ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とは|概要・構造・観測能力解説
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とは?構造・主要機能・高感度赤外線観測でハッブルを超える観測能力を図解でわかりやすく解説。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、宇宙から主に赤外線を観測するための大型宇宙望遠鏡です。打ち上げは2021年12月25日に行われ、以降、地球から約150万km先の太陽─地球系の第2ラグランジュ点(L2)で運用されています。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡の“次世代”機として設計され、ハッブルでは難しい赤外線領域での高感度観測を可能にします。元々“宇宙に投入される望遠鏡”として計画されていたものです。
望遠鏡の名称は、アポロ計画の立案などで知られるNASAの管理者ジェームズ・E・ウェッブにちなんで命名されました(アポロ計画に関する記述はこちら、ウェッブ氏についてはこちら)。
主鏡と設計の特徴
主鏡の有効直径は6.5メートルで、18枚の六角形セグメントから構成されています。セグメント素材はベリリウムで、表面には赤外線をよく反射するために薄く金でメッキされています。セグメント合計の集光面積はハッブルの主鏡(直径約2.4 m)に比べておおむね約7倍の集光能力を持ち、非常に微弱な赤外線信号もとらえることができます。大きすぎる主鏡はロケットに収まるよう打ち上げ時に折りたたまれ、軌道到達後に展開・整列(ファイン・フォーズ)されて最適な光学性能に合わせられます。
JWSTは主に赤外線の観測を目的としますが、可視光の赤に近い波長まで感度を持ち、得られたデータは私たちの目で見やすくするために人工的な偽色で表現されることが多いです。
冷却と日除け(サンシールド)
赤外線観測では望遠鏡自身の熱放射を極力抑える必要があるため、JWSTは大型の多層サンシールドで太陽光や地球・月からの熱を遮断します。このサンシールドは畳むとロケットに収まり、展開後はテニスコートほどの面積に広がって望遠鏡を寒く暗い環境に保ちます(リンク:テニスコートほどの大きさ)。サンシールドにより主鏡まわりは受動的に数十ケルビン(おおむね約40K)程度まで冷却されますが、中間波長・長波長側を担当する観測機器の一つであるMIRI(中赤外装置)はさらに低温(数ケルビン)での動作が必要なため、追加の能動冷却システム(クライオクーラー)を備えています。
主要観測装置(インストルメント)
- NIRCam(近赤外カメラ):高解像度のイメージング。宇宙初期の銀河や星形成領域の撮像に用いる。
- NIRSpec(近赤外分光器):多数同時分光(マルチオブジェクト分光)や高分散分光が可能で、銀河や星、系外惑星大気のスペクトル解析に有用。
- MIRI(中赤外器):5〜28.5 µm 程度までの中赤外観測を担当。塵に埋もれた星形成領域や遠赤外の熱放射を観測。
- FGS/NIRISS(位置決め装置/近赤外分光撮像器):精密な望遠鏡の指向制御(FGS)や、系外惑星の透過分光などに使えるNIRISS。
軌道と打ち上げ、運用
打ち上げは欧州宇宙機関(ESA)提供のアリアン5ロケットで行われ、打ち上げ後約1か月でL2近傍の軌道に到達、段階的な展開・整列と試験運用(コミッショニング)を経て科学観測が始まりました。L2は地球から太陽の反対側に位置し、観測時に安定して太陽を背にできるため、恒常的に冷却状態を保ちやすい利点があります。
観測能力・解像度・波長帯
観測波長域はおおむね0.6〜28.5 µm(近赤外〜中赤外)で、赤外線に特化した高感度観測が可能です。解像度は波長に依存しますが、短波長側(例:2 µm)のときは理論上およそ0.06秒角程度の高い空間解像度が得られ、遠方天体や系外惑星の大気など微細な構造の観測に威力を発揮します。
主な科学目標
- 宇宙初期に形成された最初の銀河や恒星の検出(“ファーストライト”の観測)
- 銀河の形成・進化、銀河内の星形成過程の解明
- 塵やガスに覆われた星形成領域の観測
- 系外惑星の大気組成や気候のスペクトル解析(直接・間接法の両方)
- 太陽系天体の詳細観測(小惑星や衛星、彗星などの観測)
運用状況と成果(概略)
打ち上げ以降、JWSTは高い感度と広い波長域を活かして数多くの重要な観測成果を報告しています。2022年7月に公開された最初のフルカラー画像群は世界的な注目を集め、遠方銀河の構造や塵に覆われた星形成領域、銀河間のスペクトル情報など、従来の望遠鏡では得られなかった詳細を示しました。その後も初期宇宙の恒星形成や系外惑星大気の検出・分析など、多方面で成果が上がっています。
まとめ
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、これまで見えなかった赤外線の世界を高い感度と解像度で観測することで、宇宙の初期や星・惑星の形成過程、さらには系外惑星の大気といった天文学の重要な問題に新しい知見をもたらす次世代の観測装置です。大型主鏡の展開、精密な冷却・遮蔽設計、複数の高性能観測装置の組合せにより、現在も活発に科学観測が行われています。

2007年にワシントン州シアトルで開催されたAAS会議で公開されたJWSTの実物大模型。高さは2階建て、重さは数トン。写真提供:Rob Gutro, NASA/GSFC.
オービット
JWSTは、地球や月から放射される熱を避けるために、地球から遠く離れた軌道をとります。この特別な軌道は、月の向こう側、太陽-地球系の第2ラグランジュポイント(L2)にあり、重力が安定している場所です。この軌道は、地球から150万km離れており、月の約4倍の距離があります。そのため、ほとんどの時間、地球の影に隠れており、実際には地球の周りを回っているのではなく、地球と同じ速度で太陽の周りを回っているのである。

JWSTの軌道(ノットスケール)
質問と回答
Q: ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とは何ですか?
A: JWSTは、2021年12月25日に打ち上げられた望遠鏡で、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機です。
Q:ジェームズ・E・ウェッブとは何者ですか?
A:ジェームズ・E・ウェッブは、NASAで宇宙飛行士を月に乗せるアポロ計画を作った長官で、この望遠鏡の名前が付けられた人物です。
Q: JWSTの主鏡の幅はどのくらいですか?
A: JWSTの主鏡の幅は6.5メートルで、ハッブル宇宙望遠鏡の6倍の面積があります。
Q: JWSTの主鏡はどのように作られているのですか?
A: JWSTの主鏡は18枚のパーツで構成されており、打ち上げ時にはロケットに収まるように折り畳まれています。
Q: JWSTはどのような望遠鏡ですか?
A: JWSTは主に赤外線望遠鏡ですが、可視光線の赤色部分でも機能します。
Q: なぜJWSTは金メッキを施しているのですか?
A: JWSTは金メッキが施されていますが、これは金が赤外線をよく反射するためです。
Q: JWSTはどのようにして冷却されているのですか?
A: JWSTは、テニスコートほどの大きさの大きなサンシールドで守られており、冷暗所を保っています。また、赤外線ビジョンで熱線を見ることができるため、できるだけ涼しくしておく必要があります。
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