マクリン・マッカーティMaclyn McCarty、1911年6月9日 - 2005年1月2日)は、アメリカの遺伝学者である。遺伝子の化学的基盤がタンパク質ではなく、DNAであることを証明したことで知られる。

マッカーティは、生涯を感染症生物の研究に捧げた。バクテリアの研究は、遺伝学や生化学による遺伝の研究への道を開いた。これが、分子生物学の時代の始まりである。

マッカーティは、エイブリー・マクロード・マッカーティ実験を担当した研究チームの最年少かつ最長存命のメンバーである。1990年にウルフ賞(医学部門)を受賞した。マッカーティは2005年1月2日、うっ血性心不全のため死去した。

経歴と研究活動

マクリン・マッカーティは20世紀の生物学を大きく変えた研究に関わった一人であり、特に細菌学と感染症研究に生涯を捧げた。ロックフェラー研究所(現ロックフェラー大学)などで長年にわたり研究を続け、臨床的・化学的手法を組み合わせて微生物の性質や宿主応答の解明に貢献した。

エイブリーらの実験("transforming principle" の証明)

1940年代にオズワルド・エイブリー、コリン・マクロードと共同で行った研究は、肺炎球菌(肺炎の原因となる細菌)を材料にして「形質転換(transformation)」現象の本質を明らかにしました。研究チームは、病原性を持つ滑らかな(S 型)株から得た細胞抽出液が非病原性の粗い(R 型)株を病原性に変換することを示し、さらに抽出液に含まれる成分を酵素処理で選択的に分解する実験により、形質転換能はタンパク質やRNAではなくDNAに由来することを示しました。

具体的には、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)やリボヌクレアーゼ(RNA 分解酵素)では形質転換能は失われないが、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase、DNA 分解酵素)で処理すると形質転換能が消失する、という結果を示しました。このことは「遺伝情報の本体がDNAである」という結論を支持する強力な証拠となり、その後の分子生物学の発展、たとえばヘルシー=チェイス実験やDNA配列解析などにつながる基礎を築きました。

業績の意義

  • 当時はタンパク質こそが複雑な機能を担う高分子として注目され、遺伝物質はタンパク質であると考えられていた中で、DNAが遺伝の化学的基盤であることを示した点で画期的だった。
  • エイブリー・マクロード・マッカーティの発見は、分子レベルでの遺伝学の成立を促し、以後の遺伝子研究、分子生物学、バイオテクノロジーの発展に決定的な影響を与えた。

その後の研究と評価

エイブリーらの研究後も、マッカーティは感染症細菌の化学的・免疫学的研究を続け、特に球菌類(例:肺炎球菌や溶血性連鎖球菌)に関連する病態や抗原性の解析に貢献しました。これらの業績により、生前に多数の学術的評価と栄誉を受け、1990年にはウルフ賞(医学部門)を受賞しています。

評価と遺産

現在では、エイブリー・マクロード・マッカーティの仕事は分子生物学の古典的業績として広く認められており、教科書や歴史的解説でもその重要性が強調されています。彼の実験は、科学的手法によって既成概念を覆し、新しい学問領域を切り開く好例として評価されています。

最期

マッカーティは2005年1月2日にうっ血性心不全で逝去しました。その業績は今日の遺伝学・分子生物学の基礎を形作り、多くの研究者に影響を与え続けています。