概要

スティーヴィー・ワンダーのアルバム『The Secret Life of Plants』は、1979年10月30日にTamlaレーベルから発売された。ウォロン・グリーンの同名ドキュメンタリーのために制作されたサウンドトラックであり、ワンダーの作品の中でも特に実験性の強い一作とされる。彼におなじみのソウルやポップの作法から離れ、自然や植物の世界を主題にした、雰囲気重視の楽曲群に焦点を当てている。

音楽 शैलीと特徴

このアルバムは全体として器楽的な色合いが強く、電子音の質感、アンビエントな展開、自然環境から採取・録音された音の活用が際立つ。ワンダーはシンセサイザーの音色を基盤に、ときおり声の要素も交えながら、瞑想的で時に映画音楽的なムードを作り上げた。従来の歌ものの構成というより、映像に寄り添うための音楽として設計されている。

  • シンセサイザーと鍵盤中心のアレンジを強く打ち出している
  • 長めのインストゥルメンタル曲とアンビエントな間奏が多い
  • 環境音やドキュメンタリー由来の音響設計が組み込まれている

背景と制作

この企画は、植物の知覚と生命についての人気書籍をもとにしたドキュメンタリー化への関心から生まれた。サウンドトラックとしては、映像による語りを支え、生命システムの存在感を思わせる音楽が求められた。ワンダーは素材の多くを自ら作曲・編曲し、植物とその環境を探る映画の内容に合わせて音の輪郭を整えていった。

評価とその後

発売当時、この作品は聴き手と批評家の評価が分かれた。野心と音響実験を高く評価する声があった一方で、ワンダーの以前のヒット曲にあった旋律のわかりやすさを惜しむ意見も見られた。のちには、初期のアンビエントや電子系サウンドトラックに関心をもつリスナーのあいだで再評価され、彼のカタログの中でも異色ながら印象的な一枚として語られることが多い。

注目すべき点

この作品は、サウンドトラックとしての性格が明確であり、環境テーマとの強い概念的な結びつきによってワンダーのアルバムの中でも際立っている。Tamlaモータウンから発売され、アーティストのディスコグラフィーではワンダー本人(スティーヴィー・ワンダー)と結びつけられている。これは、主要なポピュラー音楽家が録音作品の中で映画的・生態学的な発想を試みていた時期を示す例でもある。