等号・等価・同値性とは:数学・幾何学・計算機科学での「等しい」の定義

等号・等価・同値性の本質を数学・幾何学・計算機科学の視点でわかりやすく解説。記号と概念の違い、参照と値、相似・一致の判断を具体例で紹介。

著者: Leandro Alegsa

数学では、2つの対象が等しいとは、理論上あらゆる性質について区別できない、すなわち「全く同じ」であるときにいいます。これは「同じ(数学的な)値を持ち、同じ数学的性質を共有する」ということにほかなりません。数学者は等しさを表すために等号(=)を使い、記号によって二項関係としての等号を定義します。例えば「x = y」という文は、〈i〉x〈/i〉と〈i〉y〈/i〉が等しいことを意味します(Leibniz の定理に従えば、等しいものは互いに置き換えても真理値を変えません)。

形式的性質(等号は同値関係)

数学における「等しい」は、しばしば同値関係(等価関係)の特殊な例として扱われます。一般に、同値関係は次の三つの性質を満たします:

  • 反射律:任意の a に対して a は a と等しい(a = a)。
  • 対称律:もし a = b ならば b = a。
  • 推移律:もし a = b かつ b = c ならば a = c。

これらを満たす関係は集合を等価類に分割します。特に「完全に同一である」ことを表す等号は、これらの性質に加え置換可能性(任意の文脈で a を b に置き換えても命題の真偽が変わらない)を満たすことが期待されます。

集合の等しさと方程式

より一般的には、二つの集合が同じ要素をもつときに集合同士を等しいといいます。これは同等性関係の一例で、集合 A と B について「A = B」⇔(任意の x について x ∈ A ⇔ x ∈ B)で定義されます。集合が等しいことは 有限である必要はありません(無限集合同士でも等しいことがあります)。

また、二つの式が同じ量を表すときは、それを表す記述は方程式であると言います。等式は等式である(つまり「=」で結ばれた命題は等しいことを主張する)一方、不等式は大小関係や不等を主張します。

幾何学における「一致」と「相似」

幾何学では、等しさの概念として「一致」という語がよく使われます。数値が等しいのに対して、幾何学的な図形が「一致する」とは、一方の図形を平行移動・回転・鏡映(必要なら向きを反転)などの剛体変換でぴったり重ねられる場合を指します(これを同形(合同)あるいは等長写像、等距離写像、として扱います)。

一方、ある図形を拡大・縮小(スケーリング)すれば重ね合う場合、それらは一致しているわけではなく、相似と呼ばれます。つまり、相似は形は同じでも大きさが異なる場合の等しさの緩やかな概念です。例としては、三角形の合同(辺と角の対応が一致する)と相似(対応する角が等しく辺の比が一定である)があります。一致と相似の区別は幾何学的性質を議論する上で重要です。

(元の文章で使われている表現:図形は、一方の図形が他方の図形のある場所にぴったりと収まるように移動したり回転させたりすることができれば、一致します。)

計算機科学:値の等しさと参照の同一性

コンピュータサイエンスでは多くの場合、数学的定義に基づいて等しさを扱いますが、実装上の注意点が多数あります。プログラミング言語では比較を == と書くことが多く、代入は =:= と書きます。浮動小数点数の比較では丸め誤差のために「ほぼ等しい」(許容誤差 ε 以内)という概念が必要になります。

オブジェクト指向言語やポインタを持つ言語では「参照(ポインタ)が同じオブジェクトを指しているか」を調べる操作と、「オブジェクトの値が等しいか」を調べる操作を区別する必要があります。例えば、二つの参照が同一のオブジェクトを指していれば参照の意味で等しい(同一性)が成り立ちますが、参照先の内部データが同じであっても別個に存在するオブジェクトであれば参照は異なります。

こうした違いに対応して多くの言語は別の演算子やメソッドを提供します。例えば Java では、参照の同一性をテストするのに演算子 == を使い、オブジェクトの値による等価性を比較するために equals メソッドを用います。プリミティブ型(int や double など)は == で値比較されますが、参照型は == が参照比較になる点に注意が必要です。加えて、equals をオーバーライドする場合は hashCode との整合性(equals が true を返す二つのオブジェクトは同じ hashCode を返すべき)を守る必要があります。

そのほかプログラミング言語特有の違いとして、JavaScript の ===(厳密等価)や Python の is(同一性)と ==(等価性)などが挙げられます。実務では「等しいとは何を意味するか」を明確にしてから比較を用いることが重要です。

論理学の述語としての等号

述語論理では、等号は二項述語として導入され、「等しい」ことを表す命題を作ります。等号がある場合、等号に関する公理(反射律、置換律など)を追加して理論を構築することが一般的です。述語の意味から見て、ある変数代入について真で別の代入について偽である場合、その二つの対象は等しくないと判断されます。簡単にいうと、二つが等しいならば「一方について真であることは他方についても真でなければならない」という置換可能性が成立します。

社会科学での「平等」「対等」

社会科学や日常語では、「等しい」は数学的な同値とはやや異なる意味をもつことがあります。例えば二人が「対等」であると言うときは、教育や収入、年齢、社会的地位などいくつかの側面で類似していることを指しますが、完全な意味での「全ての性質が一致する」わけではありません。こうした対等性の概念はしばしば価値判断や社会的文脈に依存します。対等な人たちの集団は「同輩」などとも呼ばれます。

まとめと注意点

  • 数学的等号は非常に強い意味(置換可能性を含む)をもち、同値関係の中でも特に重要です。
  • 幾何学では「一致(合同)」と「相似」を区別します。前者は剛体変換で重ねられること、後者は拡大縮小を許すことを意味します。
  • 計算機科学では「参照の同一性」と「値としての等価性」を区別し、言語ごとの比較規則や丸め誤差などに注意が必要です。
  • 日常や社会科学での「等しい/対等」は数学的な等号よりも緩い概念であり、文脈依存です。

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質問と回答

Q:数学で等式を表すのに使われる記号は何ですか?


A:等号(=)は数学で等しいことを表すのに使われます。

Q:どのようにして2つの数学的対象が等価になるのですか?


A:2つの数学的対象が等価関係で結ばれている場合、等価になります。これは,しばしば∼や≡といった記号で表現されます.

Q:2つの式が等しい量を表すとはどういうことですか?


A:2つの式が等しい量を表すとき、それはそれらが等しいことを意味し、このステートメントは方程式または等式と呼ばれる。

Q:数学者は方程式と不等式をどのように区別しているのですか?


A:方程式は等しいが、不等式は不等式である。

Q:幾何学における合同と相似の違いは何ですか?


A:合同とは、一方の幾何学的な物体を移動または回転させて、もう一方の幾何学的な物体を縮小または拡大することなく、その位置にぴったりと合わせることができる場合です。一方、相似形は、2つの物体のどちらかを縮小または拡大する必要がある場合に生じます。合同関係は記号∕で表されることが多く、相似関係は記号∼で表される。

Q:コンピュータサイエンスにおいて、変数が指し示す場所ではなく、オブジェクトの実際の値を比較する演算子は何ですか?


A:コンピュータサイエンスでは、ポインターを持つ言語では、変数が指す場所ではなく、オブジェクトの実際の値を比較する別の演算子(Javaの「equals」メソッドなど)を使用するのが普通です。

Q:社会科学では、人々はどのように平等を定義するのですか?


A: 社会科学では、2人の人間が同じような教育水準、金銭的水準、年齢であるなど、多くのことが同じである場合、平等であると見なされます。このような意味で他の人と対等な人の別称は、同輩と呼ばれます。


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