のどの痛みとは 症状・原因・診断・治療法と家庭での対処法
のどの痛みとは、人ののどに起こる痛みのことです。
約3ヶ月の間に約7.5%、3 ⁄40 の人が、のどの痛みを感じています。ほとんどの場合、ウイルス性の咽頭炎が原因です。また、扁桃腺の病気や外傷、溶連菌感染症、腫瘍などが原因で起こることもあります。
治療法は原因によって異なりますが、つらい症状には咳止めなどの薬や、中国では梨のシロップ飴などが効きます。
主な症状
- 飲み込みや話すときの痛みや違和感(嚥下痛)
- のどの乾燥感、かゆみ、イガイガ感
- 声がれ(嗄声)や声の低下
- 発熱、頭痛、全身倦怠感
- リンパ節の腫れ(首のしこり)や扁桃の腫脹、白い膿栓(ときに)
- 鼻水や咳が伴うことが多い(ウイルス性)
考えられる原因
- ウイルス性咽頭炎:風邪ウイルス、インフルエンザ、アデノウイルス、コロナウイルスなどが原因で最も多い。
- 溶連菌感染(A群β溶血性連鎖球菌):高熱や強い咽頭痛、白い膿斑を伴うことが多く、抗生物質が必要になる場合がある。
- 扁桃炎、扁桃周囲膿瘍(強い片側の痛み、開口障害、つばを飲み込めない場合は注意)
- 逆流性食道炎(GERD)やアレルギーによる慢性的な刺激
- 喫煙・空気の乾燥・刺激物(アルコール、香辛料など)による刺激
- 外傷や異物、まれに腫瘍(持続する局所症状や体重減少がある場合は疑う)
診断の進め方
- 問診と視診:痛みの性質、持続期間、発熱の有無、同居者の感染などを確認。
- 咽頭の観察で扁桃の発赤・膿斑・腫脹を確認。
- 迅速抗原検査(RAT)や咽頭培養:溶連菌感染の有無を確認するためによく用いられる。
- 必要に応じて血液検査、喉頭ファイバー(嚥下や声の異常が強い場合)、画像検査(腫瘍や膿瘍が疑われる場合)を行う。
治療法(原因別)
- ウイルス性のどの痛み:特異的な抗ウイルス薬が不要な場合が多く、対症療法が中心。十分な水分、鎮痛解熱薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)、うがい、加湿が有効。
- 細菌性(溶連菌など):検査で同定された場合は抗生物質(例:ペニシリン系、アモキシシリン)が推奨される。自己判断で中断しないこと。
- 扁桃周囲膿瘍:ドレナージ(切開排膿)や入院、抗生物質などが必要になることがある。
- 慢性の扁桃疾患や反復性扁桃炎:場合によっては扁桃摘出(手術)を検討。
- 注意:抗生物質はウイルス性の咽頭炎には効果がなく、むやみに使用すると副作用や耐性の原因になる。
家庭での対処法(セルフケア)
- こまめにうがいをする(生理食塩水やぬるま湯でのうがいが有効)。
- 十分な水分補給と安静をとる。温かい飲み物やスープでのどをやわらげる。
- のど飴やハチミツ(1歳未満の乳児は不可)で刺激を和らげる。
- 室内を加湿して乾燥を防ぐ。禁煙・受動喫煙を避ける。
- 市販の鎮痛薬や鎮咳薬は症状緩和に有用だが、特に小児では用量・対象年齢に注意する。
- 中国で伝統的に用いられる梨のシロップ飴など、喉を潤す民間療法が症状緩和に役立つことがある(ただし根治療法ではない)。
いつ受診すべきか(医師に相談・緊急を要する症状)
- 高熱が続く、または症状が48〜72時間以上改善しない場合。
- 呼吸困難、飲み込めない、よだれが止まらない、口が開けられないなどの重篤な症状があるとき(速やかに受診または救急搬送)。
- 激しい痛みや頬・首の強い腫れ、顔面の非対称、意識障害がある場合。
- 繰り返す扁桃炎や学校・仕事に支障が出るほどの頻回の発症がある場合は耳鼻咽喉科での精査を検討。
予防
- 手洗いを徹底し、咳エチケットを守る。
- インフルエンザや新型コロナウイルスなどワクチン接種が推奨される場合は適切に受ける。
- 十分な睡眠、栄養、適度な運動で免疫力を維持する。
- タバコや刺激物を避け、口腔ケアを心がける。
まとめ:のどの痛みは原因が多岐にわたり、ほとんどはウイルス性で自然に改善しますが、溶連菌感染や膿瘍、腫瘍など治療や精査が必要な場合もあります。症状がひどい、長引く、呼吸や嚥下に支障がある場合は早めに医療機関を受診してください。