リートモティーフ(ライトモティーフ)とは|意味・起源・ワーグナーと映画での事例

リートモティーフとは?意味・起源からワーグナーの手法、映画やゲームでの具体例までわかりやすく解説。名曲分析と聴きどころも紹介。

著者: Leandro Alegsa

leitmotif(発音:[ˈlaɪt.moː.tiːf]、英語読みで「ライト‑モティーフ/ライト‑モティフ」あるいは「リート‑モティーフ」とも表記される)は、ドイツ語で「先導する(leading)モチーフ」を意味する語です。音楽では短い反復可能な音楽的主題を指し、特にオペラや劇音楽で人物・物・概念・場面を音楽的に表すためによく用いられます。これらは短い旋律であることが多いですが、モチーフを示すものは必ずしも旋律そのものに限らず、リズムや特定の和音進行、楽器の色彩(オーケストレーション)などで表されることもあります。

意味と役割

一般にリートモティーフ(ライトモティーフ)は、物語の中で特定の人物・道具・感情・思想などと結び付けられ、状況に応じて変形・再現されることで聴衆に情報を与えたり、場面を結び付けたりします。登場人物が舞台に現れる前にその人のモチーフが奏されることで、観客は誰が現れるのかを認識したり、同じモチーフが異なる文脈で現れることで皮肉や予兆の効果が生まれたりします。

起源と歴史的背景

この手法自体は19世紀に始まったわけではなく、先行例は古くから見られます。たとえば、ベートーヴェンの交響曲第5番冒頭の4音(短短短長)は、作品全体で一種の統一動機として使われており、リートモティーフ的な機能を果たしています。オペラで体系的に用いた最初期の作曲家の一人としては、カール・マリア・フォン・ウェーバーの名が挙げられます。F.W.イェーンスという音楽評論家がウェーバーの作品を説明するためにこの概念を用いたとされています。また、ヘクター・ベルリオーズの交響曲「幻想交響曲」における「固定観念(idée fixe)」は、特定の人物や感情を表す主題が繰り返されて形を変える点で、リートモティーフと近い考え方です。

ワーグナーと「リートモティーフ」

リヒャルト・ワーグナーの楽劇における主題の扱いが、この言葉と特に結び付けられて語られることが多いです。ワーグナーの作品では、登場人物や神具、運命的な出来事や抽象的概念に関わる主題が繰り返し用いられ、作品全体の統一や物語の提示に大きく寄与しています。例えば、ワーグナーの『リング・サイクル』の「ニーベルンゲンの指環」の中には、主神ヴォータンに関連するモチーフ、透明化する兜であるタルンヘルムのモチーフ、そして「愛の放棄(Liebesverzicht)」を表すモチーフのように、さまざまな主題が登場します。ワーグナーはしばしばこれらを「Grundthema(基本主題)」や単に「Motiv」と呼び、自ら「リートモティーフ」という語を積極的に用いたわけではありません。

批評と受容

ワーグナーのモチーフ使用を批判する声もありました。たとえば、保守的な批評家の中には、モチーフの頻繁な提示が音楽を平板化すると考えた者もいます。エドゥアルド・ハンスリックらワーグナーに批判的な論者や、クロード・ドビュッシーのように皮肉を交えてその手法を批判した作曲家もいました(ドビュッシーは、登場人物が「面会カード」のように名乗るかのように主題で自己紹介する世界を風刺したと言われます)。一方で、モチーフの変形や複合的な展開を通じて深いドラマ性と統一感を生み出す手法として高く評価する立場もあります。

ワーグナー以後の展開と他の作曲家

ワーグナー以降、多くの作曲家が同様の手法を取り入れています。たとえば、リヒャルト・シュトラウスのオペラ、エルガーのオラトリオ「王国使徒」、あるいはアルバン・ベルクのオペラ「ルル」などで見られるように、登場人物や動機を音楽的に表すやり方は広く用いられています。

映画・ゲーム音楽での利用

近代の映画音楽やゲーム音楽でもリートモティーフの手法は非常に重要です。例えば、映画「ジョーズ」の有名な2音の主題は、サメの接近を表すリートモティーフとして機能します(作者はジョン・ウィリアムズ)。同じくジョン・ウィリアムズは『スター・ウォーズ』でダース・ヴェイダーの「帝国のマーチ」など、多くのキャラクターや勢力に対して識別可能な主題を与えています。近年では、ハワード・ショアの『ロード・オブ・ザ・リング』や、ハンス・ジマーや映像音楽の作曲家による手法の応用、さらにゲーム音楽(例:シリーズ作品で反復されるテーマやキャラクターソング)でも同様の効果が活用されています。

音楽的特徴と技法

  • 形態:短い旋律、リズム、和声進行、あるいは音色(特定の楽器)によって表現される。
  • 変形:転調、逆行、拡大・縮小、リズム変化、オーケストレーションの変更などで意味を変えることができる。
  • 組み合わせ:複数のモチーフを同時に重ねることで、人物間の関係性や対立を音楽的に示す(対位法的扱い)。
  • 機能:識別・予告・回想・皮肉表現・感情の強調など、物語を補強する多様な役割を果たす。

まとめ

リートモティーフ(ライトモティーフ)は、短い音楽的要素を通じて物語や登場人物、思想を音で表現し、統一感やドラマ性を与える強力な手法です。オペラでの伝統から映画やゲーム音楽まで広く使われ、その用法と解釈は作曲家や時代によって多様に発展しています。作品を聴く際に主要なモチーフに注意を向けると、物語の構造や作曲技法の巧みさをより深く味わうことができます。

質問と回答

Q:指針は何ですか?


A: ライトモチーフとは、音楽作品(通常はオペラ)の中でしばしば繰り返される小さな音楽テーマのことです。人、物、考えなどに関するもので、物語をドラマチックにしたり、結びつけたりするのに役立ちます。

Q:オペラの中でライトモティーフを多用した最初の人物は誰でしょう?


A: カール・マリア・フォン・ウェーバーは、自分のオペラにライトモティーフを多用した最初の作曲家です。

Q:ワーグナーはそのようなテーマについてどのように言及したのでしょうか?


A:ワーグナーは、これらのテーマを「グルントテーマ(基本的な考え)」あるいは単に「動機」と呼ぶことを好んだ。

Q: ワーグナーの『ニーベルングの指環』におけるライトモチーフの例をいくつか挙げてください。
A:この作品のライトモチーフの例としては、主神ヴォータンのライトモチーフ(人)、透明な兜タルンヘルムのライトモチーフ(物)、愛の放棄のライトモチーフ(思想)の3つが挙げられます。

Q:同じような手法を使った作曲家は他にもいるのでしょうか?


A: リヒャルト・シュトラウスのオペラ、エルガーのオラトリオ「王国」と「使徒」、アルバン・ベルクのオペラ「ルル」など、多くの作曲家が同様の手法で作品を制作していますね。映画のドラマ化には、ライトモチーフや音楽のテーマが使われることもある。例えば、有名な『ジョーズ』のテーマには、サメのライトモチーフが使われています。

Q:この技術は新しいのですか?


A:いや、この手法は19世紀にワーグナーが広めたもので、全く新しいものではなく、ベートーヴェンがすでに交響曲第5番でモチーフとして使っていたものだ。


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