エラスモサウルスは、北アメリカの内海に生息していた体長46フィートの泳ぐ爬虫類プレシオサウルスの一種で、全長は約14mにも達する大型の首長類です。

1868年にエドワード・ドリンカー・コープという科学者が初めて記載した標本で、発表当初は頭部を誤って頭を誤って尻尾の方につけて組み立ててしまったという有名なエピソードがあります(これが当時の同業者との論争を招きました)。標本に記録された頸椎の数は71個と報告されていますが、種や標本により70個台前半で変動することが知られています。

分類と生息時代

エラスモサウルスはプレシオサウルス類(Plesiosauria)の中でも首の長いエラスモサウルス科(Elasmosauridae)に属します。化石は主に白亜紀後期の地層から見つかっており、当時の広大な内海(いわゆるWestern Interior Seaway)で生活していたと考えられています。

形態的特徴

  • 非常に長い頸部:頸椎が多数連なり、首は全長のかなりの比率を占める。
  • 小さな頭部と細い先端の歯:小魚や頭足類などをつかまえるのに適した形状。
  • 幅広い胴と短い尾、そして四肢は水かき状のひれ(四枚の鰭)になっており、これらで推進力を得て泳いでいた。
  • 全体は流線型ではあるが、首の長さは水中での推進効率に負担をかけるため、首の使い方についてはさまざまな仮説がある。

行動・捕食法(生態)

D.M.S.ワトソンが提案したように、エラスモサウルスは必ずしも全身を完全に水没させて高速で泳ぎ回るタイプではなく、水面付近を漂いながら首を伸ばして小魚を捕える方法をとった可能性があります。ワトソンは、水面近くで頭部を上に向けて待ち構え、プランクトンを食べる小魚を咥えるために首を素早く動かして捕食したのではないかと述べています(本文ではプランクトンを食べている小魚を捕まえる、という表現が用いられています)。

一方で、水中で長い首が有利になるかには疑問もあり、魚竜やはく製のような現生の水棲哺乳類が示すような流線型・魚雷型の体形とは異なります。首長タイプのプレシオサウルス類は、歯や顎の形から総じて小魚を主に食べていたと考えられ、首の多数の椎骨は隣り合う椎骨間に適度な柔軟性を与えて局所的な動きを可能にしたと推測されます。

他の提案としては、首を水中で水平に滑らせて小群の魚に近づき捕食する「静かに接近する待ち伏せ型」や、首を素早く振り下ろして獲物をはじきとるような動作を行った可能性も議論されています。いずれにせよ、歯の細長さや顎の構造からは獲物を噛み砕くよりも、つかんで飲み込むタイプの捕食が得意だったことがうかがえます(小魚や頭足類など)。

発見史と学術的意義

コープによる初記載とその後の誤組立ての経緯は、19世紀における米国の古生物学界での論争(いわゆる“Bone Wars”の一場面)としてよく知られています。発見された標本はエラスモサウルス属の理解を深め、首長プレシオサウルス類の多様性や生態の研究に重要な材料を提供しました。

まとめると、エラスモサウルスは極端に長い首と小さな頭を持つ海棲爬虫類で、白亜紀後期の内海で小魚や頭足類を主に捕食していたと考えられます。首の使い方や泳ぎ方については諸説あり、現在も形態学・機能形態学の観点から活発に研究が続けられています。