『マイ・シェリー・アモール』は、アメリカのシンガーソングライター、スティーヴィー・ワンダーの11作目のスタジオ・アルバムである。レコードは1969年8月29日にTamlaレーベルから発売され、表題曲は本作で最もよく知られるシングルとなり、1960年代後半を代表するバラードの一つとして現在も親しまれている。このリリースは、ワンダーのそれ以前のモータウン期のポップ作品と、1970年代に続く創造的な飛躍との間に位置づけられる。アルバムは、アーティストページやオンラインのカタログ注記など、ディスコグラフィや資料一覧でも確認できる。
音楽性と収録曲
このアルバムはオリジナル曲と同時代のカバー曲を織り交ぜ、モータウン・サウンドらしい緻密なリズム隊、旋律的なベースライン、磨き上げられたボーカル・プロダクションを示している。歌詞面では愛と切望が中心で、表題曲はロマンティックな詞と印象的なメロディで際立つ。編成はエレクトリックとアコースティックの要素を組み合わせ、制作には、シングルのラジオでの広い訴求力を狙ってよく用いられたオーケストラ的な色付けも施されている。
録音・発売と背景
1960年代後半に録音された本作は、Tamla/Motownから発売された。当時のワンダーは、神童としてのイメージから、より成熟した歌手・作曲家へ移行しつつあった時期にあたる。なお、依然としてモータウンのチーム主導型制作との結びつきは強いものの、この作品には、のちの数年間に彼が求めることになる創造的コントロールの高まりをうかがわせる要素も見られる。商業的な発売の経緯は、音楽レーベルのカタログや当時の新聞・業界紙の報道でも記録されている。
モータウン全体のカタログの中で、『マイ・シェリー・アモール』は、人気シングル集としての役割と、1970年代のより実験的で自己主導的な作品群へ向かう足がかりという二つの意味を持つ。1969年にリリースされたワンダー唯一のスタジオ・アルバムであり、翌1970年に出た2作はどちらもライヴ録音で、当時の多忙で過渡的な状況を物語っている。
評価と影響
同時代の批評家や後年の回顧的評価では、表題曲の強さとワンダーの歌唱の質が高く評価されてきた。彼の完全な自主制作の傑作群に通常数えられる作品ではないものの、本作は彼の知名度とラジオでの存在感を支え、以後も放送され続ける楽曲を提供した。モータウン期のポップから、のちに高い評価を受けるアーティストとしての歩みへと移る軌跡をたどるうえで、今も興味深い一枚である。
主な事実
- 表題曲はしばしばアルバムのハイライトとみなされ、広いポピュラー音楽のレパートリーの一部となっており、アンソロジーにも頻繁に収録される。
- アルバムはモータウン傘下のTamlaレーベルから発売されており、コレクターやカタログ作成者は初回プレスの記載に関する情報としてこのレーベル名を参照する。
- 10代後半のアーティストが、より大きな音楽的成熟と実験性へ向かっていく過程を映し出している。
ポピュラー音楽史を学ぶ人や愛好家にとって、『マイ・シェリー・アモール』は、1960年代後半のソウルとポップの制作を切り取った一場面であり、モータウンのティーン・スターから、1970年代の先駆的なシンガーソングライター/プロデューサーへ至るスティーヴィー・ワンダーの道筋を示す明確な道標でもある。