チャンドラX線観測所(Chandra)—打ち上げ・性能・観測成果の概要

チャンドラX線観測所(Chandra)の打ち上げから高解像度性能、注目の観測成果までを分かりやすく解説する入門ガイド。宇宙X線観測の最前線を紹介。

著者: Leandro Alegsa

チャンドラX線観測所CXO)は、1999年7月23日にNASAが打ち上げた宇宙望遠鏡です。 打ち上げはスペースシャトルによって行われ、地球近傍の高楕円軌道へ投入されました。

チャンドラは、これまでのX線望遠鏡の100倍も暗いX線源に感度を持っています。これは、鏡の角度分解能が高いからです。地球の大気はX線の大部分を吸収してしまうため、地球上の望遠鏡ではX線を検出できません。このような観測を行うためには、宇宙にある望遠鏡が必要です。チャンドラは64時間の軌道を周回する地球衛星で、当初の設計寿命を大きく超えて現在も運用が続いています。

チャンドラは、ハッブル宇宙望遠鏡、コンプトンガンマ線観測所(1991~2000年)、スピッツァー宇宙望遠鏡と並ぶ大天文台の一つです。望遠鏡の名前はSubrahmanyan Chandrasekharにちなんでつけられました。

打ち上げと軌道の特徴

チャンドラは高楕円軌道(周期約64時間)に配置されており、この軌道により地球の放射線帯を長時間避けて連続観測が可能になります。高い軌道は、長時間の深宇宙観測や暗い天体の検出に有利で、観測の効率と感度向上に寄与しています。

観測装置と性能

  • 光学系:高角度分解能を実現するために、鏡はグレージング入射(Wolter型)を用いた精密な多段反射鏡で構成されています。これにより、0.5秒角程度の高い空間分解能を達成しています。
  • 主要検出器:主に二つのカメラを搭載しています。Advanced CCD Imaging Spectrometer(ACIS)はイメージングと分光を兼ね、High Resolution Camera(HRC)はより高時間分解能と高空間分解能を提供します。
  • 分光装置:高エネルギー透過格子(HETG)と低エネルギー透過格子(LETG)という回折格子を用い、高分解能X線分光を行うことができます。これにより、天体の温度や化学組成、速度場などを詳細に調べられます。
  • 感度:暗いX線源を検出できる高感度と、微細構造を分解できる高角度分解能が組み合わさることで、X線天文学における観測性能は従来機を大きく上回ります。

主な観測成果と科学的意義

  • 超巨大ブラックホールとそのジェット:活動銀河核やジェットの高解像度画像により、ジェットの構造や加速メカニズム、ブラックホール周辺の高温プラズマの振る舞いが明らかになってきました(M87などの例)。
  • 超新星残骸の詳細撮像:カッシオペヤA(Cas A)などの超新星残骸で衝撃波や元素分布を高解像度で捉え、爆発物理や元素合成の研究が進みました。
  • 銀河団の熱ガスと暗黒物質:銀河団に存在する高温のガスの分布と温度マップを作成し、クラスタ形成や凝縮過程の理解が進みました。衝突銀河団(いわゆるBullet Clusterなど)の観測は、重力質量とガス分布のずれを示し、暗黒物質の存在を支持する重要な証拠となりました。
  • 宇宙X線背景の分解:極深観測(Chandra Deep Field)で多くの遠方の活動銀河核や弱いX線源が個別に検出され、宇宙X線背景の起源解明に大きく貢献しました。
  • 時間変動現象の発見と追跡:中性子星、ブラックホール連星、超新星の衝撃波など、短時間で変化する高エネルギー現象の詳細な時間解析が可能になりました。
  • 太陽系天体のX線観測:惑星、衛星、彗星からのX線放射も観測され、太陽風と天体大気の相互作用の研究に役立っています。

運用・データ公開・コミュニティへの貢献

チャンドラの観測計画と運用はチャンドラX線センター(CXC)が管理し、観測データは公開データベースで提供されています。多くの観測データと解析ツールが研究者や教育用途に利用可能で、膨大な学術成果を生み出してきました。設計寿命は短期間でしたが、その後ミッションは延長され、長期にわたり宇宙高エネルギー天文学の基盤的観測装置として機能し続けています。

総括

チャンドラX線観測所は、高角度分解能と高感度を両立させたX線望遠鏡として、ブラックホール、超新星残骸、銀河団、遠方の活動銀河核など多岐にわたる高エネルギー現象の理解を飛躍的に深めました。地上・他波長の観測施設と協調したマルチメッセンジャー天文学の重要な構成要素であり、今後も蓄積されたデータと継続観測によって新たな発見が期待されています。

チャンドラX線観測装置Zoom
チャンドラX線観測装置

質問と回答

Q:チャンドラX線天文台とは何ですか?


A: チャンドラX線天文台は、1999年7月23日にNASAによって打ち上げられた宇宙望遠鏡です。

Q: チャンドラの感度はどの程度ですか?


A: チャンドラは、これまでのX線望遠鏡の100倍も暗いX線天体に感度をもっています。

Q: なぜチャンドラは高感度を実現できるのですか?


A: チャンドラの鏡の角度分解能が高いため、高い感度を実現しています。

Q: なぜ地球上の望遠鏡ではX線が検出できないのですか?


A: 地球の大気はX線の大部分を吸収してしまうため、地球上の望遠鏡ではX線を検出することができません。

Q: X線を観測するためには、どのような望遠鏡が必要ですか?


A:X線を観測するためには、宇宙望遠鏡が必要です。

Q: チャンドラはどのような軌道を回っているのですか?


A:チャンドラは地球の衛星で、64時間周期の軌道を回っています。

Q:チャンドラセカールと望遠鏡の関係は?


A: 望遠鏡の名前は、Subrahmanyan Chandrasekharにちなんでいます。


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