Q熱(Q fever)とは?Coxiella burnetii感染症の原因・症状・感染経路
Q熱(Coxiella burnetii)とは?感染経路・症状・検査・予防法をわかりやすく解説。家畜由来のエアロゾル感染リスクと早期発見・対策のポイントを紹介。
Q熱は、Coxiella burnetiiという細菌によって引き起こされる病気で、人間や他の動物にも感染します。一般的ではありませんが、牛、羊、山羊、その他猫や犬などの家畜にも見られます。人が内胞子を吸い込んだり、感染した動物の乳汁、尿、糞便、膣粘液、精液などに触れると感染する可能性があります。この病気は、マダニによって運ばれることはほとんどありません。ヒトは1つの細菌で感染することができます。
病原体の特徴と環境での性質
Coxiella burnetiiはグラム陰性の小さな桿菌で、細胞内で増殖する性質を持ちます。環境中では耐久性の高い小胞子様(内胞子に似た)形態をとり、乾燥や熱に比較的強く、塵埃中で長期間生存するため、空気感染(エアロゾル)による感染が起こりやすいです。
感染源と感染経路
- 主な宿主:牛、羊、山羊などの反芻動物が主要な蓄え手です。妊娠中や分娩時の胎盤、出産物は特に大量の菌を含み感染力が高いです。
- 主な感染経路:感染した動物やその糞尿、分娩物が乾燥して舞い上がった塵埃(エアロゾル)を吸入することが最も多く見られます。未殺菌(生)乳の摂取や直接接触でも感染することがあります。
- その他:マダニは動物間での伝播には関与することがあるものの、人への主要な伝播経路ではありません。
潜伏期・感染性
潜伏期は通常2〜3週間(1〜6週間の範囲)。非常に少ない菌量でも発症するため、感染力が強い点に注意が必要です。
症状
症状は急性型と慢性型に分かれます。
- 急性Q熱:高熱、激しい頭痛、筋肉痛、倦怠感、悪寒、発汗、咳や肺炎像、肝機能障害(肝炎)を呈することがあります。多くは風邪やインフルエンザ様症状で始まります。
- 慢性Q熱:感染が持続すると心内膜炎(特に既往の心疾患、人工弁を持つ人に多い)や血管感染、骨・関節の感染など重篤な合併症を引き起こすことがあります。放置すると致死率が高くなります。
- 妊婦への影響:流産、早産、胎盤炎などの悪影響を及ぼす可能性があります。
- 後遺症:一部に慢性疲労症候群様の長期疲労(ポストQ熱疲労症候群)が報告されています。
診断
- 血清学的検査:間接蛍光抗体法(IFA)でphase I/phase II抗体を測定します。急性期ではphase II抗体が高値、慢性期ではphase I抗体が高値になる特徴があります。
- PCR検査:血液や組織、胎盤などからCoxiellaのDNAを検出できます。早期診断に有用です。
- 培養:感染性が非常に高く特殊な設備(BSL-3)が必要なため通常は行われません。
治療
- 急性Q熱の第一選択薬はドキシサイクリン(通常成人で100mgを1日2回、一定期間)。早期投与で症状は改善します。
- 妊婦や小児ではドキシサイクリンが禁忌の場合があり、代替薬(例:マクロライド系など)を用いることがあります。妊婦ではトリメトプリム・スルファメトキサゾールが使用される場合もありますが、専門医の判断が必要です。
- 慢性Q熱(特に心内膜炎)では長期の併用療法が必要です。一般にドキシサイクリンとヒドロキシクロロキンの併用療法を12〜24か月以上行うことが推奨されることが多く、治療は感染症専門医が管理します。
予防と公衆衛生上の対策
- 感染動物(特に分娩時の胎盤・出産物)への接触を避ける。家畜の分娩処理時は防護具(マスク、手袋、防護衣)を着用する。
- 動物の管理:感染家畜の同定、隔離、適切な処理。家畜ワクチンは地域によって利用されることがあります。
- 食品衛生:生(未殺菌)の乳や乳製品を避ける。乳製品は十分に加熱(低温殺菌/高温殺菌)すること。
- 労働衛生:獣医師、畜産業者、屠畜場労働者、研究者など高リスク職種では教育や必要な個人防護具、サーベイランスを徹底する。
- ワクチン:オーストラリアなど一部の国では高リスク者向けのワクチンが利用されていますが、接種前に既感染の有無を確認するなどの対策が取られます。
報告・流行のリスク
Q熱は多くの国で届出対象疾患となっており、動物由来の集団発生(アウトブレイク)を起こすことがあります。環境中での長期生存と空気感染のしやすさから、流行時には迅速な公衆衛生対応が重要です。
まとめ — 注意点
- 分娩物や乾いた塵埃を介しての吸入が主な感染経路であり、家畜との接触や未殺菌乳の摂取がリスクとなります。
- 症状は多様で急性の発熱性疾患から慢性心内膜炎まで幅広く、特に心疾患を持つ人や妊婦は重症化リスクが高いです。
- 疑わしい場合は速やかに医療機関を受診し、適切な検査・治療を受けることが重要です。
原因菌であるC.burnettiの
百科事典を検索する