アル・マスジド・アン・ナバウィ(預言者のモスク)—メディナのイスラム聖地と歴史

メディナの預言者のモスク(アル・マスジド・アン・ナバウィ)──ムハンマドの聖跡、グリーンドームや歴史的拡張、巡礼者必訪の聖地を詳述。

著者: Leandro Alegsa

アル・マスジド・アン・ナバウィーAl-Masjid an-Nabawī、アラビア語: المسجد النبوي; Prophet's Mosque)は、イスラム教の預言者ムハンマドが622年のメディナ移住(ヒジュラ)の後に設立したモスクで、現在はサウジアラビアのメディナに位置します。イスラム教では、メッカのマスジド・アル・ハラムに次いで第二の聖地とされ、イスラム史の初期に建てられた重要な宗教施設の一つ(しばしば「三番目に建てられたモスク」として紹介されることもあります)です。

歴史と初期の役割

このモスクは元来、ムハンマドの住居に隣接する簡素な構造として始まり、共同体の集会所、裁判所、教育の場(コーランを学ぶための台座など)として機能していました。初期イスラム共同体にとって、礼拝だけでなく行政・教育・社会福祉の中心でした。時代が進むにつれて、各地の支配者たちが増築や装飾を施し、規模を拡大してきました。

主要な拡張と改変

  • ウマイヤ朝の時代、特にカリフのウマイヤードのカリフ、アル・ワリード1世の治世下で大規模な再建と拡張が行われ、現在の礼拝空間に含まれる重要な構造の多くが整備されました。
  • 歴史的に、この敷地には預言者ムハンマドと初期の正統カリフであるラシドゥンのカリフ、アブ・バクルとウマルの最期の休息場所が組み込まれています。これらの墓所は敬意を払われ、内部への立ち入りは制限されています。
  • 1279年には墓所の上に木製のキューポラが建てられ、その後も15世紀後半や18〜19世紀を含む幾度かの改修・再建が行われました。

グリーンドーム(緑のドーム)と象徴性

モスクの南東角にあるいわゆる「グリーンドーム」は、もともとアイシャの家があった場所に位置し、ムハンマドの墓所を覆う形で発展してきました。現在のドーム形状はオスマン朝期に整えられ、1818年にはオスマントルコのスルタン、マフムード2世による改築が行われました。その後1837年に最初に緑色に塗られたことから「グリーンドーム」として広く知られるようになりました。

建築的特徴・礼拝空間

アル・マスジド・アン・ナバウィーは、広い中庭(サフル)や柱廊、ミナレット(尖塔)、複数のドームなどを備え、歴史的建築様式が層をなして残っています。内部には預言者が用いたと伝わるミンバル(説教壇)や、「ラウダ(アル=ラウダ)」と呼ばれる、預言者の墓とミンバルの間にある特に尊ばれる区域があり、信者から深い敬意を集めています。

近代の改修と現代の役割

19世紀以降、オスマン朝からサウジ王国に至るまで幾度も修復・拡張が行われ、近代化の一環として20世紀初頭には照明などの設備も導入されました。なお、1909年には、アラビア半島で初めて電灯が設置されましたと伝えられています。20世紀後半〜21世紀にかけては、訪問者の増加と安全・利便性確保のため大規模な拡張工事が実施され、周辺のホテルや市場(スーク)と連携した巡礼インフラが整えられています。現在は大規模な礼拝者数を収容できる施設となり、主要な巡礼地の一つです。

宗教的意義と参拝

多くのムスリムは、ハッジを行う際や、ウムラ(小巡礼)の際にメディナを訪れてこのモスクで祈ることを望みます。特にラウダ周辺は信仰上特別に尊ばれ、訪れる信者は礼拝や祈りを捧げますが、墓所や内部の一部区域への立ち入りは制限されている点に留意が必要です。参拝時には一般的なイスラム礼拝の規律(服装の節度、静粛、列を乱さない等)が求められます。

管理と保存

モスクの運営と維持は、現代のサウジ当局(いわゆる「二聖モスク」管理機関)によって行われ、宗教的儀礼、安全、保存・修復工事、参拝者対応が体系的に管理されています。歴史的遺構としての価値と、多数の巡礼者を受け入れる宗教施設としての機能を両立させるため、継続的な保存努力が続けられています。

モスクはメディナの旧市街の中心に位置し、周辺には多くの宿泊施設や古い市場が集まっています。イスラム史と預言者ムハンマドの生涯に深く結びついた場として、今日も世界中から訪れる人々の信仰と学びの場であり続けています。

質問と回答

Q:アル・マスジド・アン・ナバウィとは何ですか?


A: アル・マスジド・アン・ナバウィは、イスラームの預言者ムハンマドによって設立されたモスクであり、もともと建設されたものです。サウジアラビアのメディナという街にあります。

Q: 何が特別なのですか?


A: アル・マスジド・アン・ナバウィは、メッカのマスジド・アル・ハラームに次いで、イスラム教で2番目に神聖視されている場所です。また、イスラム教の歴史上3番目に建てられたモスクであり、現在では世界最大級のモスクの一つとなっています。

Q: ムハンマドはメディナへヒジュラした後、どこに定住したのですか?


A: 622年にメディナへヒジュラ(移住)した後、ムハンマドは彼の家に隣接する場所に定住し、後にアル・マスジド・アン・ナバウイとして知られるようになりました。

Q: 建設当時、アル・マスジド・アン・ナバウィはどのような目的で建てられたのですか?


A: 建設当初、アル・マスジド・アン・ナバウィは、コミュニティ・センター、裁判所、そしてコーランを教える人々のための高台のある宗教学校として使用されていました。

Q:モスクに電気が導入されたのはいつですか?


A: 電気は1909年に導入され、アラビア半島で最初に電灯が設置された場所の1つとなりました。

Q:今日、このモスクは誰が管理しているのですか?


A: 現在、二聖モスクのカストディアンがこのモスクを管理しています。

Q: この場所が特に注目されるのはどんな特徴ですか?


A: この場所で最も顕著な特徴の1つは、ムハンマドの墓がある南東の角にあるグリーンドームです。


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