微積分では、関数部分微分とは、特定の名前の付いた変数についての微分を行い、他のすべての変数は定数(一定)として扱う操作を指します。言い換えれば、部分微分は「ある変数だけを変化させ、それ以外は固定する」ことで得られる導関数です。関数が複数の独立変数(または従属変数)を持つときに用いられます。表記法

∂ f ∂ x {displaystyle {frac {\partial f}{\partial x}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}}。 {\displaystyle {\frac {\partial f}{\partial x}}}

定義と直感

定義(直感的):関数 f(x, y, …) の変数 x に関する偏微分 ∂f/∂x は、y や他の変数を一定に保ったまま x をわずかに変化させたときの f の変化率です。すなわち、固定した他の変数のもとでの一変数関数としての導関数を考えます。

表記の種類

  • ∂f/∂x — 最も標準的な表記。
  • f_x — 下付き添字による簡略表記(解析や物理でよく使われる)。
  • D_x f または ∂_x f — 演算子的な表記。

基本的な計算例

以下に代表的な多変数関数の偏微分を示します。計算のときは、偏微分する変数以外を定数とみなして通常の一変数微分を行います。

例1: f(x,y) = x^2 y + sin(x y)

  • ∂f/∂x = 2x y + cos(x y)·y (sin(xy) の x による微分は cos(xy)·∂(xy)/∂x = cos(xy)·y)
  • ∂f/∂y = x^2 + cos(x y)·x

例2: f(x,y,z) = x y^2 + z e^{xz}

  • ∂f/∂x = y^2 + z · e^{xz} · z = y^2 + z^2 e^{xz} (z は定数として扱うので ∂/∂x e^{xz} = z e^{xz})
  • ∂f/∂y = 2 x y
  • ∂f/∂z = e^{xz} + z · e^{xz} · x = e^{xz}(1 + x z)

高階偏微分と混合偏微分

偏微分をさらに繰り返すと高階偏微分が得られます。例えば ∂^2 f/∂x^2 や ∂^2 f/∂y∂x(先に x で偏微分し、ついで y で偏微分)があります。もし関数の二階偏微分が連続であれば、混合偏微分は順序を入れ替えても等しくなります(クラウスの定理/Clairaut の定理):

∂^2 f / ∂y ∂x = ∂^2 f / ∂x ∂y(適切な連続性がある場合)

勾配・方向微分・線形近似

勾配(gradient)は、偏微分を成分に持つベクトルです。f(x_1, …, x_n) に対して

∇f = (∂f/∂x_1, ∂f/∂x_2, …, ∂f/∂x_n)

勾配は関数が最も急に増加する方向を示し、方向微分は単位ベクトル u に沿った変化率を ∇f·u によって与えます。

また、点 (a,b) 付近での一次近似(接平面)も偏微分を使って書けます:

f(x,y) ≈ f(a,b) + f_x(a,b)(x−a) + f_y(a,b)(y−b)

合成関数に対する偏微分(連鎖律)

変数 x, y がさらに t や s の関数である場合、合成関数の微分は連鎖律を使います。例えば z = f(x(t), y(t)) のとき

dz/dt = (∂f/∂x)(dx/dt) + (∂f/∂y)(dy/dt)

注意点と応用

  • 偏微分は「一度に一つの変数だけ変化させる」操作であることを常に意識してください。実際の物理問題では「他を固定する」条件がどのように与えられているかが重要です(例:等温変化、等圧変化など)。
  • 偏微分は最適化(条件付き最適化を含む)、偏微分方程式、数値解析、機械学習(勾配降下法)など幅広い分野で使われます。

以上が偏微分の基本的な定義、表記、計算例と多変数関数に関する基礎的な性質です。さらに具体的な例や演習問題が必要であれば、扱いたい関数や用途を教えてください。