パラオ共和国とは?地理・歴史・首都メレケオクの基本情報
パラオ共和国の地理・歴史をやさしく解説。首都メレケオクの基本情報、独立の経緯(1994年)や文化・観光の見どころを一挙紹介。
パラオ共和国(パラオきょうわこく)、通称パラオは、太平洋に浮かぶ島国である。太平洋上にある。フィリピンから300マイル(500km)東に位置する。1994年に国連信託統治(アメリカ合衆国が統治)から独立した。世界で最も若く、最も小さい国の一つである。英語ではBelau(ベラウ)と表記されることもあるが、これは現地語(パラオ語)での呼び名でもあり、英語名は通常 "Palau" と表記される。パラオの首都はメレケオクである。2006年10月1日からそうなっている(政府機能の移転・議事堂の開所は2006年10月上旬、公式行事は10月7日に行われた)。
概要と基本データ
- 面積:約459 km²(小規模な島嶼国家)
- 人口:およそ1万8千人前後(2020年前後の推計)
- 通貨:アメリカ合衆国の通貨(米ドル)が事実上使用されている
- 公用語:パラオ語(現地語)と英語。地域ごとに複数の現地語が話される。
- 信教:キリスト教(カトリック、各種プロテスタント)が多数派
- 政治体制:大統領を元首とする共和制。アメリカ合衆国との「自由連合(Compact of Free Association)」に基づく特別な関係を持ち、防衛面や経済支援で強い結びつきがある。
地理
パラオはミクロネシア地域に属し、約340の島々からなる。主要な島には以下がある:
- バベルダオブ(Babeldaob)— 面積が最大で、行政上重要な島。首都が置かれているメレケオク州もこの島にある。
- コロール(Koror)— かつて実質的な首都であり、観光と商業の中心。人口の多くがここに集中している。
- ペリリュー(Peleliu)やアンガウア(Angaur)など、第二次世界大戦の戦跡を残す島々
気候は熱帯海洋性で、比較的高温多湿。乾季と雨季があり、台風や季節風の影響を受けることがある。
歴史の概略
- 先住民の定住:先史時代からパラオ固有の文化が形成されてきた。
- 外来勢力の影響:19世紀以降、ドイツ、当時の日本(第一次世界大戦後)、第二次世界大戦では日本の統治下に置かれ、戦後はアメリカの信託統治(太平洋の委任統治)となった。
- 第二次世界大戦:ペリリューなどで激しい戦闘が行われ、多くの戦跡と遺構が残る。
- 独立:1994年10月1日に独立し、同年12月15日に国連に加盟。アメリカとの自由連合協定(Compact of Free Association)は独立後の重要な枠組みとなっている。
政治・国際関係
パラオは大統領制の共和制国家で、議会は一院制。国防と安全保障に関してはアメリカとの協定によりアメリカが責任を持つ一方、外交や内政の多くはパラオ政府が運営する。観光業や漁業を中心とした経済を持ち、アメリカからの財政支援や技術協力も重要な役割を果たす。
経済と産業
主要産業は観光、漁業、公共サービス。特にスキューバダイビングやシュノーケリングに適した透明度の高い海域やサンゴ礁、独特の地形が観光資源となっている。農業は小規模で、輸入に依存する面もある。近年は持続可能な観光や海洋保護、漁業管理が課題となっている。
観光・自然・文化
- ロックアイランズ(Rock Islands)とサザン・ラグーンは美しい石灰岩の島々とマングローブからなる景観で、2012年にユネスコ世界遺産(文化・自然複合遺産)に登録された。
- ジェリーフィッシュ・レイク(Jellyfish Lake)などユニークな観光地があり、スノーケリングでクラゲと触れ合える(※環境保護や安全面のため訪問規制が行われることがある)。
- 伝統文化:氏族制度や土地に関する慣習、独自の工芸やダンスなどが残る。社会構造には母系的要素が強い地域もある。
首都:メレケオク(Melekeok)と行政中心地・ネグルムッド
法的にはメレケオク州(Melekeok State)内にある新しい行政首都へ政府機能が移され、首都名としては「メレケオク(州名)」が使われることが一般的だが、実際の政府機関が入る行政施設群は英語名で Ngerulmud(ネグルムッド) と呼ばれることが多い。移転は2006年10月上旬に行われ、これにより従来の行政・商業の中心地であったコロールから政府機能が移された。
ネグルムッドは規模が小さく、首都機能は主に行政のための施設に限定されている一方、経済・居住の中心は引き続きコロール地域にある。
交通
- 主要空港:エアライにあるRoman Tmetuchl International Airport(旧称:Airai空港)が国際線の玄関口で、コロールからはボートや車でアクセス。
- 陸上交通:バベルダオブとコロールを結ぶ道路網が整備されており、車やバスが利用される。島嶼間はボートや小型機が主。
留意点・現在の課題
- 環境保護:サンゴ礁の保全、外来種対策、気候変動による海面上昇や海水温上昇への対応が重要。
- 持続可能な観光の両立:観光収入を維持しつつ自然環境や伝統文化を守る取り組みが求められている。
- 経済の多様化と若年層の雇用創出:外部支援に依存しない自立した経済基盤の構築が課題。
参考事項
パラオはその独特な自然景観と豊かな海洋資源、第二次世界大戦の歴史遺産、そしてアメリカとの特殊な関係により国際的にも注目される小国です。訪問や研究、投資を考える際は、環境保護ルールや入国要件、現地の慣習に十分に配慮してください。

パラオの地図
州
パラオは16の行政州に分かれています。
|
|

パラオ共和国16州
気候
パラオは一年中熱帯気候に属しています。年間平均気温は約27℃です。
関連ページ
- パラオ共和国の河川一覧
- オリンピックのパラオ
- パラオ共和国サッカー代表
参考
1. ↑ 「政府機関がメレケオク州 Ngerulmud にある新国立議事堂群に移転」 US Department of State.パラオ (02/09).2013年2月24日取得。
2. ↑ 2.02.1 2008年推定。"パラオ".CIA World Factbook.CIA.2009年8月9日取得。
3. ↑ 人間開発指数とその構成要素.undp.org (2011).
百科事典を検索する