口蹄疫(FMD)とは?原因・症状・感染経路と家畜防疫・対策ガイド
口蹄疫の原因・症状・感染経路をわかりやすく解説。農家向け家畜防疫と実践的対策ガイドで被害を最小化。
口蹄疫は、動物の急性感染症の一つです。 ウイルスは牛、豚、羊、山羊、鹿などの反芻動物や偶蹄類に感染し、急速に広がる強い伝染力を持ちます。一般に、口蹄疫は人間にはあまり感染しないと考えられていますが、人が衣服や皮膚、履物、車両などにウイルスを付着させて拡散することはあり、家畜防疫上の重要なリスクとなります。口蹄疫に関する最も古い記述の一つは、Hieronymi Fracastoriiによるもので、彼は1514年に北イタリアで発生したこの病気を記録しています。
病原体の特徴
口蹄疫ウイルス(FMDウイルス)はピコルナウイルス目(Picornaviridae)に属するRNAウイルスで、複数の血清型(例:O、A、C、Asia1、SAT1〜3)が知られています。血清型ごとに免疫が異なるため、ワクチンは型に合わせた選択が必要です。ウイルスは比較的環境中で安定し、低温や汚染された有機物中では長く生存することがあります。
主な症状
- 高熱(発熱)
- 口唇・舌・歯茎・口腔粘膜および蹄周辺に水疱(ベシクル)や潰瘍が生じる
- 蹄の痛みや跛行(歩行困難)
- 乳量の急激な低下、哺乳力低下
- 食欲不振、体重減少
- 子牛・子豚など若齢動物では高い死亡率を示すことがある
症状の現れ方や重症度は、感染した動物の種類、年齢、ウイルスの血清型や感染量によって異なります。多くの成人家畜では死亡率は低いものの、発病率は非常に高く、経済的被害が大きくなります。
感染経路と拡散の仕組み
- 直接接触:感染動物との直接接触による伝播が基本
- 飛沫・空気感染:密度が高い環境や気象条件によっては空気感染や長距離の拡散が起こる場合がある
- 媒介物(フォーミット):汚染された飼料、運搬車、器具、衣類、靴、靴底、畜産資材など
- 人や動物の移動:飼育施設間の動物移動や市場、展示会などでの人の行き来
- 製品:未加熱の乳や乳製品、生肉などを介したリスク(処理状況に依存)
検査・診断
- 臨床所見による疑いの確認(口腔や蹄の水疱、跛行など)
- ウイルス分離、RT‑PCR、血清学的検査(中和抗体検査など)による確定診断
- 疑い例を見つけたら速やかに地域の獣医当局に報告することが法令で義務付けられている場合が多い
防疫・対策(農場レベル)
- バイオセキュリティの徹底:外部からの人・車両の出入り制限、来訪者の記録、使い捨ての保護具または消毒の励行、靴底の消毒、シャワー・更衣の導入など。
- 新入動物の検疫:導入前の健康確認と一定期間の隔離。
- 清掃・消毒:施設・運搬車両・器具の定期的な清掃と適切な消毒剤の使用(各国の指針に従う)。
- 発生時の行動:疑い例発生時は速やかに当局へ連絡、動物の移動停止、発生区域の設定、感染拡大防止のための封じ込め措置。
- ワクチン接種:流行地域では血清型に適合したワクチンを用いた予防接種が行われることがある。ワクチンは発生状況や貿易影響を考慮して使用が判断される。
発生時の行政対応と処置
- 感染が確認された場合、多くの国や地域では「殺処分(スティンピングアウト)」、感染家畜の安全な処分、汚染物の除去・消毒、移動制限、監視ゾーンの設定が実施されます。
- 補償制度と連動していることが多く、早期報告と協力が求められます。
人への影響と安全対策
人での感染例は極めて稀であり、一般的に重症化しにくいとされています。しかし、感染動物や汚染物に接触する職業(畜産従事者、獣医、屠殺従事者など)は注意が必要です。手袋や保護衣の着用、傷口の保護、乳は加熱処理(加温・殺菌)してから消費するなどの対策を行ってください。
経済的影響と予防の重要性
口蹄疫は発生すると畜産業に甚大な経済被害をもたらします。生産量の減少、輸出停止、消費者信頼の低下、殺処分に伴う損失などが挙げられます。したがって日常的なバイオセキュリティ、迅速な報告、地域・国レベルでの監視と連携が不可欠です。
まとめ(農家・現場でできること)
- 異常を見つけたら直ちに地域の獣医当局へ報告する。
- 来訪者制限、靴底・器具の消毒、車両管理などバイオセキュリティを厳格にする。
- 新規導入動物は検疫を行い、感染リスクを下げる。
- ワクチンや行政指示は地域の獣医当局や専門家の指導に従う。
口蹄疫は早期発見と迅速な対応が被害を最小限に抑える鍵です。日頃からの予防対策と地域での連携を強化してください。
FMDが発生する場所
この病気は世界中に広がっていますが、北米、中米、オーストラリア、ニュージーランド、日本、チリ、およびヨーロッパの多くの国では、FMDが発生していないと考えられています。アフリカ、南米、アジア、およびヨーロッパの一部では、さまざまなタイプのFMDウイルスが見つかっています。
症状
口蹄疫の最も顕著な症状は、過度のよだれかけ(口から液体を落とす)、食欲不振、跛行(片足または両足の損傷により正しく歩くことができない)です。感染した動物は、急に体温が上昇したり、口や他の部分がただれたりすることもあります。
牛の口蹄疫の徴候
- よだれを垂らす、唇を鳴らす
- シバリング
- 足の裏の圧痛と痛み
- 乳量の減少
- 足の裏のただれや水ぶくれ
- 温度上昇
豚の口蹄疫の徴候について
- 突然の跛行
- 寝転がるのが好き
- 蹄の上端、皮膚と角の境目、踵にできる痛み
原因
FMDはウイルスによって引き起こされます。病気の兆候は、1日から8日の潜伏期間(感染源にさらされてから病気の兆候や症状が現れるまでの期間)の後に現れますが、多くの場合、3日以内に発症します。ある型に対する免疫が、他の型に対する免疫になることはありません。
質問と回答
Q: 口蹄疫(FMD)とは何ですか?
A: 口蹄疫(FMD)は、牛、豚、羊、ヤギ、鹿などの家畜に感染する伝染性の強い病気です。
Q: 口蹄疫の原因は何ですか?
A: 口蹄疫ウイルスが原因です。
Q: 口蹄疫は人に感染しますか?
A:一般的に、口蹄疫はヒトにはあまり感染しないと考えられています。しかし、人間がウイルスを衣服や体に付着させることで、口蹄疫を広める可能性はあります。
Q:どのような動物がFMDに感染しますか?
A: 牛、豚、羊、ヤギ、鹿などの家畜がFMDに感染します。
Q: なぜFMDは世界中で流行するのですか?
A: FMDは多くの動物に感染するため、世界中で流行します。
Q: FMDを最初に報告したのは誰ですか?
A: ヒエロニミ・フラカストリイ(Hieronymi Fracastorii、1546年)がFMDを最初に記述した。彼は、1514年に北イタリアでこの病気が発生した際、非常に珍しい病気で、牛だけが罹患したと述べている。
Q:どのようにしてFMDの蔓延を食い止めるのですか?
A:FMDの蔓延を食い止める最善の方法は、感染した家畜を隔離して隔離し、感染した死骸を適切に処分することである。また、来訪者の制限、器具や衣服の消毒、動物の隔離など、優れたバイオセキュリティ対策を実践することも重要です。
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