砂漠気候Arid climate)とは、一般的に年間降水量が250ミリメートル以下の気候のことである。アラビア、オーストラリアサハラなどの砂漠では、降水量が少ないことが特徴である。また、大陸内部や大陸の西側、高い山脈の風下側などでも見られる特徴である。北極や南極の一部は、寒冷地でありながら乾燥気候である。

定義と分類

乾燥気候(砂漠気候)は、降水量が蒸発散量(大気や地表から失われる水分)を大きく下回る気候を指します。一般に年間降水量が250mm以下を目安とすることが多いですが、気候学では降水量だけでなく気温や降水の季節分布を考慮した分類が用いられます。代表的な分類は以下のとおりです。

  • BWh(熱帯砂漠型):高温で乾燥、昼夜の気温差が大きい(例:サハラ砂漠、アラビア砂漠)。
  • BWk(冷温帯砂漠型):冬に低温を示す乾燥地(例:ゴビ砂漠、中央アジア内陸部)。
  • BS(ステップ気候):砂漠と比較してやや降水が多く、草原となることが多い(半乾燥気候)。

乾燥が起きる主な原因

  • 亜熱帯高圧帯(下降気流):赤道付近で上昇した空気が緯度をずれて下降する地域では乾燥が進み、サハラやオーストラリア内陸のような広い乾燥帯をつくります。
  • 雨影(レインシャドー)効果:湿った風が山脈で持ち上げられて雨を降らせた後、山脈の裏側に乾いた空気が下りてくることで乾燥する(例:高い山脈の風下側)。
  • 寒流の影響:沿岸に冷たい海流が流れると海上の空気の湿度が低くなり、沿岸部が乾燥しやすくなる(例:ペルー・アタカマ沿岸)。
  • 大陸性気候(内陸性):海から遠い大陸内部は水蒸気供給が乏しく、乾燥しやすい。
  • 極域の低温乾燥:北極・南極の一部は非常に寒くても降水が極端に少なく、「極域砂漠(極砂漠)」と呼ばれます(南極のドライバレーなど)。

特徴(気候・地表・生態)

  • 降水の少なさと不規則性:年降水量が少ないだけでなく、降水は短時間に集中して降ることが多く、洪水や短時間の豪雨と長期の乾期が交互に現れる。
  • 蒸発量が大きい:気温が高く晴天が多いため蒸発散が大きく、水が残りにくい。
  • 日較差が大きい:乾燥した大気では夜間の放射冷却が強く、昼夜の気温差が非常に大きくなる(特に典型的な温暖砂漠)。
  • 土壌と植生の特徴:有機物が少ない薄い土壌、塩類の蓄積(塩類化)、岩や砂の裸地が広がる。植生はまばらで、耐乾性の強い植物(多肉植物や深根性植物、針葉や小葉の森林など)に限られる。
  • 生物の適応:植物は根を深く張る、葉を小さくする、夜間に炭酸同化を行う(CAMなど)といった適応を行う。動物は夜行性や水分を効率よく再利用する生理的適応を持つものが多い。

代表的な乾燥地域(例)

  • サハラ砂漠(北アフリカ)
  • アラビア砂漠
  • オーストラリア内陸部
  • ゴビ砂漠(中央アジア)
  • アタカマ砂漠(南米)— 世界で最も乾燥した地域の一つ
  • 南極ドライバレーなどの極域乾燥地

人間活動と課題、適応

  • 水資源の確保:乾燥地では灌漑や地下水採取が重要。ナイル川やチグリス・ユーフラテス川流域の大規模灌漑、オアシス利用などがあるが、過剰利用で地下水位低下や塩類化が生じることがある。
  • 砂漠化(砂漠の拡大):過放牧、過耕作、森林破壊、気候変動により乾燥化が進み、土地の劣化が進行する地域がある。防止策として植林、持続的な土地管理が求められる。
  • 建築・生活の工夫:日差しを避ける建物配置、通風や断熱、貯水設備、衣服や生活様式の工夫など、長年にわたる適応技術が発達している。
  • 経済利用:鉱山開発、観光(砂漠観光、独特の景観・生態系)、一部地域での集約的農業(灌漑による)などが行われるが、環境負荷の問題もある。

まとめ(ポイント)

  • 乾燥気候は単に雨が少ないだけでなく、蒸発量や気温、降水の季節性が関係するため、多様なタイプ(熱帯砂漠・寒冷砂漠・半乾燥地域)が存在する。
  • 原因は大気循環、地形、海流、内陸性、極域の低温など多岐にわたるため、同じ「乾燥」でも地域ごとに成因や特徴が異なる。
  • 人間活動は乾燥地域を利用可能にする一方で、資源の枯渇や砂漠化といった問題を引き起こすため、持続的な管理が重要である。