ラッシュは、1968年8月にオンタリオ州トロントのウィローデール地区で結成されたカナダのロックバンドで、現在はベーシスト、キーボーディスト、リードボーカルのゲディ・リー、ギタリストのアレックス・ライフソン、ドラマー兼ソングライターのニール・ピアットで構成されています。バンドとそのメンバーは1968年から1974年の間に多くの変更を経て、ニール・ピアートが1974年7月にオリジナルドラマーのジョン・ラッツィに代わったときに彼らの決定的な形を達成した。
1974年3月にセルフタイトルのデビューアルバムをリリースして以降、ラッシュは長年にわたり活発に作品を発表してきました。代表的なスタジオ・アルバムには、初期のプログレッシブな傾向を示す『2112』(1976年)、よりコンパクトでヒット性の高い楽曲を含む『Permanent Waves』(1980年)、キャリアの金字塔である『Moving Pictures』(1981年)などがあり、後年も『Vapor Trails』(2002年)や『Snakes & Arrows』(2007年)、最終スタジオ作とされる『Clockwork Angels』(2012年)など意欲的な作品を発表しました。アルバムの枚数は長年にわたって増え続け、スタジオ・アルバムは19枚に達しています。
グループとして、ラッシュは数多くの商業的成功と批評的評価を獲得してきました。24枚のゴールド・レコードや14枚のプラチナ・レコード(うち3枚はマルチ・プラチナ)を獲得し、RIAAの認定で多数のゴールド/プラチナ認定アルバムを持つアーティストの一つとなっています。かつての資料では、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、エアロスミスに次いで4位に位置づけられることも取り上げられてきました。全米での販売枚数は数千万枚、全世界での累計売上は少なくとも4000万枚以上と推定されることが多く、コアなファン層と高い演奏技術に支えられた長期的な成功を収めています。
メンバーと役割
- ゲディ・リー(Geddy Lee) — 本名ゲーリー・リー・ウェインリブ。主にボーカル、ベース、時にキーボードを担当。特徴的なハイトーンの歌声と多層的なベースプレイでバンドの音像を支えました。
- アレックス・ライフソン(Alex Lifeson) — リズム/リードギターを担当し、多彩なサウンドメイクを行う。ハーモニーとテクスチャーを重視したギターワークが特徴です。
- ニール・ピアット(Neil Peart) — 1974年加入のドラマーで、以降はバンドの主要な作詞家としても活動。高度なテクニックと知的な歌詞で知られ、2014年末からはツアー活動を縮小、2020年1月に逝去しました(1952–2020)。
- ジョン・ラッツィ(John Rutsey) — 結成当初のドラマー。健康上の理由などで初期にバンドを離れ、ピアットがその後を継ぎました。
音楽性と影響
ラッシュの音楽は初期のブルース/ハードロックから出発し、徐々にプログレッシブ・ロック、ハードロック、ニューウェイヴ、ポップ性を取り入れて独自のスタイルを築き上げました。構成の複雑さ、長尺の楽曲、インストゥルメンタルの技巧、哲学的・物語性のある歌詞(特にピアットの作詞)が特徴です。彼らの影響は後続の多くのプログレッシブ系やテクニカルなロック・ミュージシャンに及んでいます。
代表曲・代表作
代表曲には「Tom Sawyer」「Limelight」「YYZ」「Closer to the Heart」「The Spirit of Radio」「Subdivisions」などがあり、アルバム単位では『2112』『Moving Pictures』『Permanent Waves』が特に高い評価を受けています。『2112』はバンドのプログレッシブ性と野心を明確にした作品で、以後のキャリアに大きな影響を与えました。
ツアーとライブ
ラッシュはライブパフォーマンスでも高い評価を受け、精密な演奏と視覚効果を伴う大規模なツアーを世界中で行いました。多くのライブ・アルバムや映像作品が発表されており、生演奏の強さと独特のセットリスト構成がファンに支持されました。2015年のR40ツアーをもって本格的なツアー活動を終了し、ツアー後は活動を縮小しました。
受賞・評価と遺産
キャリアを通じて国際的な商業的成功とファンからの支持を獲得し、2013年にはRock and Roll Hall of Fame(ロックの殿堂)に殿堂入りするなど、その影響力は広く認められています。メンバー各自も演奏技術と創作面で高く評価され、ラッシュはプログレッシブ/テクニカルなロックの代表的存在として後世に大きな影響を残しました。
現在と活動状況
ニール・ピアットの退団や健康問題、2018年以降の活動の縮小などを経て、バンドとしての新作発表や本格的なツアーは行われていません。ピアットの逝去(2020年)により、ラッシュとしての活動は事実上終了したと見る向きが多いですが、過去の作品とライブは現在も世界中のファンに聴き継がれています。
(注)本稿は主要な事実と代表的な出来事を中心にまとめたもので、発表枚数や売上などの数値は時期により更新されることがあります。