
超新星は巨大な星の最期に起きる大規模な爆発、あるいは白色矮星が核反応の暴走を起こして吹き飛ぶ現象で、短時間に途方もない量のエネルギーを放出します。大質量星は内部での核融合で外側へ押し出す力を保ちますが、中心核がもはや核融合で支えられなくなると重力で急激に崩壊し、中心部のコア崩壊が爆発を引き起こします。これがいわゆるコア崩壊型超新星です。
爆発の仕組み(概要)
コア崩壊型では、鉄より重い核融合がエネルギー放出にならないため、最終的に鉄心が形成されると内向きの重力に勝てなくなり、中心核が急速に収縮して中性子へ変わる「中性子化」が起こります。中心部で発生した強い衝撃波は一度は減衰しますが、周囲の大量のニュートリノが衝撃波へエネルギーを与えて「再活性化」し、外層を吹き飛ばして光る爆発になります。爆発の全エネルギーは典型的に約10^44 ジュール(約10^51 エルグ)で、外殻は秒速数千〜数万kmの速度で放出されます。
一方、白色矮星が伴星から質量を受け取ってチャンドラセカール極限付近に達すると、炭素や酸素の走火的核融合が起きて星全体が一気に燃え尽きるタイプ(熱核爆発)もあり、これが観測的に重要なIa型超新星です。
超新星の種類(観測分類)
- 光学スペクトルでの大分類:水素線を持つものをII型、持たないものをI型と呼びます。
- Ia型:白色矮星の熱核爆発で、明るさの光度曲線が標準化可能なため宇宙距離測定(標準燭光)に使われます。宇宙の加速膨張発見にも重要でした。
- Ib/Ic型:大質量星が外層(主に水素やヘリウム)を失った状態で起きるコア崩壊超新星。スペクトルでヘリウム線の有無で区別します。
- II型の亜型:II-P(平坦な光度段階)、II-L(光度が線形に減衰する)、IIn(狭いスペクトル線を示す、恒星風との相互作用が強い)などがあります。
放出される物質と放射の源
爆発光の長期の明るさは、放出された放射性同位体(特にニッケル56→コバルト56→鉄56の崩壊連鎖)の崩壊熱で支えられることが多いです。爆発は重元素の合成(核合成)をもたらし、鉄をはじめとする中性子捕獲で作られる重い元素を宇宙に供給します。超新星は元素生成において非常に重要な役割を果たします。
残骸とその進化
爆発の直後に残る中心部は、元の星の質量によって中性子星やブラックホール(大質量ならば)になります。中性子星は回転や強い磁場を持つことが多く、回転する中性子星のビームが地球に届くとパルサーとして観測されます。磁場が非常に強いものはマグネターと呼ばれます。
超新星が周囲の間物質に押し寄せる衝撃波は、ガスや塵を圧縮して超新星残骸(SNR)を形成します。これらの衝撃波は宇宙線を加速する場でもあり、X線・ラジオ・可視光で観測されます。例として、1006年や1054年に見えた超新星は現在でも残骸として知られ、1054年のものは現在のかに星(クラブ星: Crab Nebula)を作りました。
観測と歴史的な超新星
わたしたちの銀河系での裸眼で見える超新星は滅多に起きません。最後に欧州で記録されたはっきりした裸眼の超新星は1604年(ケプラーの超新星)ですが、銀河系内では塵に隠れて見えない超新星がその後も起きています。近隣銀河では年に数百個以上の超新星が観測されており、現代のサーベイでは毎年数百〜数千個が検出されます(観測条件による)。
近年の重要な例として、1987年に大マゼラン雲で起きたSN 1987Aでは、爆発に先立つニュートリノのバーストが地上の検出器で観測され、理論の重要な検証となりました。また、光度曲線やスペクトルにより超新星の物理を詳細に調べることができます。
エネルギー・速度・寿命
代表的な超新星の放出エネルギーは約10^51エルグ(約10^44 J)で、放出された質量は数太陽質量に達することがあります。外層物質の速度は一般に数千〜数万km/sで、光速の数%に及ぶ場合もあります。大質量星の生涯は内部構造や質量によりますが、最終的に超新星となるような星の寿命は数百万〜数千万年程度です。
地球への影響と安全性
超新星が地球に危険を及ぼすためにはかなり近く、一般的に「数十光年」程度以内で強い影響が出る可能性があるとされています。通常の発生率や近隣にそのような候補がないため、短期的に地球が超新星で被害を受ける可能性は非常に小さいと考えられます。
宇宙論や天文学への貢献
Ia型超新星は光度が標準化できる性質を持つため、遠方銀河までの距離指標として用いられ、1990年代後半に宇宙の加速膨張の発見(加速宇宙論)に重要な役割を果たしました。また、超新星残骸を通して星間物質の化学進化や星形成への影響を調べることができます。
まとめ
超新星は
- 大質量星のコア崩壊や白色矮星の熱核爆発により起きる強烈な爆発である、
- 短時間に銀河規模の明るさに匹敵するエネルギーを放出し、重元素を作って宇宙へばらまく、
- 爆発後には中性子星やブラックホールが残り、残骸は衝撃波や宇宙線の加速源となる、
- 観測的にはタイプ分類(Ia, Ib/c, II など)によって区別され、Ia型は宇宙距離測定でも重要である、
- 我々の銀河では裸眼で見える超新星はまれだが、観測装置の発達で他銀河の超新星は毎年多数検出されている、
――という点で、超新星は天文学・宇宙化学・宇宙論にとって極めて重要な現象です。