ミディ・ピレネー(オック語: Miègjorn-PirenèusまたはMieidia-Pirenèus)は、フランスの旧行政区。現在はオクシタニー行政区の一部となっている。歴史的にはオクシタニア地方の一部である。

この地域の名前は、他の多くの地域のように古い名前に基づいたものではなく、この地域の地理、Midi(「南フランス」の意)-Pyrénées(この地域で最も高い山であるピレネー山脈)に基づいたものである。この地域に住む人々のフランス語の形容詞と名前は、Midi-Pyrénéenです。

この地域の県は、アリエージュ、アヴェロン、オート=ガロンヌ、ジェール、ロット、オート=ピレネー、タルン、タルン=エ=ガロンヌでした。州都トゥールーズ

概要と行政の変遷

ミディ=ピレネーは、フランス南西部に位置する広大な地域で、本土フランスの地域の中でも面積が大きいことで知られていました。歴史的には中世のオクシタニア文化圏に属し、独自の言語(オック語)や風土文化を保持しています。行政上は20世紀後半に近代的な地域行政区として整備され、2016年1月1日の地域再編により、隣接するラングドック=ルシヨンと統合されて新しい行政区オクシタニー(Occitanie)となり、ミディ=ピレネーは旧行政区となりました。

歴史の概略

中世にはトゥールーズ伯や他の地方領主が力を持ち、オクシタン文化やカトリ派(カタリ派)に関わる歴史的事件、特にアルビジョワ十字軍(アヴィニョンやアルビの周辺で展開されたカタリ派弾圧)などがこの地域の歴史に大きな影響を与えました。ルネサンス以降は徐々にフランス王権の支配下に組み込まれ、近代以降は農業と産業の両面で発展してきました。

地理・気候

地域はピレネー山脈(南部)から広大な平野、ガロンヌ川やタルン川など肥沃な河谷まで多様な地形を含みます。気候は地域内で変化が大きく、ピレネーの山地部は山岳気候、平野部は大西洋の影響を受ける温和な気候や、地中海的な影響を受ける地域もあります。主要な自然地域としてはピレネー山脈やカオス(石灰岩台地)地帯、ロット渓谷などがあり、ハイキングや冬季スポーツの拠点が多くあります。

主要都市と交通

州都のトゥールーズは地域最大の都市で、航空宇宙産業(Airbusなど)や大学・研究機関が集中する経済・文化の中心です。その他の主要都市には以下があります:

  • フォワ(アリエージュ県の県庁)
  • ロデズ(アヴェロン)
  • オーシュ(ジェール)
  • カオール(ロット)
  • タルブ(オート=ピレネー)
  • アルビ(タルン)
  • モン・バン(タルン=エ=ガロンヌ)

交通はトゥールーズを中心に発達しており、トゥールーズ=ブラニャック空港をはじめ、TGV(高速鉄道)や主要幹線道路が国内外と結ばれています。歴史的な運河であるカナル・デュ・ミディ(Canal du Midi)もトゥールーズを経由し、かつての物流・交通の要でした。

経済・産業

経済は多様で、航空宇宙・ハイテク産業(トゥールーズ周辺)、農業(肉用・乳用畜産、トウモロコシ、穀物、ワイン生産など)、観光(ピレネーのリゾート、歴史都市、巡礼地)が主要な柱です。特にトゥールーズは航空機製造や関連サプライチェーンが集積しており、地域経済を牽引してきました。農産品ではフォアグラや地元ワイン、チーズなどの特産品が知られています。

文化・観光

オック語やガストロノミー(地方料理)、祭りなど独自の文化が色濃く残ります。主な観光スポットには以下が含まれます。

  • トゥールーズのサン=セルナン聖堂やカピトール広場
  • アルビのサント・セシル大聖堂とトゥールーズ=ロートレック美術館(アルビの司教都市)
  • ロット県のロカマドゥールやカオールの旧市街
  • ピレネー山脈の国立公園やスキーリゾート、ハイキングルート
  • カナル・デュ・ミディ(歴史的運河)

行政区画(旧県一覧)

ミディ=ピレネーを構成していた県(départements)は次の8県です。各県はそれぞれ県都(préfecture)を持ちます。

  • アリエージュ(県都:フォワ)
  • アヴェロン(県都:ロデズ)
  • オート=ガロンヌ(県都:トゥールーズ)
  • ジェール(県都:オーシュ)
  • ロット(県都:カオール)
  • オート=ピレネー(県都:タルブ)
  • タルン(県都:アルビ)
  • タルン=エ=ガロンヌ(県都:モンバン)

現在の状況

2016年の地域再編以降、ミディ=ピレネーは公式な行政単位としては廃止され、広域行政区となったオクシタニーに統合されました。ただし「ミディ=ピレネー」という名称は歴史的・文化的・地理的な呼称として現在も広く使われており、観光・学術・地域振興などの文脈で参照され続けています。