二重停止(ダブルストップ)とは — 定義・演奏法・歴史を分かりやすく解説
二重停止(ダブルストップ)の定義、演奏法、歴史をわかりやすく解説。初心者から上級者へ、バッハ・コレッリ・パガニーニの実例と練習法を掲載。
二重停止は、弓で2本の弦をまたいで同時に2つの音を鳴らし、左手で指板上の2箇所を押さえてその2音を「停止」する奏法です。弦楽器では単音の旋律と比べて同時に和音的な響きを得られるため、伴奏的・表現的な効果が大きく、ソロでも合奏でも重要な技法です。
演奏上の基本
バイオリンのような擦弦楽器は、通常1度に一弦に弓が当たるように設計されています。これはブリッジは弓が1本の弦に集中して当たるように湾曲しているためで、正確に3音・4音を完全に同時に弾くことは物理的に困難です。多重停止(3重・4重)では、実際には最初の2本を弓で強く鳴らした後に素早く他の弦を弾いて和音を成す「ロール(分散和音)」で音を作ることが多く、これにより和音の継続的な響きを聴かせます。
よく使われる種類と間隔
- 開放弦+指で止めた弦(例:開放弦と指で押さえた三度)— 初心者が取り組みやすい形。
- 指で両方止める指押さえ(指押し二重停止)— 音程の調整が難しくなるが表現の幅が広がる。
- よく使われる間隔:3度(和声的・旋律的)、6度(明るさを出す)、5度・8度(力強さ)など。
実践的なポイント(練習法)
- 個別確認:まず各弦を単独で鳴らして音程・響きを確認し、そのうえで同時に鳴らす。
- ゆっくり・均一な弓:ゆっくりとしたテンポでボウイングの角度・圧力を一定に保つ練習をする。弓の接触点(指板寄りか駒寄りか)を変えると音色が大きく変わる。
- 音程調整:二重停止では左右の指の位置関係で両音の音程バランスが難しいため、チューナーやピアノに合わせて微調整する習慣をつける。
- フィンガリングの工夫:転調やポジション移動がある場合、どの指でどの弦を押さえるか最適化する。場合によっては指替えやシフトで音程を安定させる。
- エチュードを利用:二重停止を集中的に練習するエチュード(例:Kreutzer、Rode、Dontなど)を用いる。
表記と読譜
楽譜では二重停止は同じ音符位置に二つの音(または一つの和音)として記されます。単一の五線譜で二つの声部が積み重なった形や、和音(多数の音がスタック)として表記されます。演奏上は「完全同時(同時に弓で当てる)」か「ロール(素早く分散して弾く)」か、作曲者や編曲によって意図が異なるため、曲想に合わせて解釈します。
歴史と代表的な作曲家・作品
ルネサンス期の音楽でから弦楽器の多音的な扱いは存在しますが、特にバロック期に入ると独奏弦楽器に対する多重停止の利用が増えました。バロック以降のソロ作品では和音を伴う表現が頻出します。たとえば、ヴァイオリン独奏曲では、ドイツのヨハン・セバスチャン・バッハが二重・三重停止を巧みに用いており、またイタリアのアルカンジェロ・コレッリのようなバロックの作曲家も独奏・通奏低音において多重停止を多用しました。さらに、後期の技巧派作曲家では表現と技巧の両面で多重停止が発展し、ニコロ・パガニーニのようなロマン派の作曲家のヴィルトゥオーゾ作品では極端な二重停止や錯綜した和声が見られます。
まとめ(注意点)
- 二重停止は音程(インターバル)の正確さと弓のコントロールが鍵。
- 3声以上を完全に同時に弾くことはブリッジの形状上ほぼ不可能で、多重停止は「ロール」で表現されることが多い。
- 段階的に練習して、音程・音色・弓の均一性を身につけると応用が利くようになります。
二重停止は技術的な難しさが伴いますが、習得すると演奏表現の幅が大きく広がります。まずは基本の二重停止を確実に鳴らせるように、意識的に練習してみてください。
質問と回答
Q:二重停止とは何ですか?
A:ダブルストップとは、弓奏楽器の奏法で、指板を指で押さえながら弓を2本の弦に引き、一度に2つの音を鳴らすことです。
Q:2本の開放弦を同時に弾くのは難しいですか?
A: いいえ、2本の開放弦を同時に弾くことは難しくありません。
Q: マルチプル・ストッピングとは何ですか?
A: 3連、4連と呼ばれることもある多重止音は、バイオリンで3つまたは4つの音を同時に鳴らすことです。最初の2本の弦を弾いた後、その2本の弦からの音を鳴らしたまま、残りの2本の弦を素早く弾くことで行われます。
Q:マルチプル・ストッピングはいつ頃多く使われていたのですか?
A:ルネサンス音楽でヴィオラを弾くときに多段停止が多用されました。
Q:ダブルストッピングがよく使われた作曲家は誰ですか?
A:ドイツのヨハン・セバスティアン・バッハやイタリアのアルカンジェロ・コレッリなど、バロックの作曲家は、弦楽器独奏のために作曲する際にダブルストッピングをよく要求しました。また、ニコロ・パガニーニのようなロマン派の作曲家のヴィルトゥオーゾ音楽にも多く使われています。
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