パットン(1970年映画)ジョージ・C・スコット主演のジョージ・S・パットン伝記戦争映画
パットン』(英題:Patton: Lust for Glory)は、アメリカ陸軍のジョージ・S・パットン将軍と、彼の第二次世界大戦での活躍を描いた1970年の映画である。ジョージ・C・スコットが主演し、20世紀フォックスから発売された。映画は人気を博し、1971年にアカデミー賞作品賞を受賞した。1986年にはスコット主演の続編「パットン最期の日」が公開された。
概要
『パットン』は、個性的で論争の多い将軍ジョージ・S・パットンの人物像と、北アフリカ、シチリア、ヨーロッパ大陸での戦闘指揮を中心に描く伝記戦争映画である。オープニングの有名な墓地でのモノローグや、パットンの象徴的な演説群、戦闘シーンの大スケール描写が特徴で、将軍の自信過剰とも取れる指導力と、軍内部や政治との摩擦を対比させながら物語が進む。
スタッフ・キャスト
- 主演:ジョージ・C・スコット(ジョージ・S・パットン役)
- 監督:フランクリン・J・シャフナー(Franklin J. Schaffner)
- 脚本:エドムンド・H・ノース(Edmund H. North)とフランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)による脚本
- 音楽:ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith)による印象的なマーチ主題が知られる
- 配給:20世紀フォックス
- 撮影・美術などのスタッフによる大規模な制作体制で、ロケは主に地中海周辺(北アフリカやスペインなどで第2次大戦の舞台を再現)で行われた。
あらすじ(簡潔に)
映画は、パットンという人物の矛盾と強烈なカリスマ性に焦点を当てる。戦場での勝利を重視し、兵士や指揮官に対して厳格かつ直情的に振る舞うパットンは、その戦術的才能で連合軍の勝利に貢献する一方、戦場外での言動や軍紀に関する問題で高官や世論と衝突する。映画は主要な戦役を通して彼の栄光と孤立、そして戦後の扱いまでを描く。
受賞と評価
公開後、作品は批評家・観客ともに高い評価を受け、1971年のアカデミー賞では主要賞を含む複数部門で受賞した。特にジョージ・C・スコットには主演男優賞が贈られたが、彼自身は授賞式に出席せず、賞の受け取りを辞退する意向を示したことでも話題になった。監督賞や作品賞などを含む栄誉を得て、戦争映画の代表作と見なされている。
史実との関係・論争
『パットン』は伝記映画であると同時に映画的脚色を多く含み、史実の再現と演出との境界が議論されてきた。作品はパットンの人格的特徴や戦闘能力を強調する一方で、複雑な政治的背景や詳細な軍事史の簡潔化も行っている。そのため歴史学者の間では描写の正確さや解釈を巡る評価が分かれるが、人物像のドラマチックな提示としては高く評価されている。
音楽と演出
ジェリー・ゴールドスミスが手掛けた楽曲は、勇壮で記憶に残るテーマを提供し、映画のトーン形成に大きく寄与している。また、シャフナー監督による演出は大規模戦闘シーンと人物描写のバランスに優れ、編集と撮影、音響の統合によって臨場感のある戦場描写を実現した。
遺産と影響
公開から長年にわたり『パットン』は戦争映画の金字塔として引用され続けている。ジョージ・C・スコットの圧倒的な演技は伝記映画における役作りの典型例とされ、映像表現や戦場再現の手法は後続作にも影響を与えた。映画はまた、軍人のリーダーシップ像や戦争の倫理をめぐる議論を喚起する作品として現在でも参照されている。
関連作品
本作以降もパットンや同時代の軍人を題材にした映画・ドラマが制作されている。オリジナル作品や派生的な映像作品を通じて、第二次世界大戦の指導者像は多角的に描き続けられている。
(注:本記事では主要なスタッフ・評価・内容の概略を示した。より詳細なキャスト一覧、受賞部門の細目、撮影地の具体情報などは関連資料や公式データベースを参照されたい。)
はじまり
パットン未亡人は、夫が亡くなって間もなく(自動車事故の後)、パットンの人生とキャリアについてハリウッド映画を作らないかという話を持ちかけられた。彼の家族はすぐには同意せず、ドラマチックな映画の製作を承認するまでに何年もかかった。映画の脚本は、よく書かれたパットン将軍の伝記「パットン」に基づいていた。また、パットンと共に従軍したオマー・N・ブラッドレー将軍の回想録『A Soldier's Story』も参考にした。
ストーリー
1943年、北アフリカのカセリーヌ峠の戦いに敗れ、パットンが指揮を執ることになったときから、アフリカ、シチリアでの勝利、Dデイ前の「おとり」時代、バルジの戦い、そして1945年の終戦後、彼の最後の数週間までを描いた物語です。
この映画では、戦闘やバトルにあまり時間を割かず、いくつかの重要な戦闘やキャンペーンにおけるパットンの役割を説明しました。また、人間として、兵士として、そしてリーダーとしての彼の性格も描かれています。パットンは、オマー・ブラッドリーを補佐役に任命するなど、良い選択もすれば、兵士が恐怖や臆病を見せたときに肉体的に殴ったり、連合軍司令官の期待とは大きく異なる個人的な意見をメディアに発表するなど、悪い選択もした。この映画では、パットンの悪いところと良いところが混在していた。
レセプション
この映画は、パットンが亡くなってから25年近く経ってから登場した。戦争、戦闘、軍隊に対するアメリカ人の意識は、さまざまな意味で変化していた。この映画が作られ、上映されたのと同じ時期に、ベトナム戦争が起こっていた。第二次世界大戦で戦ったり、戦地で手伝ったりしたことのある年配の人たちは、戦争や徴兵制を支持する傾向にあり、アメリカの若者を軍隊に入隊させて戦わせた。第二次世界大戦を覚えていない、あるいは終わった後に生まれた若い人たちは、ほとんどがベトナム戦争に反対であった。パットンは、年配の視聴者と若い視聴者が、アメリカの戦争の英雄、リーダーを振り返り、共に考え、語り合うきっかけを与えてくれたのです。