対格とは 意味と用法をわかりやすく解説 英語・ラテン語・ドイツ語の例
Accusative caseは、文法的には、転動詞の直接目的語をマークするケース、つまり日本語で言うところの「対格(目的格)」です。まずは簡単な例で仕組みを確認しましょう。
例えば、英語の文"He sees the woman."では、Heが文の主語で目的語がthe womanです。一方、"The woman sees him."では、himが目的語になります。この違いを示すために、英語は代名詞の形を変化させます。
彼は女性を見ているという文では、「彼」が主語です。逆に女性が彼を見ているという文では、「彼」が目的語になります。このように、主語と目的語の役割が入れ替わると、英語では代名詞の形も変わります。
英語での用法(簡潔)
英語では、名詞自体の形はほとんど変わりませんが、代名詞は主格(subjective case)と対格(objective case)で区別されます。代表例:
- I → me
- you → you(同形)
- he → him
- she → her
- we → us
- they → them
名詞(the man, the woman など)は語順で役割を示すため、一般に語形変化はありません。例:The man sees the woman と The woman sees the man のように語順で主語・目的語を示します(下のラテン語やドイツ語と対比してください)。
名詞を使った例でも英語は語順で意味を区別するため、形は変わりません。上の例を日本語に直すと分かりやすいでしょう。
ラテン語の例(屈折による区別)
ラテン語では語尾変化によって文中の役割を示します。例:
- "The man sees the woman" = "Vir feminam videt."
- "The woman sees the man" = "Femina virum videt."
ここで、vir(男性)は主語に用いると vir、目的語に用いると virum(対格)になります。同様に、femina(女性)は主語が femina、目的語が feminam です。直接目的語に用いられる形(例:virum, feminam)を対格(accusative)と呼び、主語に用いられる形は主格(nominative)と呼ばれます。「対格」は語尾で示されるため、語順が柔軟でも意味が通ります(ただし語順にも情報や強調があります)。
ラテン語では中性名詞の対格形は主格形と同じになる点など、語尾の規則が語の性(男性・女性・中性)や語形により異なります。
ドイツ語の例(冠詞の変化)
ドイツ語では、英語ほど語尾が変わらない名詞もありますが、定冠詞や形容詞語尾が格を示します。名詞自体が屈折することもありますが、日常的には冠詞の変化を見れば格の違いが分かります。例えば、男性単数の定冠詞:
- 主格(Nominativ): der Mann → Der Mann sieht die Frau.
- 対格(Akkusativ): den Mann → Die Frau sieht den Mann.
一般的な定冠詞の主格と対格の対照:
- 主格: der (m) / die (f) / das (n) / die (pl)
- 対格: den (m) / die (f) / das (n) / die (pl)
また、ドイツ語では名詞ではなく定冠詞が格変化を示す点に注意してください(男性単数では der → den のように変化)。
まとめと注意点
- 対格(accusative)は主に「直接目的語」を示す格です。言語によっては「目的格」と呼ばれます。
- 英語は語順と代名詞の形で主語・目的語を区別するのに対し、ラテン語やドイツ語は語形(語尾や冠詞)で区別します。
- 言語ごとに格の範囲や名称が微妙に異なり、目的語の他に前置詞と結びついて用途が広がることもあります(例:ドイツ語の方向を表す対格など)。
- 学習時は、代表的な例文(主語と目的語を入れ替えた文)で比較すると理解しやすいです。
以上が対格(accusative case)の基本的な意味と、英語・ラテン語・ドイツ語での代表的な用法の比較です。疑問があれば、具体的な文(例:英語の代名詞やラテン語の語尾変化、ドイツ語の冠詞変化)を挙げて質問してください。