アポロ13号は、NASAのアポロ計画における7回目の有人ミッションで、3回目の有人月面着陸を目指したミッションでした。司令船長はジム・ラヴェル、その他の乗組員は、ジャック・スウィガートとフレッド・ハイゼででした。
事故の経緯と原因
打ち上げ自体は成功しましたが、飛行開始から約2日後にサービスモジュール内の酸素タンクが爆発し、サービスモジュールが大きく損傷しました。これにより酸素供給と、酸素を用いて発電する燃料電池の両方が失われ、宇宙船は深刻な電力不足と二酸化炭素の蓄積、極端な低温にさらされました。
事故原因のまとめ:
- 調査の結果、酸素タンク内部の電熱ヒーターや配線の問題、ならびに整備時の取り扱いや試験電圧に起因する絶縁損傷が最終的な爆発の要因と判明しました。
- 爆発はタンク内部の急激な圧力上昇によるもので、これが周辺機器を破壊して酸素と電力の喪失を招きました。
乗組員の即応と地上の支援
乗組員は直ちに危機対応に移り、アポロ月着陸船(LM)に乗り移って「救命ボート」として使用しました。LMは本来月着陸用に設計されたものでしたが、生命維持装置と推進系を有していたため、応急的に地球帰還のための居住・推進モジュールとして機能しました。
主な対処と工夫:
- LMの推進装置を使った軌道修正で月の周回を経て地球帰還軌道へ戻す操作を実施。
- 電力と酸素の節約のためにコマンド船をほぼ全面的にシャットダウンし、最低限の機器のみ稼働させた。
- 二酸化炭素除去のため、地上管制と乗組員が協力してコマンドモジュール用の円筒形カートリッジ(正方形のもの)をLMの丸いカートリッジに適合させるアダプターを即席で製作(いわゆる「ダクトテープとビニール袋の修理」)。これによりCO2中毒を回避しました。
着水前の不安と最終帰還
地球への再突入に際しては、コマンド・モジュールの減速および安全な着水のためにパラシュートの作動が不可欠でした。パラシュートは、電池によって発射された小さな爆発物(パイロ装置)によって投げ出される仕組みです。機内が極度に低温になったことからバッテリー性能の低下が懸念され、パラシュートが正しく展開されない可能性が危惧されました。
最終的に、乗組員はサービスモジュールを切り離し、コマンド・モジュールで再突入を実施しました。パラシュートは正常に展開し、乗組員全員が無事に海上に着水しました(着水は1970年4月17日、太平洋)。
結果とその後の教訓
- アポロ13号では有人月面着陸は中止されましたが、乗組員全員が生還したことは「成功裏の失敗」として称えられました。
- 事故調査を通じて設計や管理手順の見直しが行われ、以降のミッションでの安全性向上と冗長設計の強化につながりました。
- このミッションは、冷静なクルーの判断、地上の専門家チームの緊密な連携、そしてシステムの柔軟な利用が、深刻な事故を生還に結びつけた好例として広く知られています。
補足:機体の内部は寒く、多湿や結露も発生しましたが、乗組員は限られた資源をやりくりして生命維持を継続しました。アポロ13号の教訓は宇宙船設計・運用の多くの面に反映され、今日の有人宇宙飛行の安全基準に貢献しています。