ハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、初の大型光学式宇宙観測用望遠鏡です。大気の上にあるので、地上の望遠鏡よりも空をはっきりと見ることができます。星の光は、地球に届く前に大気でぼかされてしまう。天文学者のエドウィン・ハッブルにちなんで名付けられたハッブル宇宙望遠鏡は、24時間の観測が可能です。主鏡の大きさは94.5インチ(2.4メートル)。ハッブル宇宙望遠鏡は、他の場所からはほとんど見えないほど遠くのものを撮影することができます。

NASAESAが協力して作ったものです。1990年4月24日に打ち上げられ、宇宙空間での距離は600km。地球低軌道にある他のものと同様に、秒速5マイル(10km)で移動します。地球上でこの速度で移動していたら、ニューヨークからサンフランシスコまで10分で行けることになります。この速さでは、観測のスケジュールを立てるのが難しい。

ハッブル本体は、大型スクールバスほどの大きさだが、スペースシャトルの貨物室に収まるほどの小ささである。画質に問題があったため、1993年に修理されました。

主な特徴と利点

  • 大気の影響がない観測: 大気のゆらぎや吸収がないため、地上望遠鏡よりも高い解像度で宇宙を観測できます。可視光だけでなく紫外線や近赤外線の観測も可能です。
  • 高い解像度: 主鏡直径は2.4メートルで、可視光の分解能は約0.05秒角(arcsecond)に達します。これにより、星間の細かい構造や遠方銀河の詳細をとらえられます。
  • 継続的な長期運用: 1990年の打ち上げ以来、複数回のサービシングミッションで機器の交換・修理を受け、当初の設計寿命を大きく超えて運用されています。
  • データの広い利用: 観測データは一定期間の独占利用期間(プロプライエタリ期間)の後、公的アーカイブで公開され、研究者や一般にも利用できます。

搭載機器(代表例)

  • WFPC(初期)→ 修理後は WFPC2(1993年設置、像の補正)
  • Wide Field Camera 3(WFC3)(2009年設置):広視野で高感度の可視・近赤外観測が可能
  • Advanced Camera for Surveys(ACS)(2002年設置):広視野イメージングに強み
  • Space Telescope Imaging Spectrograph(STIS):高分散スペクトルを取得
  • Cosmic Origins Spectrograph(COS)(2009年設置):紫外線分光でガスの性質を調べる
  • Near Infrared Camera and Multi-Object Spectrometer(NICMOS):近赤外観測用(1997年他)
  • Fine Guidance Sensors(FGS):高精度の姿勢制御と測距観測

歴史とサービシング(修理・改良)

  • 1990年4月24日、スペースシャトルSTS-31(Discovery)で打ち上げ。
  • 初期の問題:主鏡の形状にごくわずかな誤差(球面収差)があり、当初撮影された像の一部で画質が低下していました。
  • 1993年のサービシングミッション(SM1)で光学補正装置COSTARを取り付け、同時にWFPC2を搭載して問題を解決しました。
  • その後も1997年、1999年、2002年、2009年と複数回のサービシングで新機器の導入や修理・交換が行われ、観測能力が順次強化されました。

運動・軌道に関する補足

  • 打ち上げ時の標準的な軌道高度は約600kmとされますが、実際の軌道は時間とともに変動します。
  • 地球低軌道を高速で周回しており、実際の軌道速度は秒速およそ7〜8 km(約時速27,000 km)程度、地球一周はおよそ90〜100分で行います。
  • この高速移動と地球陰に入ること(地球の影による観測不可能時間)があるため、観測スケジュールは細かく組まれます。

主要な観測成果(抜粋)

  • ハッブル・ディープフィールド / ウルトラディープフィールド: 小さな空領域を長時間露光することで、初期宇宙の極めて遠方の銀河群を捉え、宇宙の形成史の理解に大きく貢献しました。
  • ハッブル定数の精密化: 遠方の変光星などを利用して宇宙の膨張率(ハッブル定数)の推定精度向上に寄与しました。
  • 宇宙論的加速膨張(ダークエネルギー)研究への貢献: 超新星観測を含む多くの観測が、宇宙の加速膨張という発見を裏付けるデータの一部となりました。
  • 星形成領域や惑星形成過程の詳細観測: 例えば「創造の柱(Pillars of Creation)」など星雲の構造や、原始惑星系円盤(プロトプラネットリーディスク)の観測で重要な知見を提供。
  • 系外惑星大気の研究: トランジット分光などで系外惑星の大気成分を推定する観測も行われています。

運用とデータ利用

  • ハッブルは主にNASAESAの協力で運用され、観測プログラムは天文学者からの提案(観測提案)によって選定されます。
  • 観測データは所定の独占期間の後、アーカイブで公開され、世界中の研究者や教育目的で利用できます。データの公開と解析により、多数の論文が生まれ続けています。

現在と将来

  • ハッブルは打ち上げから数十年にわたり活躍を続けており、特に紫外線領域での観測能力は、後継望遠鏡であるJWSTが得意とする波長帯とは異なり重要な役割を持ちます。
  • 将来的には新しい宇宙望遠鏡や地上の大型望遠鏡群と連携し、相補的に宇宙の謎解明に貢献すると期待されています。

参考:ハッブルはその卓越した観測能力により、天文学・宇宙論・惑星科学など多くの分野で革命的な発見をもたらしました。観測データは公開アーカイブで広く利用でき、専門家だけでなく一般向けの美しい画像や解説としても多く紹介されています。