核膜(核エンベロープ)とは?構造・核孔・機能と細胞分裂の役割を解説
核膜の二重膜構造から核孔の役割、機能、核小体との関係、細胞分裂での挙動まで図解でわかりやすく解説
核膜(または核外膜)とは、細胞内で核の周りにある膜のこと。その中には、遺伝物質(染色体とDNA)と核小体がある。膜は二重構造になっている。核膜は、細胞内の別の膜群である小胞体とつながっている。
核膜(エンベロープ)は、真核細胞の染色体と核小体を取り囲む脂質二重層の膜で、外側膜(outer nuclear membrane)と内側膜(inner nuclear membrane)という二重の層から成ります。外側膜は小胞体の膜と連続しており、リボソームが付着することが多いのに対し、内側膜は核内側に面しており、核特異的な膜タンパク質や核ラミナ(核骨格)と結合しています。
構造の詳細
内側膜と外側膜の間には「核膜間腔(perinuclear space)」があり、幅はおおよそ20–40 nm程度です。内側膜の内面には主にラミンと呼ばれる中間径フィラメント性のタンパク質からなる核ラミナが網目状に存在し、核の形状維持、染色体の配置、転写制御やDNA修復に関与します。内膜にはLBR(lamin B receptor)やエメリンなど、染色体やラミナと結合する膜タンパク質が存在します。
核膜孔(核孔複合体)の機能と仕組み
核膜には何千もの核膜孔がある。核孔は、幅約100nmの大きな中空のタンパク質で、内側には幅約40nmのチャネルがある。これらの孔は「核孔複合体(NPC: nuclear pore complex)」を形成し、多数(ヒトでは数十〜数百個のヌクレオポリン=Nup)からなる巨大タンパク質複合体です。NPCは物質の核内外輸送を制御し、選択的透過性を持ちます。
小さな分子やイオンは比較的自由に拡散できますが、タンパク質やリボソームサブユニットなど大きな複合体は能動的な輸送を必要とします。核局在化シグナル(NLS)や核外シグナル(NES)を持つタンパク質は、インポーチン/エクスポーチンと呼ばれる輸送受容体(カリオフェリン)と結合し、FGリッチなヌクレオポリン(FG-Nups)が形成する選択的バリアを介して通過します。RAN GTPaseのGTP/GDPサイクルが方向性を与え、輸送のエネルギーと選択性を担います。
核膜の機能
- 核と細胞質の区画化:転写(核内)と翻訳(細胞質)を分離し、遺伝情報の精密な制御を可能にする。
- 核内輸送の制御:mRNA、リボソームサブユニット、転写因子などの選択的出入を調節する。
- 染色体の配置と遺伝子発現の制御:核ラミナや内膜タンパク質が染色体の特定領域(LAD: lamina-associated domains)を核膜近傍に固定し、発現を制御する。
- 細胞シグナル伝達と力学的応答:核膜は細胞外からの力を核に伝える役割(機械的シグナル伝達)や、カルシウムなどのイオン貯蔵にも関与することがある。
細胞分裂における核膜の役割
細胞分裂の際には、核膜が破壊されて有糸分裂が起こります。真核生物の多く(特に動物細胞)では「開く有糸分裂(open mitosis)」と呼ばれる様式を取り、前期で核ラミナや核膜タンパク質がリン酸化され、核膜が分解(核膜崩壊:NEBD)して染色体が微小管にアクセスできるようになります。その後、終期にかけて核膜成分が再集合・再形成され、娘核が再構築されます。一方、酵母など一部の生物では核膜を保持したまま分裂を行う「閉鎖的有糸分裂(closed mitosis)」が見られます。
関連疾患と病理
核膜や核ラミナの異常はさまざまな疾患を引き起こします。代表的なものに、ラミンA(LMNA遺伝子)変異による筋ジストロフィーや早老症(プロジェリア)などのラミノパチー(laminopathy)があり、核の形態異常や染色体配置の乱れ、転写制御障害を伴います。また、核膜孔の機能障害は核質輸送の障害を通じて神経変性疾患やがんの発生に関与することがあります。さらにウイルスは核膜孔を利用して核内への侵入や核外への出芽を行うことがあります。
要点まとめ
- 核膜は二重膜構造で、核を囲む脂質二重層。小胞体と連続している。
- 内外膜の間に核膜間腔があり、内膜側には核ラミナが存在する。
- 核膜孔(NPC)は核-細胞質間輸送を担い、選択的な通過を実現する(FG-Nups、輸送受容体、Ran依存)。
- 有糸分裂では核膜は分解・再構築される(開く分裂と閉じた分裂の違い)。
- 核膜やラミナの異常はさまざまな疾患と関連する。
より詳しい分子機構や最新の研究成果については、専門書や総説を参照してください。

核膜は二重構造になっており、タンパク質複合体である孔が開いています。

核エンベロープ構造の詳細
質問と回答
Q:核膜とは何ですか?
A: 核膜とは、細胞内で核の周りにある膜のことです。
Q:核膜は何から構成されていますか?
A:核膜は、真核細胞の染色体や核小体を包む脂質二重膜から構成されています。
Q: 核膜孔はどのような働きをするのですか?
A:核膜の内膜と外膜を繋ぎ、核と細胞質との物質交換を可能にするのが核膜孔の役割です。
Q: 核膜にはいくつの核膜孔があるのですか?
A: 核膜には数千個の核膜孔があります。
Q: 細胞分裂のとき、核膜はどうなるのですか?
A: 細胞分裂の際、核膜は破壊され、分裂が行われるようになります。
Q: 核膜と小胞体はどのようにつながっているのですか?
A: 核膜は、細胞内の別の膜群である小胞体とつながっています。
Q: 核膜孔の大きさはどのくらいですか?
A: 核膜孔は、幅100nm程度の大きな中空タンパク質で、その内側に幅40nm程度の溝があります。
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