重力波とは?定義・仕組みと2015年初検出、発生源(ブラックホール等)解説

重力波の基礎から2015年の初検出、ブラックホールや中性子星など発生源の仕組みまでを図解と最新知見でわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

重力波は、質量のある物体が動くときに生じる時空のさざ波である。1916年にアルバート・アインシュタインが 一般相対性理論に基づき予言した現象で、時空自体が伸び縮みして伝わる波である。これらの波は光と同じく真空中を一定の速度(光速)で伝搬し、エネルギーと角運動量を運ぶ。2015年9月14日に初めて直接検出され、その観測により天文学や物理学に新たな観測手段が加わった。

重力波の仕組み(簡単なイメージ)

重力波は空間の「距離」を周期的に変化させるもので、波が通過すると物体間の距離がごくわずかに伸びたり縮んだりする。最も単純なモードは+(プラス)×(クロス)という二つの偏波成分で表され、観測方向に対して直交する二方向の引き伸ばし・圧縮が起きる。

実際の振幅(変位の比)は非常に小さく、地球に到達する強い重力波でも典型的なひずみ(strain)の大きさは約10−21程度。つまり1 kmの長さがある装置でも変化は10−18 m 程度(原子核より小さい長さ)であり、これを検出するために超高感度の実験装置が必要になる。

主要な発生源

重力波が検出されるには、非常に重いものが非常に速く加速する必要がある。典型的な発生源は以下の通り:

  • 連星系(特に合体直前・合体時の系) — 連星軌道で互いに高速回転・近接する白色矮星、中性子星ブラックホールなどからなる系は有力な重力波源である。
  • ブラックホール合体 — これが2015年に観測された最初の直接検出(GW150914)の主役で、強力な重力波を放出する。
  • 中性子星合体 — 重力波に加え電磁波やニュートリノも放出することがあり、いわゆるマルチメッセンジャー天文学の重要な対象(例:GW170817)。
  • 連続波 — 自転する非対称な中性子星(パルサー)からほぼ一定周波数で放出される。
  • コア崩壊型超新星 — 超新星爆発の非対称性によって短時間の重力波パルスが生じる可能性がある(検出は難しい)。
  • 宇宙初期の確率的(ス トカスティック)背景 — 初期宇宙や原始ブラックホールなど由来の微弱なバックグラウンド。

2015年の初検出(GW150914)とその意義

2015年9月14日にアメリカの重力波望遠鏡LIGO(レーザー干渉計重力波天文台)が検出した信号は「GW150914」と命名され、約30太陽質量級の二つのブラックホールが合体して一つに融合する過程で放出された重力波である。この検出は2016年2月に発表され、以下の点で画期的だった:

  • 重力波の初の直接検出であり、アインシュタインの理論の予言が実験的に裏付けられた。
  • ブラックホール合体という天体現象の直接観測であり、天文学に新しい観測チャネル(重力波天文学)をもたらした。
  • 重力波による質量・角運動量損失の測定から、合体前後のブラックホールの質量やスピンを推定できた。

検出方法:干渉計と観測ネットワーク

現在の地上型主力観測機はレーザー干渉計で、代表的なものにLIGO(米国)、Virgo(欧州)、そして日本のKAGRAがある。これらは直交する二本の長いアームを持ち、レーザー光の干渉パターンの変化からアーム長のごく小さな変動(重力波ひずみ)を測定する。複数の観測所で同時観測することで、信号の位置や到来方向、偽信号の排除が可能になる。

さらに、将来の宇宙望遠鏡(例:LISA)は地上で検出できない低周波(mHz)帯の重力波を観測する予定で、超大質量ブラックホールの合体やコンパクト天体の軌道減衰などを捉えることが期待されている。超長期スケールではパルス状パルサーを用いるパルサー・タイミング・アレイでナノヘルツ領域の波を探す試みも進んでいる。

周波数帯と観測対象の対応

  • 高周波(10 Hz〜kHz): 地上干渉計が感度を持ち、中性子星や恒星質量ブラックホールの合体などが対象。
  • 中周波(mHz): 宇宙干渉計(LISA等)が対象、超大質量ブラックホール合体や極端質量比連星など。
  • 低周波(nHz): パルサー・タイミング法で銀河核に由来する超大質量ブラックホールのペアなど。

科学的意義と今後

重力波観測は、電磁波では見えない現象(ブラックホールの合体など)を直接観測できる点が大きな強みで、宇宙の重力的ダイナミクス、極限状態の物理、一般相対性理論の検証、宇宙初期の情報取得など多方面で重要な役割を果たす。また、GW170817のように重力波とガンマ線・光学観測などを組み合わせることで、重元素合成(r過程)や宇宙の距離尺度(標準サイレンとしての利用)に関する知見が得られた。

今後は検出器の感度向上と観測ネットワークの拡充、宇宙ミッションの実現により、観測されるイベント数は飛躍的に増え、多様な重力波源の定量的理解が進むことが期待される。

参考:初期の直接検出(2015年)以来、多数の合体イベントが報告され、重力波天文学は急速に発展している。検出されたイベントや観測所の最新情報は各研究チームの公表や観測カタログで随時更新されている。

NGC 4993における中性子星衝突の残光Zoom
NGC 4993における中性子星衝突の残光

重力と相対性理論

物理学では、重力波は、時空の曲率に生じる波紋で、発生源から外側に向かって伝播する。1916年、アルバート・アインシュタインが一般相対性理論に基づき予言した。理論的には、重力波は重力放射としてエネルギーを輸送する。

一般相対性理論では、重力波は光速より速く伝播することはできない。物理的な相互作用が無限の速度で伝播するニュートン的な重力理論では存在しないのだ。しかし、重力波の検出は、アインシュタインの一般相対性理論の最後の予言を証明するものである。

1993年、重力波が単なる数学的異常ではないことを示唆するハルス・テイラー連星系の測定結果が、ノーベル物理学賞を受賞した。

中性子星の衝突

2つの中性子星の衝突・合体から重力波が検出されました。最初の検出は、2017年8月17日、カリフォルニア州パサデナのチームによるものです。

このプロジェクトは、カリフォルニア工科大学のLIGO研究所によって運営されています。検出器は、ルイジアナ州の巨大なリビングストン森林の中にあります。検出器は、2本の2.5マイル(約4km)の完全にまっすぐなパイプラインを直角に並べています。それぞれのパイプの中には、長さの変化を計測するレーザーが設置されています。重力波が検出されると、望遠鏡はその原因を視覚的にとらえるための観測を行いました。チリのVISTA望遠鏡がその画像を取得しました。

合体したのは、NGC4993という銀河です。これは、うみへび座の方向で約40メガ・パーセク、130メガ・光年の距離にある。ちなみに、近くにあるアンドロメダ銀河は、地球からわずか250万光年の距離にあります。

"それは1億3000万年前、恐竜が地球を闊歩していたころの出来事です。あまりにも遠かったので、光と重力波がようやく私たちに到達したところです」。

このような現象は、超新星と同様に、金やプラチナといったより重い元素の供給源となる。

質問と回答

Q: 重力波とは何ですか。
A: 重力波とは、質量を持つ物体の運動によって生じる時空の波紋です。

Q: 重力波の存在を予言したのは誰ですか?


A: アルバート・アインシュタインが1916年に一般相対性理論に基づいて重力波の存在を予言しました。

Q: 重力波が初めて直接検出されたのはいつですか?


A: 重力波は2015年9月14日に初めて直接検出されました。

Q: 重力波を検出できるほど強くするには何が必要ですか?


A: 重力波を検出するためには、非常に重いものが非常に速く加速する必要があります。

Q: 検出可能な重力波の発生源にはどのようなものがありますか?


A: 白色矮星、中性子星、ブラックホールからなる連星系が重力波の発生源です。

Q: 重力波は可視光望遠鏡で観測できますか?


A: いいえ、重力波は可視光望遠鏡では観測できません。重力波を観測するには、別の種類の検出器や装置が必要です。

Q: なぜ重力波の検出が重要なのですか?


A: 重力波の検出は、一般相対性理論の証拠となり、天文学の新しい分野を切り開き、宇宙とその起源をより深く理解することを可能にしました。


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