アリドリ科(Thamnophilidae)|熱帯アメリカの200種以上の特徴・生態・保全
アリドリ科(Thamnophilidae)200種超を徹底解説。熱帯アメリカの特徴・生態・保全課題、絶滅危惧種の最新情報を写真で紹介。
アリドリは、大型の通過性の鳥類であるThamnophilidaeの仲間で、メキシコから、アルゼンチンまでの亜熱帯・熱帯の中南米に広く分布しています。一般に「アリクイ」「アリレン」「アリビレオ」「ファイアアイ」「ベアアイ」「ブッシュバード」などと呼ばれる、約200種以上の鳥がいます。 種ごとに生態や外見に差があり、森林の下層から樹冠、地表性のものまで多様なニッチを占めています。
分類と近縁
アリドリ科は、アントスラッシュやアントピッタス(家族Formicariidae)、tapaculos、gnateaters、およびオーブンバード類と系統的に近縁です。一方で、共通名に似たグループであるシギ(シギ)、ビレオ(ビレオ)、モズ(モズ)とは系統的に遠縁であり、形態的に似ていても近縁とは限りません。
形態的特徴
アリドリは一般に小型〜中型で、丸みを帯びた翼と発達した脚を持ちます。多くの種が鈍い灰色や白、茶色を基調とした羽色で、羽毛はやや毛羽立った印象です。多くの種で性的二形が見られ、オスとメスで斑紋や色彩が異なります。いくつかの種は背部や肩に白い羽のパッチを露出させることで、ライバルや仲間に警告を伝えます。ほとんどの種では、多くの種では先端がフックしている重い法案を(くちばし)持ち、昆虫などを捕らえるのに適しています。
生息地と食性
ほとんどのアリドリは森林に生息しますが、種によってはサバンナの縁や二次林、河畔林など他の生息地でも見られます。主に昆虫やその他の節足動物を食べますが、時折小型の脊椎動物(トカゲなど)を捕らえることもあります。生息層は種によって異なり、多くは森林の下層や中層で活動する一方、樹冠性や地面性の種も存在します。
- 特異な採餌行動:およそ18種はアリの行進(主に軍隊アリ)の列を追跡し、アリが追い出した小型の無脊椎動物を捕食することを専門としています。これらは「アリ追跡性(ant-following)」と呼ばれ、アリの行動に強く依存します。
- 捕食戦略:単独で低木を探し回る種、ペアや小群で枝先をつつく種、音声で協調して採餌する種など多様です。
繁殖と社会行動
多くのアリドリは一夫一婦制をとり、生涯の配偶者とともにテリトリーを守ることが知られています。巣は一般にカップ状で、ほとんどの種が2個の卵を産みます。両親で卵の孵化や給餌などの育雛を行い、親による共同育雛が見られます。巣立ち(fledging)後、観察によれば各親がそれぞれ1羽のひなに対して排他的に世話を続ける種もあります。多くの種で領域防衛のための鳴き合いやデュエット(つがいでの掛け合い)行動が発達しており、繁殖期のペアの結束や対抗行動に寄与します。
鳴き声とコミュニケーション
アリドリは種類ごとに特徴的な鳴き声をもち、繁殖やテリトリー宣言、ペア間のやり取りで重要な役割を果たします。一部の種は複雑なデュエットやコールのパターンを持ち、これが種識別や個体識別に役立ちます。
生態系における役割
アリドリは生態系内で重要な役割を果たします。特にアリ追跡性種は、軍隊アリと共生的な関係を通して森林の無脊椎動物群集に影響を与え、また森林の健康や多様性の指標種となることがあります。
保全状況と脅威
人間活動の影響で約38種が絶滅の危機に瀕しています。主な脅威は生息地の喪失(森林伐採、土地改変、農地化)で、これにより生息地が断片化し、巣や若鳥が捕食者が容易にアクセスできるようになることが問題です。ほかにも気候変動や外来種、生息地の劣化が個体群に悪影響を及ぼしています。
- 保全対策の一例:保護区の設置、森林の連結性を確保する生態回廊の整備、持続可能な林業、種特異的な保全計画(特にアリ追跡性の種)や現地コミュニティとの協働による保護活動。
- 研究の必要性:分布や繁殖生態、アリ追跡行動の詳細な調査、遺伝的多様性の解析、気候変動が及ぼす影響評価などが重要です。
まとめ
アリドリ科は熱帯アメリカの森林で多様な生態的役割を担う重要な鳥類群であり、形態や行動の多様性、アリ追跡という特殊戦略など興味深い特徴を持ちます。同時に多くの種が生息地破壊により危機に瀕しているため、保全と研究による理解の深化が急務です。
質問と回答
Q:アリドリは何科に属するのですか?
A:アリドリはタムノガエル科に属します。
Q:アリドリはどこに生息していますか?
A:アリドリはメキシコからアルゼンチンにかけての亜熱帯から熱帯の中南米に生息しています。
Q:アリドリは何種いるのですか?
A:200種以上いるといわれています。
Q:アリドリの羽は雌雄でどう違うのですか?
A:雌雄で模様や色彩が多少異なります。
Q: ほとんどのアリドリはどんな嘴をしていますか?
A:多くのアリドリは嘴が重く、先端が鉤状になっている種が多いですね。
Q:アリドリはどんなところに生息しているの?
A:ほとんどの種が森林に生息していますが、少数ながら他の生息地にも生息しています。
Q:ライバルへの警告をどのように伝える種がいますか?A:背中や肩の白い羽毛を見せることで、ライバルに警告を発している種もいます。
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