概要

大権とは、個人としてのその人ではなく、公職そのものに由来して職務保有者に独自に属する権限または特権である。しばしば主権者や国家元首と結び付けられ、通常の法律が沈黙している場合や、迅速さと秘密保持が重要な国家問題において、すばやい対応を可能にすることがある。この語は、君主制、行政政府、行政法をめぐる憲法上の議論で用いられ、法令によって直接与えられる権限と対比されることが多い。

特徴と一般的な形態

大権に基づく権限は、唯一性(職に付随すること)、柔軟性(新たな立法なしに行使できること)、そしてしばしば広い範囲を持つことによって特徴づけられる。国の憲法上の制度によって異なるが、典型例には、外交の遂行、宣戦・講和の宣言、旅券の発給、栄誉の授与、閣僚や裁判官の任命・解任などがある。実務上、これらの権限は、主権者や国家元首自身ではなく、その代理として大臣や官僚によって行使されることが多い。

  • 公的な源泉: 大権を保有する公式または制度上の主体 (職務保有者)。
  • 制度的文脈: 大権が作用する政府の仕組み (政府)、またはそれが関係する法的実体 (国家)
  • 法的伝統: 多くの大権は 英法 のような歴史的法体系に根ざしている。

歴史的発展

大権という概念は、君主に特別な権利を帰属させた中世・初期近代の法理から発展した。数世紀を経て、議会制と成文憲法がそれらの権利を制限し、再形成した。立憲君主制では多くの王権的大権が存続したが、慣習や大臣の統制に服するようになった。裁判所もまた、大権に基づく権限が法によって司法審査の対象となり得るか、またどのように制約され得るかの判断に関わってきた。

例と注目すべき事例

王権や行政上の大権は、現代の実務にも残っている。たとえば、英国君主の残存権限は、しばしば王室大権と呼ばれ、これまで包括的に成文化されたことはなく、通常は大臣の助言に基づいて行使される (例)。その行動は 英国君主 のような形で、政府大臣 (大臣) によって行われる。共和制でも、同様の概念は行政権や固有権限として現れる。アメリカ合衆国 の行政府は、特定の外交政策上および緊急時の決定について、大権に似た権限を主張してきた。大統領は危機に対処するための裁量権を主張することがある (大統領の行為)。歴史的な例としては、ジョージ・ワシントン が、(中立) をめぐる大きなヨーロッパ紛争で中立の立場を取ったこと、そこに グレートブリテンフランス が関わっていたこと、トーマス・ジェファーソン が ルイジアナ買収 を完了するために行政裁量を用いたこと、そして エイブラハム・リンカーン南北戦争 中に非常措置を講じたことが挙げられる。

法的制限、区別、現代的意義

大権は広範に及び得るが、多くの制度ではその行使に制約がある。立法によって大権が廃止または規制されることがあり、法域によっては、ある大権の行使が合法か、合理的か、あるいは憲法上の権利と両立するかを裁判所が審査することもある。留意すべき区別としては、大権に基づく権限と法定権限の違い(前者は憲法慣行に由来し、後者は立法に由来する)、また、大権が私的な既得権ではなく公的機能である点がある。今日の大権をめぐる議論は、民主的説明責任、司法的監督、そして迅速な行政行為と法の支配との均衡に集中している。

なぜ重要か

大権を理解することは、通常の立法手続が実際的でない場合に、国家が緊急の外交・安全保障・行政上の निर्णयをどのように下すかを説明する助けになる。また、誰が、どの権限に基づいて決定し、その決定がどのように統制されるのかという、憲法の核心的問題も浮き彫りにする。比較研究や法改正の観点から見ても、大権に基づく権限の研究は、伝統、成文法、現代民主主義統治の相互関係が変化してきたことを示している。