ラピスラズリとは|宝石と顔料の歴史・特徴・産地ガイド
ラピスラズリの宝石性・顔料としての歴史、特徴、主要産地を写真と年代で詳解。古代〜ルネサンスの用途や価値、鑑別・ケア方法も紹介。
ラピスラズリは鉱物であり、宝石でもあります。主にラズライト(lazurite)を主成分とする複合岩で、石灰岩が周囲のマグマや熱水の影響を受けて変化してできる、いわゆる変成岩として生成されます。特徴的な深い青色(ウルトラマリンに近い色合い)と、金色に輝く黄鉄鉱(パイライト)の斑点、白い方解石(カルサイト)条線の組み合わせが外観の識別点です。
特性
- 色:濃い群青色からやや緑がかった青まで。最上級は均一で濃いウルトラマリンのような青。
- 主成分:ラズライト(lazurite)を中心に、パイライト、方解石、ソーダライトなどを含む混合岩。
- 硬度:モース硬度はおおむね5〜6程度で、比較的柔らかめ。
- 比重・光沢:比重は約2.5〜2.9、光沢はやや油脂状〜鈍いものが多い。
- 外観の特徴:金色のパイライト斑点、白い方解石の条線があると天然ラピスの可能性が高い。
歴史と用途
ラピスラズリは古代から珍重され、装飾品や宗教的な品、呪術的な護符などに用いられてきました。エジプトではミイラの副葬品や化粧料(砕いて顔料として使用)に使われ、メソポタミアやモンゴル、ペルシア、中国など幅広い地域で装飾・象嵌材として重要でした。先史時代のビーズ加工例も発見されています。
中世からルネッサンス期にかけては、ラピスラズリを粉末にした顔料(ラピス顔料、天然ウルトラマリン)は非常に高価で、宗教画や肖像画の空や聖母の衣の深い青に使われました。中世やルネッサンス期の作品、たとえばジョットのフレスコ画やフラ・アンジェリコのテンペラ画にもその使用例が見られます。19世紀(1820年代)に合成ウルトラマリンが開発されるまでは、ラピス由来の顔料は画家やパトロンにとって非常に貴重な色材でした。
主な産地
- アフガニスタン(バダフシャン地方、Sar-e-Sang鉱山)— 歴史的かつ現在でも最重要産地で、最高級品の多くがここから産出。
- チリ、ロシア、パキスタン、ミャンマー、アメリカ合衆国など — 世界各地に小規模な鉱床が存在。
- 現代では採掘・流通の事情により、産地が品質評価や価格に大きく影響します。
見分け方と偽物
- 天然ラピス:パイライトの金色斑点や方解石の白い斑が混在することが多い。表面の色は深く、均一すぎないのが特徴。
- よくある偽物:染色されたハウライトやソーダライト、着色ガラス、合成樹脂で固めた再結晶ラピス(リコンスティチュート)など。
- 簡単なテスト:方解石部分は希塩酸で軽く泡立つ(ただし宝石に直接酸をかけるのは推奨しません)。硬度や比重、ルーペでの観察でパイライトの粒子や方解石の存在を確認します。
- 専門的検査:分光分析やX線回折(XRD)などで成分を確認すると確実です。
加工・お手入れ
- 加工:ラピスは割れやすく均一性に欠けることがあるため、一般にファセット(刻面切削)よりもカボションやビーズ、彫刻、象嵌に向きます。
- お手入れ:中性洗剤とぬるま湯で柔らかい布やブラシで洗い、直射日光や高温、多湿、強い化学薬品(酸や漂白剤)を避けて保管してください。超音波洗浄やスチームクリーナーは避けるのが無難です。
- 合成・処理:染色や樹脂含浸などの処理が行われている場合があるため、購入時は処理の有無を確認してください。
価値と選び方
- 高品質の条件:均一で深い青色、白い方解石が少ないこと、適度なパイライトの散在(過剰だと安っぽく見える)— 特にアフガニスタン産の深青色が高く評価される傾向にあります。
- 用途に応じた選択:日常使いのジュエリーは保守的に扱う前提で、色合いと硬度を重視。美術・修復用の顔料としては天然ウルトラマリンと合成ウルトラマリンの使い分けが行われます。
- 価格:色、純度、サイズ、産地、加工の良し悪しにより大きく変動します。購入時は信頼できる販売店で鑑別書の有無を確認しましょう。
まとめると、ラピスラズリは美しい深青色と歴史的価値を持つ天然石であり、装飾や美術、文化史の面で重要な役割を果たしてきました。購入や扱いの際は、産地や処理の有無、外観の特徴を確認することが大切です。

ラピスラズリの標本(ラフ)、アフガニスタン
質問と回答
Q:ラピスラズリとは何ですか?
A:ラピスラズリは石灰岩系の変成岩として形成された鉱物であり、宝石でもあります。
Q: なぜラピスラズリは有名なのですか?
A:ラピスラズリは美しい青色で有名で、その名前は "青の石 "を意味します。
Q: ラピスラズリは歴史上どのように使われてきたのですか?
A: ラピスラズリは、先史時代からビーズやジュエリーに使われたり、彫像にされたりと、様々なものに使われてきました。主な用途は、芸術家の絵の具の顔料(色)としての使用です。
Q: 中世・ルネッサンス期には、ラピスラズリは何に使われていたのでしょうか?
A:中世・ルネサンス期には、空や青い服を描くための顔料として、ラピスラズリを粉にして油と混ぜて使用されていました。ジョットのフレスコ画やフラ・アンジェリコのテンペラ画で見ることができます。
Q:ラピスラズリはジュエリーに使用できますか?
A: はい、ラピスラズリは先史時代からビーズにされ、ジュエリーに使用されてきました。
Q: ラピスラズリは彫刻ができますか?
A: はい、ラピスラズリはスタチュー(小さな彫刻)に彫ることができます。
Q: ラピスラズリはどのような岩石からできているのですか?
A: ラピスラズリは石灰岩の変成岩として形成されています。
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