O.T.O.(オルド・テンプリ・オリエンティス)とは:歴史・教義・儀式の解説
O.T.O.(オルド・テンプリ・オリエンティス)の成立からクロウリーの影響、教義・儀式(グノーシス・ミサ含む)と秘密結社のイニシエーション体系を詳しく解説。
Ordo Templi Orientis(O.T.O.)は、20世紀初頭に設立された国際的な友愛と宗教の組織です。当初はフリーメイソンをモデルにしていましたが、アレイスター・クロウリーの指導のもと、「Thelemaの法則」を中心的な宗教原理とし、「The Book of the Law」とともに再編成されました。多くの秘密結社と同様に、O.T.O.のメンバーシップは、一連の学位儀式を伴うイニシエーションシステムに基づいており、儀式的なドラマを用いて友愛の絆を築き、精神的・哲学的な教えを伝えています。
O.T.O.には、教団の教会部門であるEGC(Ecclesia Gnostica Catholica)もあります。その中心的な儀式はグノーシス・ミサであり、公開されている。
歴史
O.T.O.は19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパに起源を持ち、当初はフリーメイソン的な階級制度や秘儀を取り入れた友愛組織として組織されました。創設期にはカール・ケルナー(Carl Kellner)やテオドール・ロイス(Theodor Reuss)らが関わり、後にアレイスター・クロウリーが深く関与することで、組織の思想と儀式が大きく変容しました。クロウリーは自身の宗教哲学であるThelemaをO.T.O.の中心教義に据え、既存の典礼や儀式を再解釈・再構成しました。
教義と理念
- Thelema:O.T.O.の中心となる宗教的・倫理的原理で、「汝の意志するところを行え(Do what thou wilt)」という概念を重視します。個人の「真の意志(True Will)」の発見と実現が目標とされます。
- 典礼と象徴:象徴体系や神話的要素が教義の伝達に用いられます。古代の神秘思想や西洋の秘儀伝統(ヘルメス主義、グノーシス主義、カバラ等)からの影響が見られます。
- 宗教的実践:瞑想、儀式、詩や象徴的演劇を通じた精神的変容が重視されます。クロウリーに由来する儀式構成や魔術的技法が一部に組み込まれています。
組織と階級(概要)
O.T.O.は階級(学位)制を採用しており、入門的な学位からより秘儀的・内面的な教えに触れる高位の学位まで段階的に進みます。組織構成は国や地域ごとに支部(ロッジ、キャンプ、オアシスなどの呼称)を持ち、それらが全国的・国際的な指導機関の下に置かれます。また、教会部門であるEGC(Ecclesia Gnostica Catholica)は典礼的・公的な宗教活動(例:グノーシス・ミサ)を担います。
主な儀式と活動
- イニシエーション儀式:新規会員が参加する段階的な儀礼で、象徴的なドラマを通じて教えが伝えられます。多くは非公開で、各学位には特有の儀式と教義が存在します。
- グノーシス・ミサ(Liber XV):EGCが行う中心的な公的典礼で、クロウリー作とされる典礼文(一般に「グノーシス・ミサ」と呼ばれる)を用います。多くの支部で一般公開の形で上演されることがあります。
- 魔術的実践や聖なる官能をめぐる教え:クロウリーの影響下で性的儀礼や秘儀的な性に関する概念が議論・実践の対象となることがありますが、具体的な実践は秘密とされる場合があり、現代の支部では法令順守や合意を重視しています。
現代の活動と社会的地位
世界各地に支部があり、研究会、講演会、ワークショップ、公開典礼(グノーシス・ミサ等)を開催することがあります。いくつかの国では宗教団体として法的に登録され、結婚式などの宗教的サービスを提供する支部もあります。活動は地域によって幅があり、学術的研究や宗教的実践、文化イベントなど多面的です。
批判・論争・注意点
- 秘密性と閉鎖性:伝統的に内部の教義や儀式の多くが公開されず、このために誤解や憶測が生じやすい点が批判されます。
- 性的内容に関する誤解:クロウリー関連の文献や一部の儀礼には性的象徴や実践が登場するため、センセーショナルに取り上げられることがあり、報道やフィクションで誤解される場合があります。現代の支部では合意と法的順守を重視しています。
- 内部対立・法的紛争:歴史的に指導権や解釈をめぐる内部的対立や分派が生じたことがあり、組織の連続性や代表権を巡る法的争いが報じられた例もあります。
学ぶためのヒント
- 一次資料:アレイスター・クロウリーの著作やO.T.O.が公表している典礼文・宣言を参照すると、思想の基盤がわかります。
- 学術研究:宗教史や西洋神秘主義を扱う学術書は、歴史的背景や思想的系譜を批判的に理解する助けになります。
- 公開イベントの参加:多くの支部は公開の講演やグノーシス・ミサの上演を行っているため、現地で直接見聞きすることが最も確実です(参加前に主催側の案内や規約を確認してください)。
まとめると、O.T.O.は歴史的に西洋の秘教伝統と近代の宗教思想を結びつけた友愛組織であり、Thelemaを中心に据えた教義体系と儀式文化を持っています。理解するには一次資料と学術的解説の双方を参照し、公開されている行事に参加して直接確かめることが有用です。
質問と回答
Q: オルド・テムプリ・オリエンティス(O.T.O.)とは何ですか?
A: オルド・テンプリ・オリエンティスは、20世紀初頭に設立された国際的な友愛・宗教団体です。
Q: O.T.O.はもともと何に関連する組織だったのでしょうか?
A:O.T.O.はもともとフリーメーソンに倣い、関連することを意図していました。
Q: O.T.O.を、『テレーマの法』と『法の書』を中心とした宗教原理に基づいて再編成したのは誰ですか?
A: アレイスター・クロウリーは、『法の書』とともに、テレマの法則を中心的な宗教原理として、O.T.O.を再編成した指導者です。
Q:O.T.O.のメンバーシップはどのようなシステムになっていますか?
A: O.T.O.のメンバーシップは、友愛の絆を確立し、精神的・哲学的な教えを伝えるために儀式劇を用いた一連の学位儀式を行うイニシエーションシステムに則っています。
Q: Ecclesia Gnostica Catholica (EGC)またはグノーシスカトリック教会とは何ですか?
A:グノーシス・カトリック教会(EGC)は、O.T.O.の教会的な部門であります。
Q:O.T.O.の中心的な儀式は何ですか?
A:O.T.O.の中心的な儀式は、グノーシス・ミサです。
Q:グノーシス・ミサは公のものですか、それとも私的なものですか?
A:グノーシス・ミサは公的なものです。
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