グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国では、国旗として王室の旗であるユニオンフラッグ(通称:ユニオンジャック)を使用しています。現在のユニオン・フラッグのデザインは、1801年のアイルランドとグレートブリテンの連合に由来します。ユニオン・ジャックは、イングランドの守護聖人である聖ジョージの赤い十字架と、アイルランドの守護聖人である聖パトリックの赤い斜め十字(サルタイ)、およびスコットランドの守護聖人である聖アンドリューの白い斜め十字が重ね合わせられ、白で縁取られてできています。なおこの旗にはウェールズを象徴するものが含まれておらず、その点をめぐってデザインの見直しを求める声もあります。
歴史的経緯
ユニオン・フラッグの原型は、1603年の王冠継承(ジェームズ6世/1世)を受けて作られたとされる1606年の旗にさかのぼります。当初はイングランド(聖ジョージ)とスコットランド(聖アンドリュー)を組み合わせたデザインでした。1707年の連合法(イングランド王国とスコットランド王国の統合)を経て、1801年のアイルランドとの連合(Acts of Union 1800 発効)によって現行の赤い斜め十字(聖パトリック)が加えられ、現在の形が確立しました。
デザインの詳細
構成要素:中央の赤い十字(聖ジョージ)を白で縁取りし、背景は濃紺。斜め方向には白い斜め十字(聖アンドリュー)、その上に赤い斜め十字(聖パトリック)が重ねられています。赤い斜め十字は白の斜め十字の中央に正確には配置されず、旗竿側(ホイスト側)に寄せられるように描かれる点が特徴です。
左右非対称性(向きの判別):ユニオン・フラッグは左右対称ではなく、正しい向きがあります。正しい向きでは、旗竿側で白い斜め帯が幅広く見え、反対側(フライ側)では白い斜め帯が細く見えます。逆向きに掲げるとデザインが上下逆転したり、聖パトリックの斜め十字が本来の位置からずれて見えるため誤りとされます。
比率とバリエーション
正式な比率は1:2(幅が長さの2倍)です(参考:で)。しかし、用途や作成元によっては3:5やそれ以外の比率のバージョンが使われることもあります。軍用や装飾用など実務上の目的で縮小・トリミングされた変形が存在し、海軍のジャック(艦首に掲げる小旗)等では比率や寸法が異なる場合があります。いずれの場合も、斜め十字の位置関係(オフセット)を保つことが重要です。
呼称と使用法
Union Flag(ユニオン・フラッグ)が公式名称とされることが多い一方で、一般にはUnion Jack(ユニオンジャック)という呼び方が広く定着しています。語源の一説には、船首の小さな旗「ジャック(jack)」に由来すると言われ、海軍での使用がその名称を広めたとされています。現在では地上でも「Union Jack」と呼ぶことが日常的で、両方の呼称が混在しています。
ウェールズの扱いと現代の議論
ウェールズがユニオン・フラッグに反映されていない理由は、歴史的にウェールズが16世紀にイングランド法の下に編入され、独立した王国としての座を失っていたためです。そのため、国旗の構成要素はイングランド、スコットランド、アイルランド(北アイルランドを含む形で表象)の守護聖人に由来します。近年ではウェールズの象徴である赤い竜(ドラゴン)を旗に取り入れる提案や、全体の見直しを求める議論が続いており、実現の可否や具体案については意見が分かれています。
実務上の注意点
- 掲揚時の向きに注意する(旗竿側の白い斜め帯が幅広くなる向きが正しい)。
- 公式行事や政府文書では「Union Flag」を用いることが多いが、一般的には「Union Jack」と表記・発言されることが多い。
- 装飾用や輸出用の製品では比率が異なる場合があるため、正式な場で使う際は1:2の規格に合わせるのが望ましい。
ユニオン・フラッグは単に国章の役割を果たすだけでなく、歴史的経緯や連合の象徴として様々な議論を呼ぶデザインです。今後も政治的・文化的な変化により、デザインや呼称に関する議論が続く可能性があります。


