八腕類(タコ目)とは:インシルリナ・キルリナの分類と化石記録

八腕類(タコ目)の分類と希少な化石記録を詳解。インシルリナ・キルリナの特徴や進化史を図説でわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

八足類は、タコやその他いくつかの種類を含む目である。体は柔らかく、主に8本の腕をもち、それらの腕には吸盤が並ぶことが多い。軟体であるため化石は少ないが、保存状態の良い例や解釈が議論される化石を含め、石炭紀後期に遡る可能性が指摘される資料もある。一方で、八腕類と確実に同定できる化石記録が豊富になるのは中生代以降で、深海性の種や外骨格を失った系統のために記録は断片的である。

八腕類は2つの亜目に分類される。一つは、岩場やサンゴ礁でよく知られるタコとその近縁種で構成される「インシルリナ亜目」で、一般に沿岸性・底生で活動的、学習能力や擬態・道具使用が知られる。もう1つは、傘のような外套膜で触手が結ばれているタコで、通常のタコとは活動様式が異なる「キルリナ亜目」で、深海に棲む種類が多く、体側に小さなヒレをもち、腕間に広いウェブ(膜)を持つものが多い。

主な特徴

  • 腕と吸盤:ほとんどの八腕類は8本の腕をもち、吸盤で獲物をつかむ。イカやコウイカのような長い触腕(tentacles)は持たない点で区別される。
  • 殻の退化:多くの種で外殻は消失または退化しており、柔軟な体を生かした狭所侵入や擬態が可能になっている。キルリナでは内部に軟骨状の支持構造や小さな殻の痕跡を残す種がある。
  • インク嚢:沿岸性のインシルリナには防御のためのインク嚢が発達している種が多いが、深海性のキルリナではインクをほとんど使わない、あるいはインク嚢を欠くグループも存在する。

インシルリナ(Incirrina)とキルリナ(Cirrina)の違い

  • インシルリナ:底生・沿岸に多く、遊泳は主に腕や噴出(シフォン)で行う。頭足類の中で最も行動が多様で、擬態、問題解決、道具利用が観察される種がある。吸盤は比較的大きく、はっきりしている。
  • キルリナ:深海に多く、腕の間に広い膜があり、体側に一対のヒレをもつ種が多い。腕には小さな付属肢(シリ=cirri)をもつ場合があり、ゆっくりと浮遊・櫂動で餌を捕ることが多い。色彩や行動は地上のタコとは異なり、全体に柔らかくゼラチン状の体をしている種が多い。

生態と行動

  • インシルリナは巣穴生活や岩陰での待ち伏せ、夜間の採餌など多様な生活様式をもつ。餌は甲殻類や貝類、小魚など。
  • キルリナは深海底でプランクトンや小動物を触手やウェブで捕えることが多く、低代謝でゆっくりとした生活を送る種が多い。
  • タコ類は視覚と触覚に優れ、高い学習能力を示す。特に沿岸性の種では道具利用(ココナッツ殻や石を使った隠れ家作りなど)や迷路学習が報告されている。

化石記録と進化の問題

八腕類は軟組織が主体のため化石記録が限られる。化石として報告される標本は保存状態や解釈がしばしば議論の対象となる。石炭紀後期とされる候補化石(例:議論のある初期の頭足類化石)や、ジュラ紀に属するより明確な八腕類化石(Proteroctopusなど)が知られているが、これらの標本から八腕類の進化史を確定するにはまだ不明点が多い。分子系統解析と断片的な化石資料を合わせて、現在も系統関係や出現時期の解明が進められている。

分布と生息環境

八腕類は浅海から深海まで世界中に広く分布する。沿岸のサンゴ礁や岩礁に適応した種(インシルリナ)と、深海の低温・高圧環境に適応した種(キルリナ)があり、それぞれの環境に応じた形態的・生態的適応を示す。

人間との関わり

  • 食用:多くのインシルリナ種は食用として重要で、日本を含む各地で漁獲される。調理文化や市場価値が高い一方で、資源管理が課題となる地域もある。
  • 研究と飼育:高い知能や柔軟な行動様式から神経学や行動学の研究対象になっている。飼育も比較的可能な種が多く、水族館や研究施設で観察される。
  • 保全:沿岸域の開発や環境変化、過剰漁獲は一部種に影響を与える。深海種については生態が不明な点が多く、保全評価が難しい。

以上のように、八腕類は形態・行動・生態に多様性を示すグループであり、化石記録と現生種の研究を組み合わせることでその進化史や生態の解明が進められている。

キルリナ八脚のひとつ、Cirrothauma。深海の大深度に生息しているZoom
キルリナ八脚のひとつ、Cirrothauma。深海の大深度に生息している



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