数学では、符号という言葉は、正またはであるという性質を指します。すべての実数(0を除く)は正または負であり、したがって符号を持ちます。ゼロそのものは一般に「符号がない(無符号)」と扱われますが、文脈によっては「非負」や「非正」と表現されることがあります。実数に限らず、符号という言葉は数学全般で、数やベクトル、関数の値などの「正負を示す部分」を指すために使われます。通常、符号のない数字(先頭に + や − が書かれていない数値表記)は正の数と見なします。

正・負・無符号の定義と性質

正の数:数 x が x > 0 を満たすとき「正」であり、通常は先頭に + を付けることもできます(例:+3)。
負の数:数 x が x < 0 を満たすとき「負」であり、先頭に − を付けて表します(例:−5)。
無符号(符号なし):ゼロは正でも負でもないため「無符号」とされます。ただし、解析や不等式の議論では「非負(≥0)」や「非正(≤0)」と表現することが多い点に注意してください。

符号を表す記号と用法

符号を示す記号にはいくつか種類があります。

  • 単項の +, −:数の先頭に付いてその数が正か負かを示します。省略された場合は正と見なします。
  • ±(プラスマイナス):二つの符号の両方を表すときに用いられます。方程式の解や公差の範囲などで「a ± b」は「a + b」および「a − b」の両方を意味します。
  • :± と組で使われ、上下の符号を逆にする際に用いられます(例えば、a ± b と a ∓ b の組合せ)。
  • 乗算記号など他の記号:文脈によっては、記号一般を「sign」と呼ぶことがありますが、数学では通常「符号」は正負に関する意味で使われます。

符号関数(sgn)と絶対値との関係

符号を関数として表すときは符号関数(符号判定関数)sgn を使います。実数 x に対して

sgn(x) = 1 (x > 0)、 0 (x = 0)、 −1 (x < 0)

が成り立ち、任意の実数 x に対して次の関係が便利です:
x = sgn(x) · |x|。ここで |x| は絶対値で、数の大きさ(符号を除いた値)を表します。

その他の注意点・応用

  • 複素数には「正」「負」という自然な順序がないため、実数で使うような意味での符号は通常定義しません。複素数については偏角(argument)や実部・虚部の符号で性質を議論します。
  • 計算機科学では「有符号整数(signed)」と「無符号整数(unsigned)」という区別があります。これはビット表現における解釈の違いで、数学での「符号」とは文脈が異なりますが、日常的に「符号付き/符号なし」と呼ばれます。
  • 方程式の解集合などで ± を使う場合は、個々の符号ごとに別々の式として扱うことが多いので注意してください(例:x = ±√a は x = √a または x = −√a の二つの解を示す)。

まとめると、数学における「符号」は主に「正(+)・負(−)・無符号(0)」を示す概念であり、記号としては単項の +/−、複合的には ±/∓、関数的には sgn が使われます。文脈によっては記号一般を指して「sign」と言うこともありますが、意味するところはその場に依存します。