ホール(Hole)はアメリカのロックバンド。1989年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成され、2002年に一度解散した。2009年にコートニー・ラヴを中心に新メンバーで再結成したが、2012年に活動を停止した。最後のメンバーは、シンガーのコートニー・ラヴギタリストのミッコ・ラーキン、ベーシストのショーン・ダイリー、ドラマーのスコット・リップスであった。コートニー・ラヴはバンドの中心人物として作詞・作曲やフロントマンを務め、バンドはグランジ/オルタナティブロックを基調とした攻撃的でメロディアスなサウンドで知られるようになった。

ホールは通算でスタジオ・アルバムを4作発表している。ファースト・アルバム『Pretty on the Inside』は1991年にリリースされ、ハードでパンク的な側面が強い作品として批評家の注目を集めたが、商業的には限定的な成功に留まった。アルバム発表後にメンバー交代があり、ラブとオリジナルのギタリストであるエリック・アーランソンを中心に新体制へと移行した。クリステン・パフ(ベース)とパティ・スケメル(ドラム)が加入すると、バンドは1994年にセカンド・アルバム『Live Through This』をリリースした。この作品は商業的・批評的に大きな成功を収め、“Doll Parts”や“Violet”といったシングルで広く知られるようになった。1990年代後半には再びラインナップが変わり、メリッサ・アウフ・デア・モー(ベース)が加入。1998年にはバンドのサウンドがよりポップで洗練された方向に移行したサード・アルバム『セレブリティ・スキン』を発表し、これが商業的にも高い評価を得て彼らの代表作の一つとなった。バンドはその後も制作を試みたが、様々な理由で活動が困難になり、2002年に解散を発表した。

2009年の再結成は、当初コートニー・ラヴの主導により新メンバーを迎えて行われたが、旧メンバーとの間でバンド名使用を巡る法的・人間関係上の対立が生じた。最終的に旧メンバー側はラブにバンド名の使用を許可したと報じられている。2010年には当初ラブのソロ作として制作されていた楽曲を中心にしてNobody's Daughterをリリースしたが、批評は賛否両論で商業的な成功も限定的だった。2010年前後には世界各地でツアーを行ったが、コートニー・ラヴがソロ活動や他のプロジェクトに専念する意向を示したこともあり、2012年にホールとしての活動は停止された。

その後もメンバーや元メンバーが個別に共演する場面や、一時的な再結成的パフォーマンスが見られた。例えば2010年代以降、コートニー・ラヴとエリック・アーランソン、メリッサ・アウフ・デア・モー、パティ・スケメルらが舞台やイベントで顔を合わせることがあり、バンドの楽曲が再評価され続けている。しかし公式に恒常的な再結成や活動再開が長期にわたって続けられたわけではない。

音楽性と影響
ホールはパンク、グランジ、オルタナティブロックを基盤に、感情的で直接的な歌詞とダイナミックなギターサウンドを特徴とする。コートニー・ラヴのパフォーマンスと率直な歌詞は、女性表現やフェミニズム、名声と苦悩についての議論を喚起し、多くの後続ミュージシャンやバンドに影響を与えた。特に『Live Through This』『セレブリティ・スキン』は90年代のロック/オルタナシーンを語るうえで重要な作品とされている。

主なメンバー(代表的な在籍期)

  • コートニー・ラヴ(ボーカル、ギター) — バンドの創始者で中心人物
  • エリック・アーランソン(ギター) — 初期から中核を担ったギタリスト
  • クリステン・パフ(ベース) — 『Live Through This』期のメンバー
  • パティ・スケメル(ドラム) — 『Live Through This』期のドラマー
  • メリッサ・アウフ・デア・モー(ベース) — 『セレブリティ・スキン』以降に加入
  • その他、時期により複数のメンバー交代があった

ホールは90年代のオルタナティブロックを代表する存在の一つとして、批評的な評価と論争の双方を集めながら影響力を残したバンドである。現在もその作品は再発やレビューを通じて新しいリスナーに届き続けている。