽色をもつことが特徴です。人目を避ける習性が強く、繁茂する葦の中に身を潜めて獲物を待ち伏せするため、観察は難しいことが多いです。
分類学上は、ヨシゴイ類はサギ科の中でまとまったグループを成し、しばしば単系統の亜科として扱われます。園芸や学術書では、大型の種を含むBotaurus属と、小型種が多いIxobrychus属に大別されることが一般的で、分類によっては稀に単種からなる第3の属Zebrilusを認める扱いもあります(いずれも学名表記は斜体で示されます)。属ごとに体格や生態が異なり、たとえばBotaurus属には鳴き声が非常に低く遠くまで響く「ボーン」というような繁殖期の低音鳴きで知られる大型種が含まれます。
ヨシゴイ類は主に湿地、葦原、浅い泥地や水路などに生息し、狩りは警戒心を維持しながら静止して飛び込む、またはゆっくり歩いての待ち伏せで行われます。食性は幅広く、両生類、爬虫類、昆虫、魚、小型哺乳類などを捕食します。餌の取り方や好みは種や生息地によって差が出ますが、いずれも水辺に依存した食生活を送ります。
飛行時の姿勢については、サギ類全体と同様に首をS字に折りたたんで体側に引き寄せる姿勢を取るため、コウノトリやトキ、ヘラサギなどのストレートに首を伸ばして飛ぶ大型の水鳥とは見た目で区別できます。繁殖期には繁みの中での営巣や求愛行動、オスの遠達性の高い低周波の鳴き声(いわゆる“ブルーム”や“ボーン”と表現される音)など、特徴的な行動が見られます。
日本で見られる代表的な種には大型のオオヨシゴイ(Botaurus stellaris)や、体の小さいコヨシゴイ(Ixobrychus sinensis)などがあり、世界的にも温帯から熱帯の湿地帯に広く分布しています。種ごとに渡りを行うものと留鳥となるものがあり、生息地の乾燥や干拓、汚染による湿地消失が個体群の減少を招いているため、保全上の関心が高まっています。
語源については、英語の「bittern」は中世の語源をたどると古フランス語経由などが関係しますが、英語史の古い呼称も記録されており、古い資料では古英語の語形(例:hæferblæteなど)が見られることもあります。英語そのものの由来については、当時のヨーロッパ語系の呼称が変遷して現代に至ります(ここでは参考として英語への語形変化の一端を示しました)。
観察のコツとしては、朝夕の薄明薄暮時に葦原の縁を注意深く観察すること、静かに接近して「立ち姿」を見つけることが有効です。保全面では、湿地や葦原の保全・再生、水質改善、越冬地や繁殖地の保護が重要で、地元の観察団体や保護活動への協力が求められます。

