言語学では、屈折(デクレンション、英: declension)とは単語の形を変えて文中での役割を示す現象のことです。たとえば、名詞・代名詞・形容詞などが数や格、性などによって語形を変える場合を指します。動詞の語形変化は通常活用と呼び、屈折とは区別されます。
屈折が表す主な文法カテゴリ
- 数:単数形・複数形(言語によっては双数などの区別もあります)
- 格:主語(主格)、目的語(対格/目的格)、与格、属格(所有を示す)など
- 性:男性・女性・中性など、主に名詞や形容詞の一致に関係する区別
- その他:人称(代名詞)、定/不定(冠詞と関連)など
英語での具体例(限定的な屈折)
英語は屈折が比較的少ない言語ですが、以下のような変化があります。
- 単数と複数:boy(単数) → boys(複数)。例:「My family has two girls and one boy」と「My wife's family has two girls and three boys」。英語の辞書では通常、名詞の単数(基本形)で見出しが立てられます。
- 所有(属格):単数所有の場合は boy's(the boy's toy=一人の男の子のおもちゃ)、複数所有(複数の男の子全員のもの)では boys'(the boys' toys=複数の男の子たちの(複数の/または共有の)おもちゃ)となります。語形の変化によって「誰のものか」を示すのが属格です(この種の変化も屈折の一例です)。
- 代名詞の格変化:I(主格)→ me(目的格)→ my / mine(所有)など、代名詞は格によって形が変わります。
他言語の例と違い
言語によって屈折の豊富さは大きく異なります。たとえば:
- ドイツ語やロシア語では、名詞・形容詞・冠詞が格・数・性に応じて多くの語尾変化をします(主格、属格、与格、対格など)。
- ラテン語やギリシャ語では格の区別が体系化されており、名詞の語尾変化表(屈折表)が学習に重要です。
- 一方で日本語のように語順や助詞で文中の役割を示す言語では、名詞自体が語形変化する屈折は少ない(助詞によるマークが主要な機能を果たす)ことが多いです。
学習上のポイント
- 辞書では多くの場合、名詞は基本形(多くは単数の主格)で引く必要があるため、見出し形(lemma)を覚えておくと便利です(参照:辞書)。
- 不規則変化(child → children, mouse → miceなど)や例外を別途覚える必要があります。
- 形容詞や冠詞の一致(名詞に合わせて形が変わる)も屈折の一種で、特に形の変化が豊富な言語では文法的役割を理解する鍵になります。
まとめると、デクレンション(屈折)は名詞・代名詞・形容詞などが数・格・性などに応じて形を変える現象であり、言語ごとにその体系や重要性は大きく異なります。英語では単数/複数や所有など限定的な屈折が見られ、その他の言語ではより複雑な屈折体系が文法理解に不可欠です。