ハーモニー(和声)とは?音楽理論・種類・歴史・和音進行を解説

ハーモニー(和声)の基礎から種類・歴史・和音進行まで図解で解説。初心者にも分かる音楽理論と実践例で作曲・演奏に役立つ一冊。

著者: Leandro Alegsa

ハーモニーとは、和音」を作るためにいくつかの音を同時に鳴らすことを指します。語源はギリシャ語のharmonia(調和)で、単旋律だけでも美しい音楽になりますが、複数の音が組み合わさることで音楽に深みや動き、感情の色合いが生まれます。和音同士のつながりを学び、どの和音のあとにどの和音が自然に続くかを知ることを「ハーモニー(和声)の学習」と呼びます。こうした和音の並びは「和音進行」と呼ばれ、様々な理論家が研究・著述してきました(例:音楽理論家が和声についての本を書いています)。

和声の基本:和音の種類

  • 三和音(トライアド):音階の第1音、第3音、第5音を重ねたもので、最も基本的な和音です。長三和音(メジャー)、短三和音(マイナー)、減三和音(ディミニッシュ)、増三和音(オーギュメント)があります。
  • 七の和音(7thコード):三和音に第7音を加えたもので、ドミナント(V7)やメジャー7、マイナー7、半減7、全減7など、色彩豊かな響きを生みます。
  • 転回(インヴァージョン):和音の根音(ルート)以外の音が最低音になる配置。低音の動きや声部のバランスを調整します。
  • 調性和声:鍵盤の白鍵のみでハ長調のように組み立てられるような、特定の調に基づく和声(本文例:鍵盤の音だけを使ったハーモニーを「調性和声」といいます)。
  • クロマチック和声:多くのシャープやフラットを含む、半音進行や借用和音、転調を多用する和声(本文例:余分なシャープとフラットをたくさん加えたハーモニーを「クロマチックハーモニー」といいます)。
  • 無調(アトナル)和声:調(キー)が明確でない和声。アーノルド・シェーンベルクらの作品に見られる12音技法などが代表例です(本文例:音楽のキーが全くない場合、それは「無調」です。ハーモニーは無調になることがあります)。

ホモフォニーとポリフォニー

和声を基盤にした音楽を「ホモフォニック」と呼びます。これは一つの主旋律に対して和音や伴奏が付く形です(本文例:和声を下敷きにした曲で構成された音楽を「ホモフォニック」と呼びます)。一方、各声部(パート)が独立して旋律を持つ音楽を「ポリフォニック」といい、どちらも〈心地よいハーモニー〉を生むためには和声の配慮が必要です。合唱や室内楽では、声部の役割分担が和声の構成に直接影響します(例:合唱団は通常、ソプラノ、アルト、テナー、ベースに分かれていたり、弦楽四重奏団ヴァイオリン1、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロに分かれていたりします)。

和声の歴史的発展

西洋音楽における和声の組織は、ルネサンス期の対位法(カウンターポイント)を経て、ヨーロッパの音楽で体系化されていきました。特にバロック期(バロック、17世紀以降)には通奏低音(バッソ・コンティヌオ)や通奏の和声実践(figured bass)が確立し、和声の機能(トニック、ドミナント、サブドミナントなど)が明確になりました。古典派・ロマン派を経て、19世紀以降の豊かな調性の拡張(借用和音、変ロ長調・変イ長調への転調など)や20世紀のクロマティシズム、そして無調・十二音技法へと発展しました。

和音進行(ハーモニック・プログレッション)と機能

和音進行を理解するには「機能」の概念が有用です。主な機能には

  • トニック(T):安定・解決をもたらす和音(例:I)
  • ドミナント(D):緊張を作り、トニックへ向かわせる和音(例:V、V7)
  • サブドミナント(S):進行を展開させる和音(例:IV)

代表的な進行例:

  • I–IV–V–I(基本的な終止形)
  • ii–V–I(ジャズやポピュラーで頻出)
  • I–vi–ii–V(循環進行の一例)

さらにクロマティック和声では、二次ドミナント(V/V など)借用和音(平行調から借りる和音)ネアポリタン(♭II)増六和音(イタリア式・フランス式・ドイツ式)などが用いられ、豊かな色彩が得られます。

和声の実践的ルールと声部付け

  • 声部間の連結では平行5度・平行8度を避けるのが古典的なルール。現代では意図的に用いることもありますが、伝統的な和声感を保つには注意が必要です。
  • 解決の原則:ドミナントに含まれる導音(第7音)はトニックの第1音へ上行して解決することが多いです。
  • 共通音保持:次の和音にも残る音を保つことで滑らかな声部進行が生まれます。
  • 最低音(バス)の動きは和声の感覚を大きく左右します。ルート進行(進行するルート)やステップ進行を意識するとよいです。

和声分析の手法

楽曲の和声を分析する際は、以下の視点が有用です。

  • ローマ数字(I, ii, Vなど)で調的機能を表す。
  • 転回形やテンション(9th, 11th等)を表記する。
  • 終止形式(完全終止、半終止、偽終止、だまし終止=deceptive cadence)を特定する。
  • 和声の周期性やハーモニック・リズム(和音が変わる速さ)を観察する。

モード、クロマチシズム、無調

調性の外側にも多くの和声的可能性があります。教会旋法や民族的なモード(ドリア、フリギアなど)は特有の和声進行を生みます。クロマチック和声は半音の使用を軸に色彩を作り、二次調性や遠隔調への転調を可能にします。反対に、アーノルド・シェーンベルクのような作曲家はキーを廃した無調音楽を追求し、和声の概念自体を再定義しました。

学習と実践のためのヒント

  • ピアノやギターでトライアドとその転回形を繰り返し弾いて、響きの違いを体得する。
  • 簡単な曲の楽譜を取り、ローマ数字で和声分析をしてみる(I–V–vi–IVなど)。
  • 声部書法を練習し、各パートが自然に動くように歌ったり弾いたりする。
  • クロマチックな進行や二次ドミナント、増六和音などを少しずつ学び、実際に伴奏で試してみる。
  • 爵士(ジャズ)やポップスでは、テンションとリハーモナイズ(和声の置き換え)を学ぶと応用が広がる。

和声は音楽の感情や構造を作る重要な要素です。基礎を押さえつつ、歴史的背景(バロック〜ロマン派〜20世紀)やジャンルごとの実践を併せて学ぶと、より深い理解が得られます。和声についての書籍や解説は多く存在するので、興味のあるテーマから読み進めるとよいでしょう(参考:音楽理論家が和声についての本など)。

質問と回答

Q: "ハーモニー "という言葉の意味を教えてください。
A: ハーモニーとは、いくつかの音を合わせて「和音」を作ることを意味します。語源はギリシャ語のharmoniaで、「物事を結びつける」という意味です。

Q:ハーモニゼーションとは何ですか?


A:ハーモニゼーションとは、曲に和音をつけて調和をとる方法を勉強することです。

Q:曲の下にハーモニーがある音楽はどんなものですか?


A:和声を下敷きにした曲のことを「ホモフォニック」と呼びます。

Q:ハーモニーには何音必要ですか?


A:最低でも3つの音が必要ですが、ほとんどのホモフォニックな音楽では4つの音が必要です。

Q:調の音だけを使うハーモニーとは、どのようなものですか?


A:調の音だけを使ったハーモニー(例えばハ長調は白音符だけ)を「トーン・ハーモニー」と呼びます。

Q:シャープやフラットを多用するハーモニーとは、どのようなものですか?


A:シャープとフラットを多く加えたハーモニーを「クロマチック・ハーモニー」と呼びます。

Q:音楽が無調であっても、和声的な要素を持つことは可能ですか?


A: はい、アーノルド・シェーンベルクの音楽のように、調が全くない音楽は、「無調」でありながら、和声的な要素を含んでいると考えることができます。


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