イングランド銀行(英国中央銀行)とは:歴史・役割・金融政策の解説
イングランド銀行の歴史・役割・金融政策をわかりやすく解説。独立性や紙幣発行権、政策決定の背景まで詳しく網羅。
概要
イングランド銀行は、イギリスの中央銀行であり、現代の多くの中央銀行のモデルとなってきました。1694年の創設以来、当初は私的に運営され、政府の銀行家としての役割を担ってきました。1946年に国有化され、その後1998年に金融政策面での運営独立が法的に確立され、現在は政府が所有する独立した公的機関として機能しています。
歴史の要点
- 設立:1694年に設立。創設以来、欧州でも最古級の銀行の一つであり、世界で2番目に古い中央銀行(スウェーデンのリクスバンクに次ぐ)です。
- 私有から国有へ:創設時から1946年まで私有の形態で運営され、第二次世界大戦後の1946年に政府により国有化されました。
- 独立化:1998年に金融政策の決定権(政策金利の設定など)が銀行に付与され、物価安定を目的とした独立した金融政策の運営が始まりました。
主要な役割
イングランド銀行は以下のような主要任務を持ちます。
- 金融政策の運営:物価安定を目的に、財務省が設定する物価目標(通常は消費者物価の2%前後)達成のため、政策金利(Bank Rate)や量的緩和(資産買入れ)などの手段を用いて対応します。金融政策の実務は主に金融政策委員会(Monetary Policy Committee:MPC)が行います。
- 政府の銀行家:英国政府の資金管理、国債の発行支援などを行います。
- 最後の貸し手(Lender of last resort):金融市場や特定金融機関が極度の資金不足に陥った場合に、金融システムの安定を維持するために流動性を供給します。
- 金融安定の監督:システム全体のリスクを監視し、必要に応じて金融安定に関する措置を講じます。また、銀行業等の個別監督は、銀行内のプラットフォームとして設置されたPrudential Regulation Authority(PRA)などと連携して行われています。
- 紙幣の発行:英国での紙幣発行に関して重要な役割を担っています(詳細は下記)。
金融政策と独立性
1998年にイングランド銀行は金融政策の決定(主に政策金利の設定)について政府から運営独立を与えられ、これによりMPCが中長期の物価安定を目標に決定を行います。しかし完全な無制限の独立ではなく、財務省は極めて例外的な状況で委員会に対して指示を出すための予備権を持っています。こうした指示は「公共の利益のために、極端な経済状況によって必要とされる場合」に行使されるもので、通常は議会による承認(原則28日以内)が必要です。
紙幣の発行と地域差
イングランド銀行は、英国で紙幣の発行を認可された銀行の一つです。イングランドとウェールズではイングランド銀行が銀行券の発行を独占的に行っています。一方、スコットランドと北アイルランドでは商業銀行が独自に銀行券を発行する慣行があり、これらはイングランド銀行の監督・規制下で流通しています。
組織と本店
本店はロンドンの主要な金融街、シティ・オブ・ロンドンのスレッドニードル・ストリートに位置し(1734年から)、通称である「スレッドニードル・ストリートのオールド・レディ(The Old Lady of Threadneedle Street)」や単に「The Old Lady(オールド・レディ)」とも呼ばれます。組織は総裁(Governor)、複数の副総裁、金融政策委員会や金融安定委員会など複数の委員会および取締役会(Court of Directors)で構成されています。
近年の総裁(注記)
マーク・カーニー氏は2013年7月1日にイングランド銀行総裁に就任しました。彼はカナダ出身で、就任時には当初5年の任期が発表され、英国市民権を取得する意向が示されていました。カーニー氏はイングランド銀行としては初めての非英国出身の総裁として注目を集めました。その後カーニー氏は2020年3月に総裁を退任し、後任はアンドリュー・ベイリー(Andrew Bailey)が2020年3月に就任しました。
補足・現代的意義
イングランド銀行は、英国経済の中核的な安定装置として、金融政策、銀行監督、危機対応、通貨発行といった多面的な機能を担っています。グローバルな金融市場における英ポンドの重要性やロンドンの金融センターとしての地位と相まって、同銀行の決定は国内外の市場に大きな影響を与えます。
質問と回答
Q:イングランド銀行とは何ですか?
A: イングランド銀行はイギリスの中央銀行で、政府のバンカーとして設立され、現在もイギリス政府のバンカーとして機能しています。
Q: イングランド銀行はいつから民営化されたのですか?
A: イングランド銀行は1694年から民営化されました。
Q: 政府がイングランド銀行を引き継いだのはいつですか?
A: 政府がイングランド銀行を引き継いだのは1946年です。
Q: イングランド銀行は、金融政策の決定において独立性を持っていますか?
A: はい、政府によって完全に所有されていますが、イングランド銀行は金融政策の決定において独立性を持っています。
Q: イギリスの銀行券を発行するイングランド銀行の役割は何ですか?
A: イングランド銀行は、英国で銀行券を発行する権限を持つ8つの銀行のうちの1つです。イングランド銀行は、イングランドとウェールズにおける銀行券の発行を独占しており、スコットランドと北アイルランドの商業銀行による銀行券の発行は規制されています。
Q: イングランド銀行では、誰が通貨供給量や金利を管理しているのですか?
A: イングランド銀行の金融政策委員会が、通貨供給量と金利を管理しています。
Q: マーヴィン・キング卿の後任としてイングランド銀行の総裁に就任したのは誰ですか?
A: 2013年7月1日、マーク・カーニーがマーヴィン・キング卿の後を継いでイングランド銀行総裁に就任しました。
百科事典を検索する